手続き

No.225 戸籍の広域交付 ~ 戸籍・除籍が取得しやすくなりました

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第225号 令和6年4月発行

    A COLUMN ~記事~

    相続登記の義務化が始まりました が‥ ~ 焦る必要はありません が‥

     

    ご存じの方も多いと思いますが、4月1日より「相続登記の義務化」が始まりました。相続により不動産の所有権を取得した相続人は3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました。また、正当な理由なくその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります。

    簡略して読むと、「3年以内に相続登記をしなければ過料」となります。怖いですよね。登記しなければ罰金(正式には過料)なんて。でも、実際にはそんなに恐れる必要はありません。実務上は、3年を経過していることを登記官(法務局)が把握した場合、法務局から「相続登記してください」という通知が届きます。通知がなされても放っておいたら過料の可能性があるというだけです。

    つまるところ、通知が来てから対処しても間に合います。そもそも、山林や原野等活用がされていない土地にまで、登記官がすべて調査することも物理的に難しいと思います。通知すら来ない可能性も十分にあるということです。また、すぐに相続登記ができない場合は、逃げ道として「相続人申告登記」(後日「解説」で取り上げます)という制度も新設されました。

    結局、そこまで焦って相続登記をする必要はないというのが当職の考えです。(法務局や司法書士会に怒られてしまうかもしれませんが‥)

    むしろ、問題なのは相続登記を「できるときにやらないこと」です。相続登記をするには、原則、相続人全員の印鑑(同意)が必要となります。家族の関係性がよく、「いつでもハンコはもらえるし、放っておいてもいいや」と思って本当に放っておくと、後日大変なことになることもあります。例えば、相続人が亡くなってしまった場合、当事者が変わります(増えることも)。また、今は協力してくれる兄弟の資金繰りが将来悪くなったり、直接関係のない配偶者(夫・妻)が口を出し始めるといった事例も少なからず聞きます。「できるときにやらなかったばかりに、後から後悔」なんてことにならないように、相続登記しておきましょうね。

    相続登記に限ったことではありません。当職も日頃より職務を行う上で「できるときにやる」ことを心がけています。「面倒くさいから後回し」じゃなく、面倒くさいことこそ先に片付けちゃいましょう!

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    戸籍の広域交付 ~ 戸籍・除籍が取得しやすくなりました

     

    令和6年3月1日より、「戸籍の広域交付制度」が始まりました

     本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになったのです。

    以前は、住所地と本籍地が異なる方が、パスポートを取得するために戸籍謄本を取得しようと思ったら、本籍地の役所まで行くか、郵便小為替や返信用封筒を用意して郵送等で請求しなければいけませんでした。それが、住所地や勤務先等最寄りの役所で取得できるようになったのです。

    この制度により、「相続登記」の際にも戸籍・除籍の取得が格段に楽になりました。

     

     

     

    1 相続登記に必要な戸籍・除籍の取得 

    相続登記をするには、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍・除籍の謄本(証明書)が必要になります実際に相続登記の手続をする相続人(息子さん等)と同じ市に本籍を置いていれば、その取得は容易です。ただ、岡崎市に住んでいても、本籍は北海道なんて方も少なくありません。また、現在は岡崎市に本籍があっても、結婚前は九州に本籍があったり、引っ越しをする度に本籍地を変えているという方もいます。

    遠方の役所に戸籍・除籍証明書を請求をする場合、通常は郵送で請求することになります。請求書をダウンロードしたり、郵便小為替が必要になり手間がかかります。また、郵送で複数の役所へ何往復もしなければならない場合も多々あり、戸籍・除籍の取得だけで1カ月以上かかってしまうこともめずらしくありませんでした。それが、1カ所の役所ですべて取得できるようになったため、手間も時間も格段に節約できることになります。

     

    ※ 司法書士はこの制度を利用して職権で広域交付を受けることはできません。司法書士に戸籍・除籍証明書の取得を依頼した場合は、これまで通り各役所へ郵送で請求をすることになります。(ご本人の手間はかかりませんが、時間はかかります)

     

    2 広域交付で戸籍証明書等を請求できる方

    〇 本人

    〇 配偶者

    〇 父母、祖父母など(直系尊属)

    〇 子、孫など(直系卑属)

     

     

     

    3 注意事項

    上記請求できる方が市区町村の戸籍担当窓口に出向いて請求する必要があります

    ・ 郵送や代理人による請求はできません)

    ・ 本人確認のため、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。

    実際にこの制度が始まって非常に便利になったと思いますが、役所の戸籍窓口が混雑するようになったように思います。特に、印鑑証明書や住民票のコンビニ交付ができない自治体(名古屋市等)の役所では、戸籍の広域取得に限らず、印鑑証明書や住民票の取得にも時間がかかるようになっていますのでご注意ください。

     

     

     

    4 今後さらに便利に

    「マイナンバー制度の活用による戸籍証明書等に添付省略」

    「戸籍電子証明書の活用による戸籍証明書等の添付省略」

    が今後予定されています

     

     

     

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

    TOP