「法人成り」すべきか否か?
~ 会社設立と個人事業の比較
平成18年の新会社法施行直後、「会社設立がしやすくなった」ということで、「法人成り」のブームともいえるくらい多くの事業者の方が株式会社を設立されました。当事務所でも、多くの会社設立の手続きを受任させていただきました。その一過性のブームが終わり、会社設立の案件が減ってきていたのですが、ここ1~2年また会社を設立したいというご依頼が増えてきているように感じます。この流れは、新会社法施行時に様子見されていた方が、会社という「法人」を興して商売をしていくことのメリットを理解されてきた証拠のように思います。そこで本号では、「個人事業」と「法人(株式会社・合同会社等)」との比較(メリット・デメリット)について取り上げたいと思います。
これから商売を始めようという方にとっては考えたくもないことかも知れませんが、商売は「始めれば必ずうまくいく」というものではありません。万が一商売に失敗して大変な負債を抱えてしまった場合、あるいは会社を倒産させてしまった場合に、どのような責任がふりかかってくるかを理解しておく必要があります。この「責任の違い」が「個人事業」と「会社」とでは大きく異なります。
(注1) 出資者(株主)=役員(取締役等)の場合は、「経営責任」として出資額以上の責任を追及されることは考えられます。
(注2) 多くの場合、法人(会社)が融資を受ける際、会社代表者(社長)が保証人となることを金融機関から求められます。保証人となった場合はもちろん、その融資全額について責任を負うことなります。(会社組織にしたとしても、社長は結局全責任を負うと言っても過言ではありません。)
一概に、個人事業は信用がなく、法人(会社)であれば信用があるというわけではありませんが、一般的には「法人の方が信用が高い」と言えるでしょう。金融機関等融資を受ける際に審査があるような場合は、個人であるか法人であるかということより業績が重視されます。ただ、会社でないと取引をしないという企業もあり、入札のために法人資格が必要という場合もあります。また、一般に「個人と会社どっちを信用するか」と聞かれたらどう答えるかを考えれば、その答えは明白でしょう。
個人事業か会社設立かを選択するに際し、一番悩まれるのがこの「税金」の問題です。
結局どっちが得か?
日本の税金は累進課税制ですので、ある一定の売上げまでは比較的個人事業主のほうが税金は少なく、あるラインを超えると法人のほうが節税効果が高くなります。一概には言えませんが、年間の利益が800万円~1,000万円を超える場合は法人の方が有利と言われています。
また、設立する株式会社の資本金を1,000万円未満に設定することで、最長2決算期の間、消費税の非課税業者とみなされ、消費税を支払わなくてもよいというメリットもあります。(2期目に関しては売り上げに応じて消費税を納めなければいけない場合もあります。)
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