遺言

No.226 自筆証書遺言保管制度 ~ 制度の落とし穴

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第226号 令和6年5月発行

    A COLUMN ~記事~

    おじさんのパワー ~ 続けることと維持すること

     

    先日、あるロックバンドのライブに行ってきました。当職が高校生の時に好きだった、結成して40年、メンバーチェンジを繰り返しながらも、現在も活動しているバンドです。そのバンドが結成時のオリジナルメンバーでライブをすると聞いて、三十数年ぶりに当職も参戦することにしたのです。

    決して大きなライブハウスではないのですが、会場に入ってみると、おじさんおばさん達でほぼ満員。薄くなった髪でリーゼントをしていたり、真っ赤な革ジャンで決めていたり。「いい歳をして‥」と言われてしまうかもしれませんが、皆若い頃と同じように楽しみたいんだなという雰囲気が伝わってきました。ライブが始まると、三十数年前と同じように大盛り上がり。還暦を過ぎたメンバーが、当時と変わらない、むしろ当時以上のパフォーマンスを見せてくれ、同世代の観客達も、ジャンプし、手を振り上げ、時にはヘッドバンキングをしながら大合唱。年齢を感じさせない3時間を過ごさせてもらえました。(さすがに終わった後はみんな息があがっていましたがw)

    正直、そこまで有名ではありませんが、当時から熱狂的なファンが一定数いるバンドでした。ただ、ファンも高年齢化し、CDも売れなくなった昨今、サザンやミスチルのように売れ続けいるわけでもないのに、現在まで活動を続けてくれていることに尊敬と感謝を感じました。また、年齢を重ねても若い頃と同じボルテージを保ち続けていることがまた凄い。続けることと維持すること、なかなかできそうでできないですよね。

    当職も50歳、当事務所も開業してもうすぐ20年ですが、彼らに比べたらまだまだ若造です。開業当時の意気込みで、経験を重ねたことで当時以上のサービスで、お客様を満足させていかなければと思った一夜でした。

     

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    自筆証書遺言保管制度 ~ 制度の落とし穴

     

    自筆証書遺言保管制度(自筆で作成した遺言を法務局で保管してもらえる制度)が始まってもうすぐ4年になります。 自筆の遺言書を紛失するおそれがないとか、開封時に必要なの検認手続が不要であるとか、制度が始まった際は一定のメリットがあると感じていました。

    ただ、先日実際にこの制度を利用して遺言を遺した方の相続人が当事務所に来所されて相続登記を依頼いただいたのですが、ご本人も想像していなかった落とし穴が‥。 遺言を保管してもらえたから、「もう大丈夫」と思っていたら、前々大丈夫ではなかったのです。

    そこで、この「自筆証書保管制度」について改めて解説します。

     

     

     

    1 自筆証書保管制度の特色  

    自筆証書遺言を法務局で保管してもらえることで以下のようなメリットがあります。

    ・遺言の改ざんや紛失を防ぐことができる

    ・遺言書が方式不備で無効となることを防ぐ(法務局職員が外形的に有効であることを確認してくれるため)

    開封時の「家庭裁判所の検認」(相続人全員へ通知がされる)が不要

     

     

     

    2 遺言書保管の申請


    ① 自筆証書遺言を作成する

    ② 保管の申請をする遺言書保管所(法務局)を決める

     ※ ・遺言者の住所地又は本籍地 ・遺言者が所有する不動産の所在地 のいずれかを管轄する法務局

    ③ 申請書を作成する  

     ※ 法務省HPからダウンロード 又は 法務局窓口でもらう

    ④ 保管の予約をする(事前予約制) 

    ※ 法務局手続案内予約サービス専用HP 又は 法務局へ電話・窓口 で予約

    ⑤ 保管の申請 ~遺言者本人による(司法書士等代理人による申請はできません)

    必要書類
    □ 遺言書
    □ 保管申請書
    □ 顔写真付き官公署発行の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、旅券等)
    □ 手数料(1件につき3,900円)

    ⑥ 保管証を受け取る

     

     

     

    3 遺言書情報証明書の請求


    「遺言者が亡くなられたら」
    相続人等は遺言情報証明書の交付請求をし、遺言書の内容の証明書を取得できます

     → この証明書が遺言書の効力を有しているので、証明書で預金の解約や相続登記等の手続ができます

    ① 交付の請求書を作成する  

    ※ 法務省HPからダウンロード 又は 法務局窓口でもらう

    ② 郵送で請求する 又は 窓口での交付請求の予約をする

    ③ 交付の請求をする

    必要書類
    □ 交付請求書
    □ 遺言者の出生~死亡までのすべての戸籍(除籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本と住民票(又は法定相続情報一覧図)
    □ 顔写真付き官公署発行の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、旅券等)
    □ 手数料(1件につき1,400円)

    ④ 証明書を受け取る

     

     

     

     

    4 制度の問題点

     

    ① 申請時の法務局職員による確認は「外形的」なものに限る

    外形的に遺言書が有効であることの確認はしてもらえますが、その内容についての確認はしてもらえません。つまり、遺言書の内容が法律的に無効であったり、実務上必要な事項が記載してなくても受け付けられてしまいます。

    (例)
    ・相続人以外の者へ「相続させる」旨の遺言
    ・遺言執行者(実際に手続する人)の記載のない遺言  →遺言書を残したのに相続人全員の協力が必要になってしまう

     

    ② 関係遺言書保管通知

    相続人等が遺言書情報請求書の請求をすると、その他の相続人全員に遺言書が保管されている旨が通知されます

    → この通知により「遺言書がある」ことが全相続人に知れてしまうため、争いの火種になることも

     

     

    → 遺言書は公正証書で作成を!!!

     公正証書遺言の場合、公証人が遺言内容の確認もしてくれます(相談には乗ってくれないので、司法書士や弁護士に事前に相談して遺言内容を決めるとなお良い)。他の相続人への通知もなされないので、余計な争いが起こる可能性も低くなります

     

     

     

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

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