ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第85号 平成24年7月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。

好きこそものの…
 

  ~ 息子のローマ字習得

 当職の息子(自閉症)が、なんと小学校2年生にして「ローマ字」をほぼ習得しました。まだ、小学校でローマ字は習っていません。特別に教えたわけでもありません。自閉症という障がいの性質上、記憶力に関しては優れているとは思っていましたが、本当に驚きです。

 では、いかにして彼がローマ字を習得したのか? その答えは、「iPad」と「YouTube」です。わが家には、3年ほど前に手に入れた初代iPad(タブレット型PC)が1台あります。彼が1年生の夏休みに、おもちゃ代わりに貸してあげたところ、YouTube(動画サイト)にはまってしまい、自分の気に入った車やCMの映像を繰り返し再生して見るようになりました。さらに、自分で自由にiPadを操作したいという欲が出てきた彼は、約半年で「ローマ字入力」を習得してしまったのです。

 自分が好きな映像を、好きなときに自分で見たいという欲求、それが彼を突き動かしました。まさに、「好きこそものの上手なれ」です。自閉症児の当職の息子に限らず、健常児であっても、大人であっても一緒です。仕事もそう。好きでやっている仕事でないと覚えないし、営業成績も伸びません。仕事で成功を収めたいのであれば、まずその仕事を「好きになる」ことが大事です。当たり前のことですけどね。

 当職も、司法書士の仕事が大好きです(^_^;)。  

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。

遺言作成の注意点 


 遺言を残すことは、自身の意志が死後反映されることの他に、残された相続人間のトラブルを防止する意味合いも持ちます。自筆遺言やエンディングノート(法的な効力はないが、高齢者が人生の終末期に自身に生じる万一のことに備えて自身の希望を書き留めておくノート)が流行している昨今、中途半端な想いと知識で遺言を残すことで、逆にトラブルを創出してしまうこともあるということも知っておいていただけたらと思います。



 遺言には幾つかの作成方法がありますが、一般的には、遺言者が自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証人※に作成してもらう「公正証書遺言」のどちらかを選択することになります。 自筆証書遺言は自分で書くため、費用はかかりませんが、書き方を誤ると法的に効力が生じないものになってしまったり、法的知識が乏しいことにより逆にトラブルを産む内容になってしまったりといった怖さがあります。そのため、当事務所では確実に効力のある遺言を残すためにも、死後のトラブルを防止するためにも「公正証書遺言」をお勧めしています。                                          

 ※「公証人」と「公正証書」
 「公証人」とは、実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員で、公証役場で執務しています。その公証人主な業務のひとつが、「公正証書」の作成です。公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書であるため、高い証明力があるうえ、裁判所の判決とほぼ同じだけの効力をもちます。そのため、遺言の他、離婚協議や金銭の貸借等の場合にも用いられます。




(1)確実に遺言を作成することができる
 公正証書遺言の最大のメリットは、作成者たる公証人が「法律の専門家」であるため、自筆証書遺言と異なり、内容的にも形式的にも不備が生じることがない点にあります。
(2)紛失・変造のおそれがない
 公正証書遺言はその原本が公証役場に保管されるため、紛失・変造のおそれがありません。また、公証人会連合会の検索システムにより、遺言者の死後、遺言の有無を公証役場で確認し、再度謄本を発行してもらうことも可能です。
(3)遺言者が死亡した後の手続が簡単(争いが生じる可能性も少ない)
 自筆証書遺言の場合、遺言者の死後裁判所において「遺言の検認」手続が必要になります。その際、遺言の存在が全ての相続人に知られることとなり、トラブル(遺言無効の訴え等)の元となりかねませんが、公正証書遺言の場合はその検認手続を経る必要はありません。



 

  遺言書には必ず「遺言執行者」を定めておきましょう。
 遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者のことです。
 死後裁判所によって選任してもらうことも可能ですが、遺言に定めておくことも可能です。
  遺言執行者が選任されている場合、各相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることが
 できません。さらに、相続人やその他の者が相続財産を勝手に売却した場合、その売却行為は無効となります。
  遺言執行者を定めておかなかったために、結局相続人全員から遺産分割協議書にハンコをもらわなければならず、
 遺言をした意味がなくなってしまうこともあるため、ご注意ください。

 

  遺言を残しても、各相続人の遺留分はなくなりません。兄弟姉妹を除く各相続人は遺留分という権利(本来もらえる
 べき遺産の一部を主張できる権利)を持っています。
  例えば、「愛人に全財産を遺贈する」という遺言を残していた場合、正妻や子は遺言により全財産を取得した愛人に
 対し、「自分がもらえるべき遺産の半分に相当する金額をよこせ」と主張することができ、愛人はその支払いを免れる
 ことはできません。
  死後の争いを防止したいのであれば、最初から「遺留分相当額(本来相続財産の半分を取得できる正妻であれば
 4分の1)を正妻に相続させ、残り全てを愛人に遺贈する」等、最初から遺留分を考慮した内容の遺言を作成しておく
 ことも有効です。

 

  遺言書に「贈与する」と書かれている場合、法的には「相続」でなく「遺贈」とみなされます。同じように思えますが、
 「相続」と「遺贈」はまったく別のものです。「遺贈」は一種の「贈与」であり、例えば不動産の名義変更をするに
 あたっても、印紙代が異なってきたり、遺言があるにも関わらず、他の相続人全員からハンコをもらわなければ
 いけなくなったりすることもあります。
  細かい話のようですが、非常に重要なことですので、文言の選択には十分注意してください。

 

  公証役場で遺言書を作成する際、遺言者と公証人との面談時間には限りがあるため、趣旨の若干異なる遺言書が
 できあがってしまったり、遺言書に載せるべき財産に漏れが生じてしまうことが希にあります。公正証書遺言の作成を、
 司法書士・弁護士等の専門家に関与させることで、遺言内容・相続財産の確認が確実にでき、かつ公証人との事前
 打ち合わせもなされるため、確実に趣旨沿った遺言書ができあがります。また、公正証書遺言には「証人2名」が
 必要ですが、その証人も司法書士等に依頼してしまえば、証人探しの手間が省ける上に、守秘義務により遺言内容が
 他に漏れる心配もなくなります。

 ご不明な点がございましたら、当事務所にお問い合わせください。