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第142号 平成29年4月 発行
寄与分 ~遺産分割の調整①
A COLUMN ~記事~
備えあれば… ~ 春の軽井沢に雪
春休みに子どもたちをどこにも連れて行かないわけにはいかないってことで、4月1日から一泊で軽井沢に行ってきました。当職にとっても初めての軽井沢です。高原の避暑地であることは知っていましたが、実際に春の軽井沢はどんな気候なのかはまったく知りませんでした。まさか雪が降ることはないだろうとは思っていたのですが、備えああれば憂いなしということで、念のためスタッドレスタイヤを履いたままにして旅行当日を迎えました。
当日、愛知県は春にしては若干肌寒い、ぐずついた天気だったのですが、いざ長野県に入ってみると雪がちらつき出し、軽井沢に着いてみたら一面の銀世界。スタッドレスタイヤで本当によかった!地元の人に聞いてみると、この時期にこれだけ降ることはめったにないとのことでした。2日目は一転晴れてぽかぽか陽気。雪もほぼ溶けて、結果、冬の軽井沢と春の軽井沢を満喫することができた旅行となりました。
予期しない雪でしたが、念には念を入れておいて大正解。本当に「備えあれば…」という言葉を実感しました。
われわれの仕事でも、予定していた書類がそろわなかったり、時間通りに事が運ばなかったり…ということは多々あります。そんな不測の事態に対応できるように、予備の書類を持ち歩いたり、余裕を持ったスケジューリングをしたりといった工夫は常にしています。特に、当事務所の場合、「作業車」(パソコンやプリンターを搭載した車)を活用して、急な書類の作成にもすぐ対応できるようにしています。
プライベートでも、仕事でも、本当に「備えあれば憂いなし」ですね!
EXPLANATION ~解説~
寄与分 ~遺産分割の調整①
相続が発生すると、相続人の間で「誰がどの財産を相続するか」を話し合う「遺産分割」がなされます。この遺産分割、妻は半分、子が残り半分を平等に分け合うという法律で定められた分け方(法定相続分)を基に行われるのが原則ですが、亡くなった人から生前中に特別に贈与を受けた場合や、亡くなった人に対する貢献度などを考えると、法定相続分では不公平になってしまう場合があります。こんなときは調整するために、特別受益や寄与分といった制度があります。
本号ではその「寄与分」について解説します。(「特別受益」」に関しては次号で解説する予定です)
①「寄与分」とは
「寄与分」とは、亡くなった人に対し、財産の増加・維持に特別の寄与や貢献をした人がいる場合に、その人の相続分にその寄与、貢献に相当する額を上乗せしてあげるものです。「寄与分」の金額についてはなるかは、相続人同士が協議して決めます(寄与した功績を考慮)。共同相続人の間でその金額が決まらない時などは、寄与した人が家庭裁判所に定めてもらいます。
たとえば、商店を営むAさんが死亡し、2人の子B・Cが相続したとします。長男のBは父と一緒に商売に精をだし、父の財産形成に貢献してきましたが、二男Cはサラリーマンで都会に行ったままで、父のお店は一切手伝っていません。こうした事情を考慮しないで法定相続分どおりで分けますと、不公平な結果となります。これを是正するのが寄与分の制度です。
② 「寄与分」が認められる者
寄与分が認められるのは、相続人にかぎられ、内縁の妻や事実上の養子などは、どんなに貢献していたとしても、自ら寄与分を主張することはできません。□
寄与分が認められる相続人の例
① 被相続人の事業に大きく貢献してその財産を増加させた□
② 被相続人の財産の維持に努めてきた
③ 被相続人介護援助を長年続けた
※ 妻が夫の療養看護に努めることは、夫婦の当然の義務ですので、寄与にあたりません。
③ 寄与分の具体例
具体的相続額の計算方法
寄与者の相続額=(相続開始時の財産価格-寄与分の価格)×相続分+寄与分の価格
事例
商店を営むAが死亡し、その遺産が5000万円であったとします。相続人は妻Bと長男C、二男Dの3人で、このうち長男CはAとともに家業に専念してきた。そして、その寄与分を協議により1000万円に相当するとした場合、各相続人の具体的相続額の計算は次のとおりとなります。
妻B:(5000 – 1000)×1/2=2000万円
長男C:(5000 – 1000)×1/2×1/2 + 1000=2000万円
二男D:(5000 – 1000)×1/2×1/2=1000万円
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