相続

No.204 相続登記の義務化

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第204号 令和4年7月発行

    A COLUMN ~記事~

    物価高騰 賃金は? ~ 司法書士を募集中です

    ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、物価が高騰しています。実際に買い物に行くと、食料品や日用品ものきなみ1割~2割程度値上げしているように感じます。テレビやネットのニュースでは、日本は「物価は上がっても給料が上がらない」ことが問題だとはやし立てています。ただ、一部の企業では優秀な人材を獲得するために給料を大幅に上げているとも聞きます。優秀な人には高い給料を、そうでない人にはそれなりに…。日本も諸外国と同様になっていくのでしょうか?平均給与は上がっても、貧富の格差が拡大するのでは…。

    いろいろと問題は山積ですが、当職は学者でも政治家でもないので、難しい話はこれくらいにして、当事務所のお話です。

    当事務所は物価高騰とは一切関係なく、給料の大幅アップを決定しました。常々、この業界の勤務司法書士の給料は総じて安すぎると思っておりました。当事務所の司法書士の給料は他の事務所と比べて決して安いわけではありません。それでも、一般企業の同世代に比べると明らかに劣っています。独立開業するために、修行している、仕事を教えてもらっているという「丁稚奉公」の考え方からか、昔から勤務司法書士の給料は安く抑えられてきました(当職が勤務司法書士だったころは今よりもっと安かったですが…)。難関試験を突破して、専門的な知識を持って責任ある仕事をしているのに低賃金なんておかしいですよね。

    本音を言うと、今回の昇給は、司法書士資格者の人材確保のためです。当事務所の勤務司法書士もいずれ独立開業をして辞めていきます。仕事量は減ってないのに人が減っていくというのでは、残った者への負担がどんどん大きくなってしまいます。そこで、他事務所より良い給料を出して人材を確保したい。いたって自然な考えだと思っています。

    当事務所の昇給により、この業界全体の給料が上がって、司法書士になりたいという若者が増え、人材が豊富になって、人手不足も解消!なんてことは、AIが発達して将来仕事が減ることを危惧しているこの業界では、夢物語なのかもしれませんが…

    今年もつい先日、司法書士試験が行われました。この通信を見ている合格者の方がいらっしゃったら、ぜひ当事務所の門をたたいてみてください。 ←これが一番言いたい(^^;)

     

    EXPLANATION ~解説~

    相続登記の義務化

     

    土地や建物の相続時には相続登記(名義変更)の手続きが必要ですが、これまでは期限が設けられていませんでした。

    しかし、昨年相続登記の義務化の法案が国会で可決されました。これにより、一定の期限内に「土地の相続登記」をしなければならなくなります。

    この義務化の法律はまだ施行されていません。(現時点ではまだ義務化はされていません)が、施行日は2024(令和6年)4月1日、そんなに先の話ではありません。

    相続登記がお済みでない場合には、ぜひ司法書士にご相談ください。

     

     

    1 相続登記の義務化の目的

    相続登記の義務化の目的はズバリ「所有者不明土地問題の解決」です。

    登記上、所有者がわからない又はわかっていても所有者と連絡がつかない土地が、日本の土地全体の約20%にのぼります。

    所有者がわからないと、土地が管理されず放置されたり、土地活用をしたくてもできなかったり、固定資産税の未納が発生したり、多くのデメリットがあります。

    この、「所有者不明土地」の多くは、相続登記を怠ったことにより生まれます。相続登記が未了の場合、登記記録上所有者は故人のままなので、「所有者不明」となってしまうのです。一代二代なら、まだ相続人を追うことは可能ですが、時間が経てば経つほど、相続人の高齢化が進み、さらには亡くなってどんどん相続人が増え、所有者を特定できなくなっていきます。

    そこで国は、相続登記を義務化することにしたのです。

     

    2 相続登記義務化の概要

     「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない

    「申請をすべき義務がある者(相続人等)が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する」

     相続登記せずに3年放置していると10万円以下の科料(罰金のようなもの)を支払わなければならなくなります。

     

    3 相続登記義注意点

    ① 施行前に相続が発生した不動産においても所有権移転登記(相続登記)が義務となります

    2024年4月以前に亡くなった方の不動産についても、相続登記をしなければいけません。

    ② 登記所による住民基本台帳ネットワークシステムの利用

    今まで法務局の登記官が不動産所有者の死亡の情報を得る手段はありませんでしたが、今回の法改正で登記所住民基本台帳ネットワークシステムから所有権の登記名義人の死亡情報を取得するための仕組みが設けられました。

    ③ 相続人申告登記制度の新設

    所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、自らがその相続人である 旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなす。

    相続人間の協議(話し合い)がついていなくても、とりあえず法務局に申し出ることで科料を免れることができるようになります。

     

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください

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