ながしま事務所通信


~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

第109号 平成26年7月 発行

コラム画像 コラム:当職が感じたことを徒然なるままに綴ります。


ひとりでできるもん!
 

  ~ 経験を積ませることが大事

 先日、父の日に、小学4年生の息子(自閉症)と、2年生の娘がカレーを作ってくれました。父子家庭であるわが家は、当然毎日当職が食事の支度をします。「父の日くらいは父ちゃんを休ませてあげよう」という子どもたちの想いは、涙が出るほど嬉しかったのですが、現実はそんなに甘くない。作るとは言ったものの、作り方がわからず、「父ちゃんおしえて!」。危なっかしい包丁捌きに手を貸そうとすると、「ひとりでできるもん!」。挙げ句の果てには、途中で飽きて、「あとは父ちゃんやっといて!」…。それでもなんとかカレーは完成。カレーなんて誰が作っても同じようにできあがる料理だと思っていましたが、格別においしく感じました。けど、疲れた…。


 子どもというのは成長するにつれ、ひとりでできることがどんどん増えていきます。子育てをする親からしたら、だんだん手が離れて楽になっていくものです。ただ、ひとりでできるようになるまでの過程が大変です。教えてあげたり、気を遣ったり、口を出したくなるのを我慢したり…。最初のうちは自分でやるよりやらせる方がずっと大変ですが、経験させてやることで、少しずつひとりでできるようになっていきます。うちの子達に夕飯を任せられるようになるのはまだ数年先でしょうが…。


 話は変わりますが、当事務所に新人の司法書士が入所しました。昨年試験に合格し、5月まで司法書士会の研修を重ねて、6月始めより働いてもらっています。つい最近まで勉強や研修をしていたため、知識は新鮮でなかなかのものですが、当たり前のことながら実務経験はまったくありません。彼にとっては、やることなすことほとんど「はじめて」のことばかりです。でも、早く一人前の司法書士として独り立ちしてもらうためには、当職や既存のスタッフがやった方が確実にスムーズにできる仕事であっても、彼に「ひとり」でさせなければなりません。教える側からすると最初は大変ですが、経験を積ませることで早い段階で「戦力」と言える人材になってくれるはずです。もちろん、本人の努力次第ではありますが…。

 子どもも新人も、いっしょですよね。がんばってね、都築君!

解説画像 解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。


相続の「欠格」と「廃除」

 

  ~ 相続権を失う場合 

 悲しいことに近年、「ひきこもりの息子が父親を殺した」とか、「働かないことをとがめられた母親を刺した」といったニュースを目にすることは、そんなにめずらしいことではなくなってきているような気がします。親の子に対する姿勢の問題とか、社会全体のストレスの問題とか、いろいろ考えなければいけないことはたくさんありますが、こういった場合の「相続」はどうなるのでしょう。本号では、不法行為をした者に相続権を当然に失わせる「欠格」と、家庭裁判所に申立することで相続権を失わせる「廃除」の手続について解説します。

 

 相続欠格とは、一定の事由がある場合に相続権を自動的に喪失することをいいます。欠格に該当する事由は、以下の通り法律に定められています。これらの事由に該当した者は、なんら手続を必要とせず、自動的に相続権を失います。





 親に対したびたび、暴力を振るうような子には一円の遺産もやりたくないと考えていたような場合、遺言で財産を渡さないことにしたとしても、子供には遺留分という権利がありますので相続分を0とすること はできません。
このような場合には、家庭裁判所に、相続人廃除の申立を行うか、遺言書を作成し、その中で廃除の意思表示を行い、申立が認められれば、当該相続人の相続権を喪失させることができます。
ただし、相続人の相続権を奪うというものであることから、単に仲が悪いといった理由では相続人の廃除を行うことはできません。
また相続廃除の制度によって相続権を喪失させることができるのは、遺留分をもつ推定相続人だけですので、兄弟姉妹が推定相続人の場合にはこの制度を適用せず、遺言書を作成して相続させないことにすることができます。

 

 ただし、家庭裁判所はこれらの事由があったとしても必ず相続人の廃除を認めるというわけではなく、慎重に審議を行う傾向にあるため、相続人の廃除が認められた事例は多くはありません。

 

 相続欠格や廃除によって相続権を失った場合でも、その者に子や孫などの直系卑属があった場合には代襲相続が成りたちます。 息子が親を殺してしまった場合、相続欠格となり、その息子は親の財産を相続することはできませんが、息子の子つまり孫が息子に代わって親の財産を相続することになります。


 ご不明な点がございましたら当事務所へご相談ください。