~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第143号 平成29年5月 発行
特別受益 ~遺産分割の調整②
A COLUMN ~記事~
プレミアムフライデー ~ 当事務所は第1金曜日
世間では、今年2月末より、プレミアムフライデーが実施されています。プレミアムフライデーといえば、働き方改革をし、個人消費を喚起するために、毎月末金曜日の終業時間を午後3時としましょうというキャンペーンですが、皆さんの会社では実際に実施されていますか?
ある調査では、月末の金曜日に、午後3時終業が実施された企業は全体の1割程度。さらに、実際に午後3時に帰宅することができた人は4パーセント程度だったそうです。給料日後の金曜日を早じまいさせれば、消費が喚起されるという発想だったのかもしれませんが、月末は忙しいのが世の常。もっと、プレミアムフライデーが世間全体に浸透すれば状況は変わるかもしれませんが、簡単に早じまいなんてできませんよね。
当事務所でも、やっぱり1カ月の中で一番忙しいのは月末。繁忙期の3月、4月の月末に早じまいなんてとうてい無理なのが現状です。スタッフと「月末に3時に帰れなんてさすがに無理やろ」と話している中で、当職が「月初めの金曜日ならなんとかなるんじゃない?」とぽろっと言ってしまったことから、「じゃあ、うちの事務所は月初めの金曜日をプレミアムフライデーにしましょう!」ということになり、あれよあれよという間に決行することになってしまいました。
というわけで、毎月最初の金曜日(祝祭日の場合は翌週の金曜日)は当事務所のプレミアムフライデーです。スタッフ皆が3時に帰宅できるわけではありませんが、少なくとも、事務所の電話が繋がるのは3時までです。3時以降は当職の携帯に転送されます。月初めの金曜日、当事務所の優秀なスタッフにご用の方は、午後3時までにお電話ください。
午後3時以降は役立たずの所長が電話に出るのであしからず…
EXPLANATION ~解説~
特別受益 ~遺産分割の調整②
前号(ながしま事務所通信 第142号)で、遺産分割の不公平を調整するための制度「寄与分」についてとりあげました。本号では、もう一つ「特別受益」について解説します。
相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、贈与を受けたりした者がいる場合、この者が他の相続人と同じ相続分を受けられるとすれば不公平になってしまいます。そこで、民法では、相続人間の公平を図ることを目的として、生前に受けた贈与等を相続財産に持ち戻して計算し、各相続人の相続分を算定することにしています。
わかりやすく言うと、「お兄ちゃんは家を建てる時に、お父さんからたくさん援助してもらったんだから、相続の取り分はその分少なくするからね!」ということです。
この「生前に受けた贈与等」を「特別受益」と呼びます。
① 特別受益がある場合の計算方法
1.被相続人が死亡し、共同相続人が相続する場合に、共同相続人中のある者が、
① 遺贈を受けた。
② 被相続人の生前に結婚や養子縁組の為に財産の贈与を受けた。
③ 住宅資金など、生計の為に贈与を受けた。
場合は、被相続人が死亡時に持っていた財産に生前もらった財産の価格を加え、その合計額を「相続財産」と仮定し、これをもとにして、各相続人の相続分を計算します。□
2.特別利益を受けた者の相続分については、上記の「相続財産」の自己の相続分から上記①②③の特別受益分を「差し引いた残額」となります。
3.もし、2で計算した額がゼロかマイナスになったときは、特別受益を受けた者は相続分を受け取ることができず、相続分はゼロとなります。
4.仮に、被相続人が、「特別受益を受けた者には上記①②③のような財産を与えたが、それは別として、残った財産を各々の相続分により相続させる」といったような上記1~3とは違う意思を表示をしたときは、各相続人の遺留分を侵害しない範囲内で、その意思表示は有効となります。
② 「特別受益」の計算の具体例
事例
被相続人Aは5000万円の財産の残して死亡した。Aの相続人には、妻B、長男C、二男Dがいる。
Aは、長男Cに自宅購入資金として1000万円を贈与し、二男Bに事業資金として500万円を贈与している。
この場合の各相続人の具体的相続分は下記のとおりとなります。
(みなし相続財産)
5000万円+1000万円+500万円=6500万円□
(各相続人の一応の相続分)
妻B 6500万円×2分の1=3250万円□
長男C、二男D 6500万円×2分の1×2分の1=1625万円□
↓
(各相続人の具体的相続分)
妻B 3250万円
長男C 1625万円-1000万円=625万円
次男D 1625万円- 500万円=1125万円□
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