~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第122号 平成27年8月 発行
過払い金返還請求の現状 ~ 最高裁判決からもうすぐ10年
A COLUMN ~記事~
薩摩おごじょ ~ 当事務所に新人司法書士が入所いたしました
7月21日より、当事務所に新人の司法書士が入所いたしました。
かねてから業務多忙につき、司法書士有資格者の求人募集をしておりましたが、今年は司法書士業界も人手不足なのか、なかなか人材が集まらず苦労していました。そんな中、1本の電話が…「突然のお電話申し訳ありません。ホームページを拝見したのですが…」若干訛った女性の声。はじめは事務機か広告の営業の電話かと思ったのですが、話を聞くと、昨年の司法書士試験合格者で就職先を探しているとのこと。地元鹿児島に思うような就職先の司法書士事務所がなく、西日本全域で良い事務所はないかと探していたところ、当事務所のホームページまでたどりついたと言うではありませんか。こんなうれしい話はありません。喉から手が出るほど欲しかった司法書士有資格者から求職の電話。ただそれだけではなく、西日本中の事務所から当事務所を選んでくれたなんて!(ということは、当事務所は「西日本で働きたい事務所ナンバー1」ってこと?)
その後はとんとん拍子に話は進み、翌週には面接、採用決定、部屋探し、翌々週には鹿児島から2日かけて車で岡崎へ、最初の電話から3週間後には彼女「大塚左文」は当事務所の一員となりました。まだ、右も左もわからないので、当事務所の忙しさに慣れるのが精一杯のようですが、じきに貴重な戦力として活躍してくれるものと信じています。
鹿児島の男性は強気で頑固、女性は、気立てがよく、優しく、芯が通ったしっかり者といった気質があり、それぞれのことを「薩摩隼人」、「薩摩おごじょ」と言うそうです。「薩摩おごじょ」らしさを活かして、良く気がつき、お客様に対して優しく接することができるしっかり者の司法書士になってくれれば、それはもう言うことはありません。
なお、当事務所ではまだスタッフを募集しております。本通信をご覧の司法書士有資格者の皆様、遠方の方でも心配はいりません。どしどしご応募ください。
EXPLANATION ~解説~
過払い金返還請求の現状 ~ 最高裁判決からもうすぐ10年
債務者が貸金業者に払いすぎたお金のことを「過払い金」といいます。多くの方がもうご存じだとは思いますが、この「過払い金」は貸金業者から返してもらうことができます。
利息制限法(年利15%~20%)を超える高金利で貸し付けを行う業者に対し、利息制限法を超える部分の利息を受け取ることを違法だと判断した「平成18年1月の最高裁判決」から、もうすぐ10年になります。この最高裁判決以降、貸金業法・出資法の改正や、多くの貸金業者の廃業等もあり、過払い金返還請求手続をとりまく環境は大きく変化してきました。
そこで、本号では、近年の「過払い金返還請求」についてとりあげます。
① そもそも「過払い金返還請求」とは?
「過払い」とは、消費者金融やクレジット会社と長年の借り入れ取り引きを行っていた場合、法律で規制された本来支払うべき金額以上のお金を返済している状態ことを言います。過払いが発生した場合、債務者は債権者(貸金業者)に返還するよう主張することができます。これを「過払い金返還請求」といいます。
※ なぜ「過払い」が発生するのか? なぜ「過払い金返還請求」が必要なのか?
・平成21年(出資法改正)以前は、利息制限法という法律で定められた金利(15%~20%)を超える利息(例えば年利29.2%)で貸し付けをする貸金業者が多くいた。
・利息制限法を超える利息は無効だという争いは以前からあったが、平成18年1月に最高裁判決で無効であることが確定した。
・ただし、債務者側から請求をしなければ過払い金の返還を受けることはできない。(最高裁判決が出たからといって、当然に返してもらえるわけではない)
貸金業者が高金利をとる理由としていた出資法という法律が改正(平成21年)されたことにより、現在は利息制限法を超える利率で貸し付けをしている正規業者はいません。そのため、平成22年以降に借り入れを始めた方については過払いが発生する可能性はありませんが、それ以前より長期の借り入れをされていた方は過払いになる可能性が高いといえます。
<参考>金融庁HP「貸金業法のキホン」(http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html)
② 過払い金返還請求の「時効」
過払い金返還請求はいつまでもできるわけではありません。過払いの原因となった借入を完済してから10年で「時効」が成立してしまうため、それ以降は請求ができなくなります。
完済できずに、ずっと返済を続けている方については、時効にかかることはありませんが、多くの貸金業者が平成18年の最高裁判決以降、債務者との契約を更改(改めて契約をし直すこと)をしているため、判決から10年を経過する平成28年以降、過払い金返還請求が時効によりできなくなる方が増えることが予想されます。
③ 過払い金返還請求について「近年の傾向」
・早期返還する代わりに、返還額の大幅なの減額を求められるケースの増加 ~以前は中小の業者に多かったが、最近は大手業者であっても訴訟をせずに満額の返還を受けることは困難になってきています。
・訴訟の減少 ~以前は訴訟をすることで、返還額を増加して和解できるケースが多かったのですが、最近は訴訟手続の途中で和解することが困難になってきている。判決をとるには時間がかかる上、業者によっては敗訴しても支払わないものもいるため、訴訟による過払い金返還請求は激減しています。
・中小の業者からの返還が困難に ~倒産はもちろん、廃業や債権譲渡により、意図的に返還を困難にさせる悪質な業者が中小の業者を中心に増えており、泣き寝入りするケースが増えています。
・倒産業者(武富士、クレディア、ニコニコクレジット、アエル等)の過払い金は請求できません。
平成28年以降、過払い金返還請求はより困難になることが考えられます。お早めにご相談ください。