ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第83号 平成24年5月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。

理想を追い求めて
 

  ~ がんばれ「岡崎バンビーノ!」

 当職の息子(小2・自閉症)は「障がい児日中一時預かり」施設にお世話になっています。その名も「岡崎バンビーノ!」。以前お世話になっていた施設のスタッフの皆さんが、「より良いサービス」を目指し、私財をなげうって独立開業してこの4月に立ち上げた施設です。

 「障がい児日中一時預かり」とは、家族の負担を軽減するため、障がい児を数時間預かって面倒を見てくれる福祉サービスのことです。当職は、小学校の下校時から当職の仕事が終わるまでの間と夏休み等の際に利用させていただいています。

 バンビーノの施設長さんは、前の施設にいた当時から、「もっと良い施設にしたい」、「理想は自分の子どもを預けたいと思う施設」という理想を語ってみえました。新しくできた「岡崎バンビーノ!」は、空き倉庫を借り、以前の施設よりずっと広く、子どもたちがボール遊びできるほどの運動スペースも完備。スタッフの皆さんが手作りしたその施設は、決して華美なものではありませんが、子どもたちへの思いやりの溢れた暖かいスペースであるように当職は感じています。また、そのサービス内容についても、子どもたち一人ひとりに合わせたきめ細やかなものであり、当職にとっても息子を「預けてもよい」と言うより「預けたい」と思えるものとなっています。

 実際、息子はいつも笑顔でバンビーノから帰宅します。スタッフの皆さんと遊んだり、勉強したりした内容を、一生懸命話してくれます。その息子の様子を見て、当職は、施設長さんを始めとするスタッフの皆さんは、「自分の子どもを預けたいと思う施設」という理想を現実にするために頑張ってくださっているのだなと、常々感謝と尊敬の想いを抱いています。そして、そんなバンビーノの皆さんを心から応援しています。

 思えば、当職も開業当初より、「お客様に感謝してもらえるようなサービスが提供でき、スタッフの皆が笑顔で仕事できる事務所にしたい」という理想を抱き、その理想に向けて努力を重ねてきました。そして、数年前にはその理想に近づきつつあると感じていました。ただ、ここ1~2年、その現状に満足してしまって守りに入り、当職自身が理想を追い求める努力を怠っていたようにも思います。当職もバンビーノのスタッフのみなさんの姿勢を見習い、また当職自身の開業当初の気持ちを思い出して、「理想を追い求める姿勢」を取り戻したいと思う今日この頃です。    

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。

遺産分割「調停」と「審判」 

  ~ 相続における話し合いでもめたとき

 相続が発生した場合、通常相続人全員によって「遺産分割協議」(話し合い)が行われます。協議が成立(話し合いで解決)すれば、「遺産分割協議書」を作成し、その「遺産分割協議書」と必要書類(戸籍、印鑑証明書等)があれば、被相続人(亡くなった方)名義の不動産の名義を変更したり、預金の解約ができたりします。ただ、必ずしも「遺産分割協議」(話し合い)で全てが解決するとは限りません。遺産分割協議(話し合い)がまとまらない場合、家庭裁判所頼ることとなります。本号ではその家庭裁判所における遺産分割の手続 「遺産分割調停 及び 審判」 について解説したいと思います。



 家庭裁判所による紛争解決の手段には「調停」と「審判」があります。「調停」とは簡単に言うと家庭裁判所における「話し合い」、「審判」とは「裁判」のことです。
 実務上、家庭裁判所における遺産分割は「調停」が先に行われ、調停成立の見込みがない場合に「審判」に移行し、家事審判官によって適切な分割方法が決められます。(話し合いでは解決する見込みがないとして、いきなり審判を申し立てることも可能ですが、家庭裁判所は「まずは話し合いなさい」ということで職権で調停に付する決定を出す取扱になっています)



 調停の申立は、相続人の1人若しくは数人が申立人となり、申立人となる相続人以外の相続人全員を相手方として家庭裁判所へ申し立てます。申し立てる家庭裁判所は、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所です。例えば被相続人(亡くなった方)の最後の住所地が名古屋市であっても、相手方となる相続人が岡崎市に住所をおいていれば、「名古屋家庭裁判所岡崎支部」に申立をすることになります。
 申立は条文上「書面」又は「口頭」で行うことができますが、口頭で申立に行っても通常は「家庭裁判所備え付けの用紙に記入してください」と言われてしまうのが実情です。



 通常、調停は家事審判官1名と、調停委員2名以上の合議制で進められ、当事者間の話し合いによる解決をはかります。内容は相続人全員の合意で成立するものであり、強制されることはありません。合意が成立しないときは、調停は不成立となります。
  しかし、調停で相続人の意見が一致すれば、その内容は調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力をもっていますので、相続人は必ず従わなければいけません。 なお、調停調書の記載に従って分割する事を調停分割といいます。



 調停が成立しない時、裁判所の判断によって分割方法を定めてくれるように申し立て、その審判に従って分割する事を審判分割といいます。審判は、家庭裁判所がする一種の裁判のことです。
 裁判所は当事者や利害関係人の言い分を聞いて、色々な調査をして、具体的な分割の審判つまり決定をします。家庭裁判所は、必要があれば、遺産の全部または一部について分割を禁止することもできます。
「審判」によって遺産分割協議が成立すれば審判書が交付されます。



 相続人は、「調停調書」又は「審判書」を銀行に持ち込めば被相続人の預金を払い戻してもらうことができ、法務局に持ち込めば被相続人名義の不動産の名義変更をすることができます。
(不動産の名義変更の「登記」に関しては、別に「登記申請書」を作成する必要があります。手続は司法書士に依頼するのが賢明でしょう)。



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