不動産登記

No.134「家を建てた時の登記」

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第134号 平成28年8月 発行

     

    「家を建てた時の登記」~ 建物表題登記と所有権保存登記

    A COLUMN ~記事~

    ツバメの巣立ち ~ 頼りない親でも

    当事務所の軒下に、何年かぶりにツバメが営巣しました。巣の中でかえった3羽の雛は、すくすくと成長し、つい先日、3羽とも立派に巣立っていきました。巣の中の雛鳥たちは、自分たちだけの力で成長し、巣立ったわけではありません。当然のことですが、親鳥の世話があってこそ、雛鳥たちは成長できたのです。当職も、親鳥が巣をつくるところから、他の鳥から巣を守る姿、そして毎日エサを捕ってきて雛に与える姿を見守ってきました。その姿は本当に献身的なものでした。

    当職も3人の子を持つ父親です。先日、一番上の長女が、結婚をし、わが家を巣立っていきました。ツバメの親鳥と比べると、決して献身的な世話ができていたとは言えません。父子家庭という環境をいいわけにするわけではありませんが、娘に対しては至らない父親だったと思います。逆に娘に助けられることも多々ありました。そんな環境の中でも、娘はなんとか成長し、自立していってくれました。

    また、当事務所からは、開業から11年で7名の司法書士が独立開業して巣立っていきました。親鳥の立場である当職ですが、彼らに対し、献身的が世話ができていたかと言われると、まったく自信がありません。むしろ、事務所内においては、親鳥である当職が雛鳥たちに助けられているような状況でした。現在も、2羽の雛鳥(当事務所に勤務してくれている司法書士)には、助けられてばかりです。

    ツバメと違い、人間の場合は、頼りない親のもとでも、子は成長していきます。親の至らない部分を助けることで経験を積み、また時には親の悪い部分を反面教師にして、立派に成長してくれます。ツバメもすばらしいけど、別の意味で人間って本当にすばらしい!

    わが家の残り2人の子どもたちも、当事務所の司法書士たちも、近い将来、立派に巣立っていってくれるはずです。
    残される当職が若干心配ですが…

    EXPLANATION ~解説~

    「家を建てた時の登記」  ~ 建物表題登記と所有権保存登記

    マイホームを建てた際、どのような登記手続が必要となるかについては一般にはあまり知られていません。住宅メーカーさんの言われるがままに書類にハンコを押していればいつのまにか登記が完了しているというのが現実かもしれませんが、一生に一度の大きな買い物をするのにその内容や手続を知らないというのは少し考えものです。
    そこで本号では「家を建てた時に必要となる登記」について解説します。

    ① 「家を建てた時」どんな登記が必要となるの?

    ・ 建物表題登記 
    ・ 所有権保存登記
    ・ 抵当権設定登記 ~ 住宅ローンを借りる場合に必要
    ・ 登記名義人住所変更登記 ~ 新居に住所を移した時、敷地について必要となることがある  etc…

    ② 建物表題登記

    建物表題登記は一般に「表示登記(ひょうじとうき)」と呼ばれています。表示登記とは、「この建物は平屋なのか2階建なのか、広さはどのくらいか、どのような構造になっているのか、などという建物の物理的現況を示すための登記」のことです。
    表示登記には申請義務があり、建物建築後1カ月以内に申請しないと10万円以下の過料を科されることになります。(実際に過料を科されたという話は聞いたことはありませんが…。)

    → 表示登記には、測量、図面作成等に専門的な知識が必要となるため「土地家屋調査士」に依頼されることをお勧めします。

    ◎ 建物表題登記に必要なもの
    ・ 建築確認通知書(確認済証)
    ・ 完成検査済証 又は 建築業者の引渡証明書及び印鑑証明書
    ・ 設計図(平面図など)
    ・ 建築主の住民票
    ・ 建築主の委任状(土地家屋調査士に依頼する場合)
    ・ 登記申請手数料(土地家屋調査士に依頼する場合)

    ③ 所有権保存登記

    所有権保存登記は一般に「保存登記」と呼ばれています。保存登記とは、「表示登記により登記された建物が誰のものか示すための登記」のことです。
    保存登記は表示登記と異なり申請義務はありませんが、登記を怠ると第三者に対し「この建物は自分のものだよ」ということを主張(法律的には「対抗」)できません。そのため、銀行等で融資を受けて建物を建築する際には、保存登記は必ずしなければなりません(銀行に対して「自分の建物である」ことを主張する必要があるため)。
    また、保存登記を完了すると登記所から「権利証(登記識別情報)」が交付されます。言い換えれば、「保存登記をしなければ権利証はは手に入らない」ということになります。

    → 保存登記の際の建物評価額の算定、住宅用家屋証明の取得(要件を満たしているかどうかの判断)には専門的な知識が必要となるため、「司法書士」に依頼されることをお勧めします。

    ◎ 所有権保存登記に必要なもの
    ・ 建築主の住民票
    ・ 建築主の委任状(司法書士に依頼する場合)
    ・ 登記申請手数料(司法書士に依頼する場合)
    ・ 登録免許税(印紙代・建物の評価額の4/1000)
     住宅用家屋証明(住宅用の建物の場合、この証明書を添付することで登録免許税が1.5/1000(特定長期優良住宅等に該当する場合が1/1000)に軽減されます。

    ※住宅用家屋証明の交付 ~ 建物所在地の役場(税務課・市税事務所)で交付を受けられます。
    必要書類 : 住民票(建物所在地に住所を移したもの)、建築確認通知書(確認済証)、表示登記の登記完了証及び申請書の写し、特定長期優良住宅等として証明を受ける場合はその証明書、手数料1300円(豊田市は1000円)

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください

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