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No.227 相続人申告登記 ~ 相続登記ができない場合

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第227号 令和6年6月発行

    A COLUMN ~記事~

    みにくいあひるのこ ~ 希少種「胡麻柴」

     

    わが家の柴犬の毛は「こげ茶色」です。厳密に言うと「黒と茶のまだら」です。通常、柴犬の子犬はこげ茶色で、成長が進むにつれて茶色になっていくそうです。わが家に柴犬がやってきたとき、その毛色は「こげ茶」でした。成長するにつれ「茶色」になってくるだろうと思っていましたが、一向に変わらず「こげ茶」のままでした。きれいな茶色の柴犬を見ると、「うちの子はちょっと変わってる」、「ひょっとして純粋な柴犬ではなく雑種?」とちょっと心配になったものでした。

    きれいな茶色でなくてもかわいいし、これがわが家の愛犬の個性だと受け入れていたところ、先日散歩中に秋田犬を連れたご婦人に、「この子希少種なんでしょ、初めて見た」と声をかけられました。希少種だって?!。さっそくネットで調べてみると、こげ茶色の柴犬は「胡麻柴」と言って、柴犬全体の3%以下しかいない本当に希少種とのこと。黒(約20%)や白(約10%)の柴犬よりずっと珍しい毛色なのだそうです。ちょっと誇らしい!!!!

    童話「みにくいあひるのこ」ではありませんが、まわりとちょっと違うくらいで劣等感を抱いたりする必要はないですよね。わが家の愛犬は成長してみたら実はシェパード(白鳥)だったなんてわけではありませんが、同じ柴犬でも希少種だったわけで。あの童話の説く通り、「先入観や見た目で判断してはいけません」よね。

    そもそも、何色の毛色であろうが、わが家の愛犬が一番かわいいって事実は変わらないのですから(親バカwww)。

     

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    相続人申告登記 ~ 相続登記ができない場合

     

    令和6年4月より、相続登記が義務化されました。相続登記を怠ると最大10万円の過料に課せられます。

    しかし、様々な理由によって相続登記ができない場合もあります。

    そのような場合でも、不動産の相続人が誰であるかを明らかにし、過料を免れることができるよう新設されたのが「相続人申告登記」です。

     

     

    1 相続登記ができない場合

    相続が発生すると、遺産分割方法を指定する遺言がない場合は、相続人全員で財産をどう分けるか話し合う遺産分割協議をする必要があります。本来なら、相続人のうち誰が不動産を引き継ぐか遺産分割協議で決めて、その人への名義変更(相続登記)をすることになります。

    しかし、①相続人の中に認知症などで判断能力がない人がいる ②相続人の中に遺産分割協議に応じない人がいる ③相続人の中に行方不明の人がいる といった場合にはすぐに遺産分割ができません。

    これらの場合、成年後見人申立(①の場合)、遺産分割調停(②の場合)、不在者財産管理人選任または失踪宣告(③の場合)といった手続を経る必要があります。いずれも、時間がかかる手続であるため、すぐに相続登記をすることができません。

     

     

    2 相続人申告登記

    「相続人申告登記」とは、なんらかの理由で相続登記ができない場合に、不動産の名義人の相続人が誰であるかを明らかにする登記です。

    遺産分割協議を経て、正式な相続登記をする前に、この相続人申告登記をすれば、登記の義務を果たしたことになり、過料を科せられることはなくなります。

    相続人申告登記の申出は、相続人のうちの1人が単独で申出することができます。また他の相続人の分について、代理でまとめて申出することもできます。

     

    甲の相続人全員でなくとも乙と丙又は丁が単独で、相続人申告登記をすることも可能です

     

     

     

    3 相続人申告登記の申請

    ① 管轄法務局と申請方法

    不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。必要書類を法務局の窓口へ持参、郵送又は、法務省のサイトからオンラインで申請することも可能です。

    Webブラウザから、かんたん登記申請

     

    ② 必要書類

    ・申出書

    ・申出人が所有者の相続人であることが分かる戸籍謄本等

    ・申出人の住所を証する情報

    ・委任状(代理人が手続を行う場合)

     

    ③ 登録免許税はかかりません (通常の相続登記は不動産の価格の0.4%の登録免許税がかかります)

     

     

     

    4 注意点

    相続人申告登記は、誰が不動産の所有者かを確定するものではありません。そのため、

     相続人申告登記しても、そのままでは不動産を売却したり、担保に入れることはできません。

    ・ さらに相続が発生すると、より権利関係が複雑になります 

    そうならないよう、相続人申告登記が完了したからといって安心することなく、早めに相続登記の申請をしましょう

     

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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