ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第65号 平成22年11月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。


栄枯盛衰 奢れる物は久しからず

 

 ~ 武富士の倒産

 多くのメディアで報道されているのでご存じの方も多いとは思いますが、
株式会社武富士が9月28日に会社更生法の申請をしました。事実上の倒産です。「武富士」といえばかつては消費者金融最大手で、創業者の武井前会長は長者番付NO.1になったこともある大企業です。近年の過払い金返還請求の増加や、貸金業法の改正等により、消費者金融を取り巻く状況が厳しくなっていたのは事実ですが、日本屈指の大企業が倒産に追い込まれた理由はそれだけではないはずです。

 当事務所は債務整理業務も取り扱うため、武富士とコンタクトをとることも多々あります。その際の印象はというと、正直良いものではありませんでした。まず「対応が遅い」。他の大手消費者金融に比べ、債務整理重きを置いておらず、人材不足で、対応が非常に遅い印象を受けていました。次に「方針が一貫していない」。債務整理に対する方針がコロコロ変わり、今はやりの言葉で言うと「ぶれている」印象がぬぐえませんでした。更に「その場しのぎ」の印象も。過払いで和解成立後、返還日の延期を申し出てきたのも大手では武富士だけでした。

 「対応の悪い会社=経営状態が悪い」。当職は、武富士の対応の悪さから、破綻はある程度予想していました(来年の4月頃破綻すると読んでいたので、今年中の破綻は予定外でしたが…)。破綻の原因は会社の体質にあると思います。業界最大手の実績に溺れ、「なにもしなくても儲かる」時代を経験した武富士は、経営の見直しや業務の改善がおろそかになり、結果として破綻に至ったのだと当職は考えます。「奢り」があったとしか言いようがありません。

  当事務所も、武富士の破綻により莫大な損害をうけました。返還を受けられるはずの過払い金の返還がなくなり、債務整理の成功報酬がもらえなくなってしまったのです。(依頼者へは受任前に十分な説明をしておいたため、依頼者とのトラブルが全くなかったのは不幸中の幸いですが。)ただ、目先の利益のみ追って嘆いていても仕方ありません。当事務所も武富士の破綻を教訓に、襟を正す必要があります。

  当職が司法書士になってもうすぐ10年。当事務所の経営はおかげさまで軌道に乗ってきています。うまくいっている時こそ業務の改善に着手すべきです。当事務所のお客様への対応には自信があります(もちろん」武富士とは違います)が、まだまだ改善の余地はあるはずです。「当事務所は更なる顧客サービスの充実を追求し続けなければいけない」、武富士の一件で当職は強く思いました。

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。


「武富士の会社更生手続開始」 


 ~ 消費者金融の大型倒産

  会社更正手続の申立(事実上の倒産)をした武富士ですが、会社がなくなってしまうというわけではありません。新規の貸し付けは当面しないでしょうが、債権の回収(返済の受付)は引き続き行います。簡単に言うと「資産や債権を処分して会社をスリム化し、その処分益で債権者への返済に充てる。返済する債務については大幅にカットしてもらう。」という手続に移行したということになります。
 
 債権者にはもちろん「過払い金の債権者」も含まれます。現在(過去に)武富士から借り入れをしている(していた)方は、利息を払いすぎていた可能性があります。その払い過ぎた利息は返還の対象(武富士から返してもらえる)になるのですが、会社更生手続に入ったため、その全額を返してもらうことはできなくなります(返還額は大幅に減ります)。また、返還の時期についても、裁判所が定める「更生計画案」に従って行われるため、大幅に遅くなる見込みです。
 
 本号では、その「武富士の会社更生」について解説します。




  













 武富士の会社更生手続によって、他社の債務整理・過払い金返還請求についても影響が出る可能性があります(既に一部で出始めています)。時間が経てば経つほど、手続が困難になることも考えられますので、できるだけ早く対応(司法書士・弁護士への相談)をされることをお勧めします。

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