非嫡出子の相続権
~ 最高裁9月4日判決
去る9月4日、最高裁で「非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分としている民法900条4号の規定は違憲」との判決が下されました。報道等でも大きく取り上げらましたが、そもそも、「嫡出子」「非嫡出子」って何?という方もいるものと思われますので、本号ではそのことについて解説したいと思います。
「嫡出子」とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子を言います。(下記に該当する子)
•婚姻中に妊娠した子
•婚姻後201日目以後に生まれた子
•父親の死亡後または離婚後300日以内に生まれた子
•未婚時に出生し父親に認知された子で、後に父母が婚姻したとき
•未婚時に出生した後に父母が婚姻し、父親が認知した子
•養子縁組をした子
「非嫡出子」とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供で、上記に当てはまらない子を言います。
(1)母親と同じ戸籍に入籍
非嫡出子は、父母が認知することにより親子関係が生まれます。しかし、母子関係は認知などしなくても、分娩によって当然に発生するものとされています。
この場合、子は母の戸籍に入り、母と同じ姓を名乗り、母の親権で保護され、母の遺産を相続することになります。
(2)父親にも認知をされると
父に認知されていない、いわゆる私生児は、父の遺産を相続することができません。
しかし、父が自身の住所地か本籍の役場、または子の本籍の役場に認知届をすることによって、父子関係を持つことができるのです。
認知をされても、家庭裁判所の許可を得ない限り母の戸籍に入ったままですが、父が認知した事実は父子いずれの戸籍にも記載がされます。
(3)父母との続柄の欄の記載
平成16年10月以前は、非嫡出子の戸籍上の父母との続柄欄には、単に「男」「女」とだけ記載されていました。しかし、差別的であるとの理由から、平成16年11月以降は、出生の順に「長男(長女)」、「二男(二女)」等と記載されることに変更されました。既に戸籍に記載されている場合は、申出により、記載の変更履歴を残さないよう戸籍の再製がされます。
非嫡出子は、認知をされることによって親子となるため、当然に相続権も発生します。
その法定相続分はというと、「嫡出子の半分」となります。
→この部分について最高裁は平成25年9月4日判決で違憲であると判断しました。
うっかりすると、同じお腹を痛めて生んだ子供同士で、法定相続分に差が出てしまうというケースです。
女性Aは未婚時に子Bを生みましたが、その後子Bの父親と異なる男性と結婚しました。夫婦の間には子Cが生まれ、その後に離婚し、母子3人で仲良く暮らしていました。
ところが、Aがなくなり相続が開始します。各人の法定相続分は子Bが1/3、子Cが2/3となるのです。法律上、子Bは非嫡出子、子Cは嫡出子であり、同じ母から生まれたにもかかわらず身分に差があったためです。
最高裁判決がでたことで、近い将来民法の改正がなされるでしょう。ただ、現時点でまだ改正はなされていないため、「遺言」を残す等の対応が必要と思われます。
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