ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第55号 平成22年1月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。


1勝の喜び

 

 ~ 寅年にトラ吉が思うこと

 当職は熱狂的阪神タイガースファンでした。現在も阪神ファンなのですが「熱狂的」とまでは言えなくなってしまいました。トラ年の今年、阪神に優勝して欲しいと思っています。しかし、阪神が勝った翌日は一日上機嫌だった自分はもういません。 なぜ当職が「熱狂的」ファンでなくなってしまったのか?近年仕事や家庭の忙しさに追われ、野球中継を観る暇がなくなったことも一因だとは思いますが、阪神が毎年優勝争いを期待されるような強いチームになってしまったことが一番の原因のように思います。

 当職が阪神ファンになった90年代前半、阪神は非常に弱いチームでした。勝率が3割~4割台で3試合に一度しか勝てず、万年最下位争いをしていました。そんな折、友人に誘われ、甲子園球場に対巨人戦を観に行きました。8回が終わって0対3、阪神は巨人桑田にわずか2安打に押さえられ敗色は濃厚。球場全体が「また今日も負けるのか…」という雰囲気に飲み込まれていた9回裏に奇跡は起こりました。阪神亀山のヒットを皮切りに桑田に連打を浴びせ、一挙4点をとってのサヨナラ勝ち。球場全体が歓喜の渦に包まれました。心の底から「1勝」を喜ぶ熱狂的阪神ファンを目の当たりにして、知らず知らずのうちに当職も声を枯らして「六甲おろし」(阪神の応援歌)を歌っていました。 その日から、当職は「熱狂的」阪神ファンになりました。ファンが「1勝」をあれだけ喜べる球団は他にありません。

 2003年の18年ぶりの優勝時には「自分も道頓堀川に飛び込みたい」という衝動を抑え、1人テレビの前で祝杯をあげました(まわりに阪神ファンがいなかったので)。ところが、2005年の阪神優勝の前後から、阪神に対する情熱が次第に冷めていきました。毎日のように阪神の勝利を伝えるスポーツニュースや新聞。もちろん嬉しいのですが、阪神が弱かった当時の「1勝の喜び」とは重みが違うのです。あの当時の「1勝の喜び」はもう味わえないのかと気付いたとき、当職はもう「熱狂的」阪神ファンではありませんでした。


 当事務所はおかげさまで毎日多くの仕事の依頼が舞い込む事務所に成長しました。開業当時の仕事の数(週に1件あるかないか)から考えると大変ありがたい話です。開業当時は仕事の依頼の電話があると応対の声がうわずる程大喜びしていましたが、現在はどうでしょうか。「1つの仕事に対する喜び」が小さくなってはいないかと反省する今日このごろ、開業当時のように「ひとつひとつの仕事に心から喜び、依頼者に感謝し、全力で職務にあたる」ことを今年の抱負とすることを宣言し、新年の挨拶にかえさせていただきます。

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。


公正証書遺言 


 ~ 最も確実な遺言方式

 近年遺言書を作成される方が増えているという話をニュース等で耳にします。自分の意思を反映した相続が行われるように、また相続人間のトラブル防止のために遺言をするはずなのですが、十分な知識がない状態で遺言書を作成した場合「効力のない遺言書」や「トラブルを誘発する遺言書」となってしまう恐れがあります。遺言書の作成に際しては弁護士、司法書士といった専門家を介した上で、「公正証書」による遺言を作成することをお勧めします。

1 遺言書の種類

 遺言の方式は、大きく分けて普通方式と特別方式の2種類あります。特別方式は死期が急に迫っている場合など特殊な状況下にある場合の例外的な方式であり、一般的に遺言を作成する場合は普通方式を用います。普通方式遺言には以下の3つの方式があります。
 

 ① 自筆証書遺言
    
~費用をかけずに自分1人で作成できる

 ② 秘密証書遺言
    
~他人に内緒にしたいときの遺言書

 ③ 公正証書遺言
    
~公証人に作成してもらう遺言書

2 各遺言(普通方式)の特徴

   

3 公正証書遺言を勧める理由


(1)確実に遺言を作成することができる

  公正証書遺言の最大のメリットは、作成者たる公証人が「法律の専門家」であるため、自筆証書遺言と異なり、内容的にも形式的にも不備が生じることがない点にあります。(自筆証書遺言の場合は、遺言書を作成して安心していたら実は形式不備で遺言としての効力を有しなかったり、相続人間の争いを避けるための遺言なのに内容的に問題があったため逆にトラブルになってしまうなんてことがままあります。)

(2)紛失・変造のおそれがない

  公正証書遺言はその原本が公証役場に保管されるため、紛失・変造のおそれがありません。また、公証人会連合会の検索システムにより、遺言者の死後、遺言の有無を公証役場で確認し、再度謄本を発行してもらうことも可能です。

(3)遺言者が死亡した後の手続が簡単(争いが生じる可能性も少ない)

  自筆証書遺言の場合、遺言者の死後裁判所において「遺言の検認」手続が必要になります。その際、遺言の存在が全ての相続人に知られることとなり、トラブル(遺言無効の訴え等)の元となりかねませんが、公正証書遺言の場合はその検認手続を経る必要はありません。

(4)専門家の関与により更に安心

  公証役場で遺言書を作成する際、遺言者と公証人との面談時間には限りがあるため、趣旨の若干異なる遺言書ができあがってしまったり、遺言書に載せるべき財産に漏れが生じてしまうことが希にあります。公正証書遺言の作成を、司法書士等の専門家に関与させることで、遺言内容・相続財産の確認が確実にでき、かつ公証人との事前打ち合わせもなされるため、確実に趣旨沿った遺言書ができあがります。また、証人もその司法書士等に依頼してしまえば、証人探しの手間が省ける上に、守秘義務により遺言内容が他に漏れる心配もなくなります。


 ※ 当事務所では、必要書類の取寄、文案作成、公証人との事前交渉、証人2名の手配まで公正証書遺言作成に関する全ての手続を受任致しております。 お気軽にお問い合わせください。