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第52号 平成21年10月 発行
まちの魅力 |
解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。 |
不動産の贈与 ~ その3 配偶者控除 前号で不動産贈与に伴う「贈与税」解説しました。贈与税は非常に高い税金ですが、一定の要件に当てはまる場合には贈与税がかからないかたちで贈与ができる「特例」制度がいくつか設けられています。本号ではそのうちのひとつ「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」について解説します。 1 「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」の概要 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。 要は「長年連れ添った夫婦間で自宅の贈与をするときは2,110万円まで贈与税がかからない」ということです。 2 特例を受けるための適用要件 (1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと (2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること (3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用 不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること (注) 配偶者控除は同じ配偶者の間では一生に一度しか適用を受けることができません。 3 適用を受けるための手続 次の書類を付けて、贈与税の申告をすることが必要です。 (1) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本 (2) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し (3) 居住用不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) (4) その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し (但、戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要) 4 配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲 次の書類を付けて、贈与税の申告をすることが必要です。 (1) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本 (2) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し (3) 居住用不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) (4) その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し 5 配偶者控除の具体例(控除を受けた場合と受けなかった場合の贈与税の比較) 6 その他の注意点 (1) 財産の贈与は、現金より不動産が有利 現金の贈与は、その金額がそのまま100%で評価されますが、不動産として贈与すれば相続税評価額(路線価)となります。相続税評価額は、建築費や購入価額の60~80%位ですから、土地・建物として贈与する方が有利です。 (2) 財産の贈与は、土地と家屋のどちらがよいか 家屋は、年々評価が下がり、また将来取り壊されることもあり得るので、家屋のみの贈与はお薦めできません。不動産取得税などは、通常、土地と家屋を一緒に贈与した方が軽減制度の適用があり安くなります。また将来居住用不動産の売却を考えた場合、土地も家屋も共有であれば、譲渡所得税につき「居住用不動産譲渡の3000万円特別控除」の適用が二人分(合計6000万円)受けられるので、売却益が3000万円を超える方は、この点も考慮して土地と家屋両方の贈与が良いでしょう。 (3) 贈与後3年以内の相続開始の場合 一般の贈与の場合には、贈与後3年以内に相続が開始した場合、贈与が無かったものとして相続財産に加算されますが、配偶者控除の場合は加算されません。また、贈与があった年に相続が開始した場合、贈与税の申告前であっても相続財産に加算されません。 (4) 相続財産が相続税の基礎控除以下の場合 贈与税の配偶者控除は、相続税対策の一つの手段です。従って、将来の死亡時の相続財産が相続税の基礎控除(5000万円+ (1000万円 ×法定相続人の数))以下のときは相続税がかかりませんので、生前に財産を配偶者に移しておく特段の理由(親子・兄弟間が不仲であらかじめ少しでも配偶者に財産を譲っておきたい等)が無ければ配偶者控除の特例を使う必要は無いかもしれません。 ※ ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください |
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