ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第98号 平成25年8月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。

結局「誠意」が大事
 

  ~ 娘の交通事故に思う

 先月、免許を取り立ての当職の娘が、交通事故に遭ってしまいました。というより、事故を起こしてしまいました。一時停止を見落としてしまい、よその人の車の側面に衝突させてしまったのです。車は2台とも廃車になってしまうほどの事故でしたが、さいわい、お互いに大きな怪我はありませんでした。

 事故の加害者である娘は、パニックになってしまい適切な対処ができず、当職もちょうど遠方で仕事中だったため、現場に着いて状況を把握したのは事故の2時間も後でした。それまで被害者の方に何の連絡もできなかったことから、当然のことながら、被害者の方はご立腹です。とにかく誠意を見せてお詫びをしなければと思い、遅ればせながら連絡をとって詫び、事故の処理後、夜9時を回っていたのですが、娘を連れて被害者の方のご自宅まで出向いて詫び、また翌日には菓子折を持って再びご自宅へ。娘も涙を流して自分がしてしまったことを謝りました。

 結果、誠意が伝わったのか、被害者の方も許してくださいました。さらに驚いたのは、事故から3週間後、被害者の方の奥様がお菓子を持って当職の自宅まで来て、「娘さんだいじょうぶ?」と逆に加害者である娘の心配までしてくれたのです。

 「誠意」を伝えれば何でも許されるわけではないのは当然のことですが、何か問題が起きたとき、まずは「誠意」をもって精一杯の対応をすること、当たり前のことですがそれが大事なんだとつくづく思いました。結局「誠意」が大事なんですね。それから皆さん、運転には十分気をつけましょう。

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。


相続登記はお済みですか?

 

 ~ 旧民法による相続

 不動産をお持ちの方が亡くなった際には、その名義を相続人に移す(相続登記をする)必要があります。ただ、何代もの間、相続登記がなされずに放置されていることも少なからずあります。何十年も前に亡くなった方の相続に関しては、亡くなった当時の法律が適用されるため、現行の民法では対応できないこともあります。言い換えると、いつ亡くなったかによって、相続人も相続分も異なってくるのです。


 
①明治31年7月16日~昭和22年5月2日以前に死亡
旧民法(家督相続制度)が適用されます。

②昭和22年5月3日~昭和22年12月31日以前に死亡
→日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(応急措置法)が適用されます。

③昭和23年1月1日~昭和55年12月31日以前に死亡
→新民法(改正前の法定相続分)が適用されます。

④昭和56年1月1日以降に死亡
→新民法(現行)が適用されます。



家督相続では一人の家督相続人が、前戸主の一身に専属するものを除いて、前戸主に属する一切の権利義務を包括的に承継します。言い換えると、不動産を含むすべての財産は、家長である戸主が相続するのが原則だったのです。

明治31年7月16日に施行された旧民法では、法定家督相続人になるのは被相続人の戸籍に同籍している直系卑属の男子が優先され、その中でも年長者が優先順位者とされていました。
子供に男子がいない場合は女子が戸主となりました。



応急措置法は新憲法施行後、新民法が施行されるまでの間、応急的に適用された法律です。家督相続(いわゆる「家制度」)はこの法律からは適用されません。

その法定相続分は、次のとおりです。

配偶者と子の場合 配偶者1/3、 子(全員で)2/3
配偶者と父母の場合 配偶者1/2、 父母(全員で)1/2
配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者2/3、 兄弟姉妹(全員で)1/3
※兄弟姉妹の直系卑属には、代襲相続権は無い。




法定相続分は、上記、応急措置法と同じです。
※兄弟姉妹の直系卑属も代襲相続人となり、且つ制限なし。




昭和55年の民法改正(昭和56年1月1日施行)で、配偶者の相続分が引き上げられました。

改定後の法定相続分(現行)は、次のとおりです。

配偶者と子の場合 配偶者1/2、 子(全員で)1/2
配偶者と父母の場合 配偶者2/3、 父母(全員で)1/3
配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者3/4、 兄弟姉妹(全員で)1/4
※兄弟姉妹の代襲相続権は、その子までに限定されました。



相続登記が未了のまま放置されている場合、戸籍等を調査して、どの法律が適用されるかを判断した後に相続登記等の手続きをする必要があります。まずは、司法書士にご相談ください。