不動産登記

No.150 離婚の際の登記

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第150号 平成29年12月 発行

     

    離婚の際の登記 ~ 財産分与

    A COLUMN ~記事~

    穴場が快適 ~ 紅葉狩りに行ってきました

     
    紅葉の季節も終わりに近づき、本格的な冬の足音が聞こえる時期になってきました。冬から春にかけては、司法書士にとって忙しい季節です。毎年、「忙しくなってきたら冬が近づいている」と感じる程度で、季節の移ろいを楽しむようなことはあまりしてきませんでしたが、今年は珍しく『紅葉狩り』に行ってきました。

    目的地は豊田市と岐阜との県境旧稲武町大井平公園。寄り道をしながら約2時間のロングドライブです。山沿いやダムの周りの紅葉を楽しみつつ、渋滞をすることもなく快適な道中でした。大井平公園は、見事な紅葉が川沿いと山の中腹まで広がっており、人混みもなく、散りゆく紅葉を満喫することができました。

    紅葉で有名な香嵐渓まで行っていたらどうなっていたでしょう。紅葉の規模は大井平公園より大きいとは思いますが、テレビで見るとものすごい人混み。道中も渋滞で通常1時間ちょっとで行けるところ、渋滞で間違いなく2時間以上かかっていたことでしょう。疲れで紅葉の余韻も吹っ飛び、帰ってくるころには「ただただ疲れた」という印象だけで終わっていたような気がします。

    皆がこぞって行く「定番」より、いわゆる「穴場」が当職は好きです。飲食店でも、並ばないと食べられない有名店より、混んではいないけど実はおいしいなんてお店が好きです。

    当事務所も、「大手ではないけれど、実は任せて安心」なんて言われるようになりたいものです。

    EXPLANATION ~解説~

    離婚の際の登記 ~ 財産分与

    昔は「離婚」といえば大変な負のイメージがありましたが、近年はそう珍しくもなくなっているのが現実です。離婚を「新たな人生の再スタート」ととらえる前向きな方も増えています。ただ、先立つものがなければ、なかなか再スタートは切れません。そこで、離婚をした人の一方は、離婚の相手方に対して、夫婦がともに築いた財産の分け前を請求することができます。これが「財産分与」です。そして、分与した財産が不動産である場合、財産分与による所有権移転登記(名義変更)が必要となります。

    ① 財産分与の登記の必要書類(協議離婚の場合)

    協議離婚の場合には、財産分与をする方、財産分与を受ける方が共同で登記申請をします。

    〇財産分与する方の必要書類
    ・不動産の権利証、または、登記識別情報通知
    ・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
    ・印鑑(実印)
    ・固定資産評価証明書(登記をする年度のもの)
    ・離婚の記載のある戸籍謄本

    〇財産分与を受ける方の必要書類
    ・住民票
    ・印鑑(認め印)

    ※ 司法書士に依頼する場合は、双方の本人確認資料(免許証等が必要です)

    ② 財産分与の登記の必要書類(裁判上の離婚の場合)

    調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合、財産分与を受ける方が単独で登記申請できることがあります。このときは、登記をする際に相手方の協力を得る必要がありません。

    〇財産分与を受ける方の必要書類
    ・調停調書、審判書、和解調書等
    ・住民票
    ・認め印
    ・固定資産評価証明書(登記をする年度のもの)
    ・離婚の記載のある戸籍謄本

    ※ 司法書士に依頼する場合は、財産分与を受ける方の本人確認資料(免許証等が必要です)

    ③ 財産分与の登記の注意点

    ◎ 財産分与の日付について
    登記される財産分与の日付は、財産分与の協議が成立した日です。ただし、協議離婚による場合で、離婚届提出前に財産分与の協議が成立していたときには、離婚届を提出した日が財産分与の日付となります。

    ◎ 住宅ローンの債務者変更について
    住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。
    たとえば、夫が所有者で、かつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとします。この場合、所有者は妻となりますが、住宅ローン債務者は夫のままです。債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要があります。

    ◎ 財産分与と税金(贈与税など)
    財産分与として不動産(土地、建物など)の名義を変更した場合に、贈与税がかかることは通常ありません。財産分与は贈与ではなく、財産分与は夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためにおこなわれるものだからです。また、不動産取得税についても、共有財産の清算的な財産分与であれば課税されません。
    ただし、財産分与をした側には譲渡所得の課税がおこなわれることになります。さらに、不動産の名義変更をする際には、登録免許税もかかります。

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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