供託
~ 法律に基づき、国がお金を預かる制度
司法書士業務は、不動産や会社の登記、裁判所に提する書類の作成、簡裁における訴訟代理業務、債務整理等多岐に及びます。その中で、あまり知られていないのが「供託」業務です。「供託」の代理を業として行うことができるのは司法書士と弁護士のみです。とはいっても、「供託って何?」という方がほとんどだと思います。そこで、本号では「供託」についてとりあげます。
「供託」とは、法律の規定に基づき、金銭・有価証券など(供託物)を国家機関である供託所(法務局)に提出して、その管理を委ね、供託所を通じてその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするための制度です。
簡単に言うと、「国にお金を預かってもらう」制度が「供託」です。
① 弁済のためにする供託(弁済供託)
② 担保のためにする供託(担保保証供託)-裁判上の保証供託/営業上の保証供託/税法上の担保供託 等
③ 強制執行のためにする供託(執行供託)
④ 保管のための供託(保管供託)
⑤ 没取の目的物の供託(没取供託)-選挙供託 等
①の「弁済供託」というのが、最も一般的な供託です。
債務者が債務の目的物を供託することによって債務を免れることを目的とする供託であり、債務者の救済を主な目的としています。
(相手がこちらの支払うお金を受け取ってくれなさそうなときに、法務局にお金を預ければ支払ったことになるということ。→事例は後述)
事例①
賃貸アパートの借主が、大家さんの自宅へ家賃を持っていったが、大家さんが家賃の値上げを理由に受け取ってくれなかった。
事例②
賃貸アパートの大家さんが突然亡くなってしまい、相続人も不明で、誰に家賃を支払えばよいのかわからない。
そのまま放置していると…
遅延損害金を請求されたり、賃料不払いによる建物明渡し訴訟を提起され、賃貸アパートを出ていかなければならなくなる可能性があります。
では、どうすれば?
供託所(法務局)に家賃を預ける(供託する)ことによって、借主は家賃を支払っていたのと同じ効力を生じさせることができ、事例①②のような危険を回避することができます。
供託手続は、何十年も前に設定された古い抵当権を抹消する際等にも利用されます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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