不動産登記

No.135「不動産決済の立ち会い」

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第135号 平成28年9月 発行

     

    「不動産決済の立ち会い」  ~ 司法書士の職責

    A COLUMN ~記事~

     ~ 父子家庭の憂鬱

     ご存じの方もいるでしょうが、当職の家庭は父子家庭です。子ども3人(1人独立したので今は2人)を男手ひとつで育ててきました。仕事をしながら、家事育児は大変ですが、特に大変なのが「夏休み」です。普段は朝食を食わせて学校へ送り出せば一段落。出勤までは洗濯をするくらいで、ゆっくりコーヒーを飲みながら新聞を読むくらいのことができるのですが、夏休みはそうはいきません。

    夏休みの父子家庭は弁当づくりから始まります。子どもたちは日中、学童保育(岡崎市では「センター」と言います)とデイサービス(当職の息子は自閉症児です)に行くので、弁当を持たせる必要があるのです。弁当をつくったら、子どもたち起こして、朝食。2人をセンターとデイサービスに送って行きます。その後すぐ事務所へ出所して仕事です。洗濯は朝している暇がないので、夜のうちに済ませておきます。夕方まで仕事をしたら、子どもたちを迎えに行って夕飯をつくり、一緒に食べます。その間も、当職の携帯電話はひっきりなしに鳴り続けます。宿題をやらせるようケツをたたいて、風呂に入って、子どもたちが寝たら洗濯をして、日によっては自宅で残した仕事を片付けて、一杯飲んで寝る。目が回るような毎日が続きます。また、平日遊びに連れていけないので、土日は家族サービスです。今年も、プールに、海に、花火に、遊園地にと、子どもたちには夏の思い出も必要です。

    今年は、おかげさまで例年の夏より仕事が忙しかったので、特に大変でした。でも、そんな夏休みも、ついに終わりました\(^o^)/。毎年夏休みを終えると、当職はレベルアップします。大変な一ヶ月半を乗り切ったことで、タフになると共に要領がよくなり、仕事も家事も夏休み前よりたくさんこなせるように成長するのです。

    夏休みの間は、当職が仕事より家庭に割く時間が増えるので、当事務所のスタッフにも多くの負担がかかります。スタッフも大変な夏を乗り切ったことで、レベルアップしてくれているでしょう。夏の疲れもあるでしょうから、十分にねぎらいつつも、秋以降、よりタフで、要領がよくなった彼らの活躍にも、ひそかに期待しています。

    EXPLANATION ~解説~

    「不動産決済の立ち会い」  ~ 司法書士の職責□

    司法書士の業務は不動産登記、商業登記、債務整理、裁判事務等多岐にわたりますが、ほとんどの事務所で主力業務としているのが、不動産登記業務です。その中でも、不動産売買の際の「決済立ち会い」のは、司法書士にとって最も多く携わる重要な業務のひとつです。

    ① 不動産の「決済」と司法書士の役割

    土地の購入や注文住宅の新築、中古マンションや一戸建を買う際に「契約」がなされますが、契約とは別に、売主と買主の間でお金のやり取りを行うことを「決済」(代金決済)と言います。(売買代金を決済することで、不動産の所有権は移転するので、「受け渡し」「引き渡し」と呼ばれることもあります。)
    この決済には、取引の安全上司法書士が立ち会い、確実に決済の資金が買主から売主に渡ったことを司法書士が確認し、その日の内に不動産名義変更の登記を行います。

    決済当日は買主、売主、不動産仲介業者、融資先銀行の担当者、司法書士が集まります。司法書士の役割としては、売買の対象物件や当事者、売買の意思、その他必要な書類を確認し、当事者へ説明を行います。必要な書類がそろっていないと登記できず、買主への名義変更ができないので、決済はできないということになります。登記ができる(買主への名義変更ができる)状態であることを確認してはじめて資金の移動が行われます。

    ② 決済当日の流れ

    ① 登記簿の事前閲覧 ~ 決済の当日、司法書士が当日の登記簿の状態を確認するために閲覧をします(現在は多くの場合、インターネットの「登記情報提供サービス」を利用します)。売買の妨げになるような、差押や、二重売買、担保設定等がないことを確認します。

    ② 本人確認、売買物件、意思の確認 ~ 決済が始まると、司法書士が売買の当事者の本人確認を行います(免許証等を利用)。その後、登記簿の写しを読み合わせして物件の確認をし、当事者の売買の意思を確認します。

    ③ 必要書類の確認と登記書類への署名押印 ~ 司法書士が登記に必要な権利証(登記識別情報)、印鑑証明書、住民票等の書類を当事者から預かり、確認をします。また、事前に用意した登記の書類(登記原因証明情報、委任状等)への署名・捺印を当事者にしてもらいます。買主が融資を受けて不動産を購入する場合には、抵当権設定登記に必要な書類を融資先の銀行から預かります。その他、住所変更登記や抵当権抹消の登記等が必要となる場合にはそれらのために必要な書類すべてが整っていることを確認します。

    ④ 売買代金の決済 ~ 司法書士がすべての確認ができ、間違いなく登記ができると判断すれば、売買代金の決済が行われます。仲介業者さん主導のもと、買主から売主へ売買代金の支払い(多くの場合は振込手続)がなされます。併せて、固定資産税の精算、仲介手数料、登記費用等の支払いもなされます。

    ⑤ 不動産の引き渡し ~ 代金決済と同時に、建物の鍵や建築確認済証(新築の場合)、説明書関係、測量の成果簿等を売主から買主に渡し、「不動産の引き渡し」を行います。

    ⑥ 登記の申請 ~ 決済終了後、その日のうちに、司法書士が法務局(登記所)へ、所有権移転登記、抵当権設定登記等の申請を行います

    ③ 司法書士が立ち会う必要性

    司法書士が不動産売買の決済に立ち会うのは、当事者の人・物・意思の確認をし、不動産取引の安全を担保するとともに、関係者すべての利害関係を調整し、円滑に手続きをすすめるためです。
    不動産登記の専門家である司法書士が立ち会いをすることで、「買主さん、不動産は間違いなくあなたの名義になりますので、安心して代金を支払ってください」と、安心して代金の支払いをしてもらうことができるのです。売主や仲介業者、融資銀行にとっても同様です。大金が動く不動産取引を司法書士がいることで安心して、円滑に行ってもらうことができるのです。

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください

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