相続

No.66 「寄与分」と「特別受益」

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第66号 平成22年12月 発行


     

    入念な準備の必要性

    ~ 相続の講演をしてきました

     先日、取引先の方に頼まれて「とよかわオープンカレッジ」の講座で相続に関する講演をしてきました。1時間半程度の講演でしたが、満員(といっても40名程度ですが)の受講者は皆真剣に当職の話に耳を傾けてくださいました。当職にとっても久しぶりの講演でしたが、伝えたいことが十分に伝えられた満足のいく講演となりました(手前みそですが)。
     実をいうと、当職には「講演」や「講義」の経験が結構あります。司法書士の受験生向けの講義(民法、商法、登記法等)や講演(司法書士の仕事の魅力について)、不動産業者さん向けの講義(宅建受験用)、高校生向けの講演(悪質商法等への対応)etc…。

     顧客の相談を受け、その解決策としての法律知識を提供するのが司法書士の仕事なので、他人に何かを伝える「講義」や「講演」は決して苦手な方ではないとは思いますが、何の準備もなく行えるものではありません。今回も1時間半の講演に対して、資料作成を含めおよそ8~9時間程度の準備時間を要しました。せっかく聞きに来てくださる方たちの期待を裏切るような講演はできませんから、この程度の準備は当然です。
     過去に当職は準備不足の講義をしたがために、苦い経験をしたことがあります。司法書士の受験生向けの講座(全10回)において、たいした準備もせずに持っている知識だけで対応しようとしたがために、講義内容が受講生に伝わらずに評判を落とし、初回に30名程度いた受講生が10回目には10名以下に減ってしまったのです。準備を怠ったなれの果てです。
     プライベートでは「なんとかなるだろう」という典型的O型気質の当職も、依頼された仕事に関しては徹底的な準備をして臨まなければならないと考えています。妥協して「なんとかなる」と思った時に限ってミスが出るんですよね。

    解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。

    「寄与分」と「特別受益」 

     ~ 相続人間の公平を図るための制度

     通常、相続が発生した場合、遺産の分け方について相続人間で話し合いの場が持たれます(遺産分割協議)。その際、法定相続分(民法で定められた相続割合)の通りに遺産を分けようとすると不公平が生じる場合があります。例えば、「私は長い間お母さんの看病をしてきたからもっともらっていいはず」とか、「兄さんは結婚したときにお父さんに家を買ってもらったから取り分はないはず」とか…。こういった不公平を是正するのが「寄与分」と「特別受益」です。





     相続人の中に、被相続人の事業を手伝った、金員などの財産の給付をした、病気を看病した、その他財産の増加などに
    特別の働きをした者がいる場合は、その者の働きの評価額(寄与分)を共同相続人間で協議して決定し、その評価額を
    相続財産から引いた残額を「遺産」と仮定して相続分を計算します。 

     ※ 相続人でない者、たとえば子の妻が仕事を手伝ったとしても、寄与にはなりません。また、特別の寄与であったというためには、たとえば
    妻が夫の療養看護に努めることは夫婦の当然の義務ですので、寄与にあたりません。







     相続人の中に、被相続人から特別の利益(①遺贈、②婚姻・養子縁組のための贈与、③生計の資本としての贈与等)を
    受けていた者がいる場合に、これを単純に法定相続分どおりに分けると、不公平が生じます。これを是正しようとするのが、
    特別受益の制度です。つまり、その相続人が遺産分割にあたって受けるべき財産額の前渡しを受けていたものとして扱わ
    れるのがたてまえです。





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