「まだ間に合う!」
~ 過払い金返還請求
債務者が貸金業者に払いすぎたお金のことを「過払い金」といいます。多くの方がもうご存じだとは思いますが、この「過払い金」は貸金業者から返してもらうことができます。近年弁護士や司法書士がテレビCMまでしているので、「過払い金」という言葉もすっかりメジャーになってしまいましたが、当職がこういった手続きを受任し始めた8年ほど前は、誰も知りませんでした。破産を覚悟して相談にみえた方が、債務がゼロになった上で、お金が戻ってきたという成果に対して、「信じられない」と絶句し、泣いてよろこんでくれる方も多くいました。現在は、貸金業法改正、過払い金返還請求手続きの認知が進んだこと、大手業者を含む消費者金融の倒産等の事情から、「過払い金」返還の手続きも大きく様変わりしました。本号では、その現状を解説します。
過払い金とは、消費者金融やクレジット会社と長年の借り入れ取り引きを行っていた場合、法律で規制された本来支払うべき金額以上のお金を返済していることを言います。
過払いが発生した場合、債務者(借り入れ側)は債権者(貸す側)に返還するよう主張することができます。
これを過払い金返還請求といいます。
過払いが発生するには一定の条件があります。
•利息制限法という法律で定められた金利(15%~20%)を超えた融資を受けていたこと。
•完済している又は高い金利で5年程度を越えるの期間の取引を行っていたこと。
※完済後10年を経過している場合は時効により過払い金の返還を受けることは困難です。
貸金業法改正により、現在は利息制限法を超える利率で貸し付けをしている正規業者はいませんが、過去に消費者金融やクレジット業者から長期の借り入れをされていた方は過払いになる可能性が高いといえます。
過払い金を請求するには、弁護士や司法書士などの専門家に委任して訴訟をしてもらうか、法廷外で交渉してもらい和解をしてもらう方法と、自分で取引履歴を取り寄せ過払い金額を算定し、不当利得返還訴訟という裁判を起こして勝訴もしくは和解する方法があります。自分でも手続きすることも可能ですが、手続きが煩雑な上、業者に足下を見られることも多いため、専門家に依頼した方が無難でしょう。
過払い金返還の手続きは、年々変化し続けています。
平成18年以前は、貸金業者が「過払い」の存在を認めなかったため、返還の交渉も難航することも多々ありました。平成18年1月に最高裁が「過払い」を認める判決を出した後は、比較的容易に満額に近い過払い金の返還が受けられるようになりました。しかし、この判決により、過払い金返還請求が「流行」し、貸金業法も過払いが発生しないよう改正(貸し付けの上限金利を引き下げ)され、更にはリーマンショックに端を発する不況も重なり、金融業者の経営状況が悪化。武富士等大手消費者金融までもが倒産する時代に突入した近年は、過払い金返還に対する貸金業者の抵抗も強くなり、訴訟をせずに満額(又はそれに近い額)を早期返還してもらうことは困難になってきています。
貸金業法改正後の現在でも、過去の取引について過払い金の返還請求は可能です。ただ、業者によって対応はまちまちで、状況も刻々と変化しており、今後倒産する業者が出る可能性もあるため、返還をを受けるためには早急に対応(専門家への相談)されることをお勧めします。ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせ下さい。 |