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No.205 時効の援用 ~ 債務の消滅時効

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第205号 令和4年8月発行

    A COLUMN ~記事~

    働いた証? ~ 走行距離と実労時間

     

    6年間乗った車を買い換えることにしました。まだ乗れると思っていたのですが、ウクライナ情勢等の影響による半導体不足のため、車種によっては注文から納車まで1年以上かかるとの事情から、買い換えを決断しました。

    走行距離は16万㎞。年間25,000㎞以上走った計算になります。車に乗る方なら、よく走ったなぁと感じていただけるかと思います。

    当事務所の営業範囲は愛知県下全域。お客様に会うために県外へ出張することもあります。たくさん車に乗ったということは、たくさん働いた証。6年間よく働いたなぁ…と思う反面、車に乗って移動している時間が、お客様に会ったり、事務処理をしている実働時間より長いなんて日も多々あったのも事実です。

    移動時間を効率的に減らすことができれば、もっと仕事ができたのかもしれません。次の6年は逆に走行距離を減らし、実働時間をもっと増やしていきたいと思っています。走行距離半減が目標かな。

    それにしても、6年16万㎞、家族よりも一緒にいた時間が長い「俺の相棒」。調子が悪くなったことは一度もなく、いつも快適に目的地まで送り届けてくれました。

    今まで本当にありがとう

     

    EXPLANATION ~解説~

    時効の援用 ~ 債務の消滅時効

     

    債務には「時効」があることは皆さんご存じかと思います。 「借金は一定の期間が経過すれば時効で消える」と考えている方は多いでしょう。

    しかし、実は時効というものは期間の経過だけで成立するものではありません。期間が経過した後で時効の「援用」を行うことで、ようやく正式に時効が完成します。

    借金の支払義務を時効で消滅させたい場合は、時効に必要な期間の経過を待ってから、時効の援用を行います。 時効援用をしなければ、たとえ何十年経っていても時効が完成しません。借金はそのまま残り、利息や遅延損害金が増えていくことになります。また、信用情報への記載(ブラックリスト)も残るため、新規の借入(住宅ローン等)の審査が通らないこともあります。

     

     

    1 時効援用の方法

    時効援用は、相手方へ意思表示すれば足りるとされています。そのため口頭で「消滅時効を援用します」と伝えても、時効援用の効果は発揮されます。

    しかし、口頭では将来的に「言った・言わない」の水掛け論になるおそれがあるため、実務上は「内容証明郵便」で相手方へ伝える方法が一般的です。内容証明郵便を使えば自分・相手・郵便局のそれぞれに同じ文面の書類が残るため、意思表示をした証拠になります。

    なお、内容証明郵便の書き方自体はネットで調べることができますが、記載する内容に不備があると正確な意思表示なのかどうか後で問題になることがあります。司法書士・弁護士に依頼して、正確かつ法的に問題のない内容証明郵便を作成してもらうことが賢明でしょう。

     

    2 時効の援用をしなかったら

    時効の援用をしなければ、時効が完成しません。

    債権者は、時効が完成する前に訴訟の提起や強制執行をすることで、時効の完成を阻止することができます

    また、裁判所を使わずに、「すぐに1,000円だけ払ってもらえれば、利息を少しおまけします」「支払期日を伸ばしてあげます」と言ってくる債権者もいます。時効の援用前にこういった誘いに応じてしまうと、債務の「承認」という行為に該当し、せっかく重ねた時効期間が更新されてしまいます

    消滅時効の成立に必要な期間が経過したら、忘れずに時効の援用を行いましょう。

     

    3 債務の消滅時効はいつ?

    ① 一般の債権

    以下のいずれか早い方となります。

    ・債権者が権利を行使することができることを「知ったとき」から5年(主観的起算点)

    ・権利を行使することができるときから10年(客観的起算点)

    金融機関や貸金業者等からお金を借りた場合、債権者はお金を貸す契約をした時点で「権利を行使できること」を「知っている」ことが通常です。そのため通常の債権債務に関しては、「お金を借りたとき」から5年間を実質的な時効期間考えておくといいでしょう。

     

    ② 特別な債権

    ○ 不法行為による損害賠償請求権

    被害者またはその法定代理人が損害および加害者を「知ったとき」から3年、不法行為の時から20年 の早い方

    ○ 生命または身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間

    被害者等が損害及び加害者を「知ったとき」から5年、権利を行使することができるときから20年 の早い方

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください

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