相続

No.67 「遺留分減殺請求」

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第67号 平成23年1月 発行


     

    二兎追者大忙
     ~ 兎年に思うこと
     毎年、当通信の1月号では、その年の干支にちなんで「新年の抱負」を述べてきました。今年は兎年。「うさぎ」から最初に連想したのが、当職が尊敬するある先輩が座右の銘にしている「二兎追者大忙」という言葉でした。当職が置かれている現在の状況に通ずるため、今年はこの座右の銘をパクらせていただきます。
     「二兎追う者は」と言えば普通は「一兎も得ず」、同時に二つのものをしようとすると、どちらも成功せずだめになってしまうことを表した諺です。でも、本当に二つのことを同時になすことはできないのでしょうか?単純に他人の2倍努力すれば、二つのことを同時になすことは可能ですよね。
     かねてより当職は、「司法書士事務所の所長」と「自閉症児を抱えた父親」という二つの役割をこなしてきました。仕事の片手間に家庭を顧みるというレベルではなく、家事も育児も本格的にやってきたという自負があります。結果、めちゃくちゃ忙しくはなりましたが、なんとか両立できていました。本気で他人の2倍努力してきたつもりです。

     今年はさらに、当職が所属する社団法人岡崎青年会議所で理事職を受けることになり、「三兎」を追わなければいけない状況になってしまいましたが、他人の3倍努力すればいいだけのことと前向きに考えていきます。

    解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。


    「遺留分減殺請求」 

       ~ 相続人の期待権
      遺留分とは、被相続人の一定の近親者のために法律上確保しなければならない相続財産のうち、一定の割合のことを言います。
    つまり、被相続人は相続財産を生前や死後に備えて自由に処分できるというのが現在の私有財産制社会の建前なのですが、これを無条件に認めると、配偶者や子供など遺族の生活保障や相続人による被相続人の財産形成の寄与(貢献度)が全く考慮されないことになります。
    そういった不都合をなくすため、被相続人と相続人両者の利益を調整しようという趣旨で存在するのがこの遺留分制度です。






    遺留分は、誰が相続人になるかによって、割合が異なります(民法第1028条)。

    ①両親のみが相続人となるとき(配偶者・子供がいない場合)
    → 被相続人の財産の「3分の1」

    ②その他の場合(配偶者と子供、又は両親)
    → 被相続人の財産の「2分の1」

    子供・両親が数人いるときは、各割合をその人数で均等に割ります。
    また、代襲相続人にも遺留分が認められます(民法第1044条)。




     遺留分は事前放棄が認められています。将来、相続が開始した場合に遺留分を侵害する贈与、遺贈があっても、それを減殺(遺留分相当の遺産を請求すること)しないという意思表示をすることです。
    この遺留分の事前放棄には家庭裁判所の許可が必要となります。
      許可の基準としては
       1.放棄が本人の自由意思に基づいていること
       2.放棄の理由に合理性があること
       3.放棄と引き換えに現金などをもらう代償性があること などとなっています。


    ・遺留分減殺請求は内容証明で行うべき
    ・遺留分の時効は相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間、相続の開始の時から10年間
    ・遺留分を無視した遺言書も有効である(そのために遺留分減殺請求権がある)
    ・実際に減殺請求しなければ、いくら請求権があっても財産は返ってこない。

    ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください

                 発 行
    司法書士 ながしま事務所

    司法書士 長 島  潤

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