登記名義人表示(住所・氏名)変更
~ 住所や氏名が変わった時の登記
不動産を所有している方が、引っ越しをして住民票を移しても、不動産登記簿(登記記録)上の住所が自動的に変更されることはありません。そこで、登記簿上の住所を、現在の住所に変更するために行うのが、登記名義人住所変更登記です。登記名義人表示変更の登記は、住所移転や住居表示実施、町名地番変更などによる住所変更のほか、結婚などにより氏名が変わった場合(氏名変更)、会社の商号が変わった場合(名称変更)などにも行う必要があります。
住所変更をした際に、所有する不動産の登記名義人住所変更登記をすることは義務ではありません。したがって、登記すべき期間は定められていません。
不動産(土地、家屋)を売却する所有権移転登記を申請する際には、売主の住所が印鑑証明書記載の住所と一致していなければなりませんから、事前に登記名義人住所変更登記をする必要があります。また、家屋の建て替えにともなって住宅ローンを組み、担保権(抵当権)を設定する際も同様です。
※ 実務上、印鑑証明書には発行日より3ヵ月の有効期限があるため、不動産の売主が住民票を移してしまっていても、住所変更前に前住所の印鑑証明書(3ヵ月以内のもの)を取得していれば、登記名義人住所変更登記を省略して所有権移転登記を申請することが便宜可能とされています。
相続による所有権移転登記では、被相続人(亡くなった方)の最後の住所と登記簿上の住所が相違する場合でも、事前に登記名義人住所変更登記をする必要はありません。最後の住所と登記簿上の住所のつながりが分かる除住民票(戸籍附票)などにより、被相続人がその不動産の所有者であること明らかにすれば、住所変更登記をすることなく相続登記をすることができます。
登記名義人表示変更登記をするには、登記申請書の他に、登記原因証明情報としての変更証明書(変更証明情報)が必要です。
登記名義人住所変更登記では、変更証明書(変更証明情報)として、住民票(または戸籍附票)を添付します。ここで必要な住民票等は、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている住所から、現在の住所に至るまでの、全ての経緯が記載されているものです。
※ 何度も住所を移転している場合、住所移転から相当期間が経過している場合、海外に住所移転している場合等、住民票や戸籍の付票の保存期間が経過して発行してもらえなかったり、住所移転が証明できなかったりすることがあります。そういった場合、登記所にに対してそれを説明し、申請人が登記簿上の名義人と相違ないことを申し述べる書面(「申述書」といいます)を作成の上、権利証や固定資産税の納税証明書を提出してその立証をする必要があります。
住居表示実施や町名地番変更により住所が変わった場合(住所移転していないのに住所の表記が変更した場合)でも、所有権登記名義人住所変更の登記が必要です。ただし、地区町村役場で発行された、住居表示実施証明書、町名地番変更証明書などを添付することにより、所有権登記名義人住所変更登記のための登録免許税は非課税となります。
登記名義人氏名変更登記では、変更証明書(変更証明情報)として、戸籍謄本(戸籍抄本)を添付します。戸籍謄本だけでは、変更前の氏名が記載されていない場合、除籍謄本(改製原戸籍)などが更に必要になります。
登録免許税(印紙代)は不動産1つにつき金1,000円です。ただし、敷地権付区分建物(マンション等)の場合、(建物+敷地権の数)×1,000円となるのでご注意ください。また、前述のとおり、住居表示、町名地番変更については、証明書等の添付により非課税となります。
登記名義人表示変更登記は、簡単に見えますが、時に非常に煩雑な手続と判断を伴います。手続をされる場合は司法書士に相談・依頼されることをお勧めします。
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