手続き

No.232 相続人がいない場合 ~ 相続財産清算人

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第232号 令和6年11月発行

    A COLUMN ~記事~

    秋はどこいった? ~ 秋の味覚は満喫したけど

     

    先日、経営者の先輩方にお誘いいただいて、「松茸」を堪能してまいりました。土瓶蒸し、焼き松茸、すき焼きから松茸ご飯と松茸のフルコースです。当職はいつも贅沢をしていると勘違いされても困りますので、言っておきますが、こんなに松茸を食べたのは生まれて初めてです。薄い松茸の入った土瓶蒸しや、申し訳程度に粒状の松茸が入った松茸ご飯しか今まで口にしたことはありませんでした。でも今回は、松茸を本当に満喫できました。正直。初めて松茸を「おいしい」と感じることができました。

    旬のものを食すということは、理にかなっているのですね。やっぱり、秋に秋のものを食べるとおいしいと実感しました。とはいえ、今年の秋は本当に来ているのでしょうか。10月になってもほぼ毎日夏日、11月に入っても日中は20度以上の気温の日が続いています。秋という季節が1年で一番好きな当職は、このまま秋を通り越して冬になってしまうのではないかと憂いています。

    地球温暖化の影響でしょうが、当職ができるのは節電くらいです。あらがっても仕方ないので、ちょっと涼しくなってきた今の「ちょっとだけ秋」を利用して仕事をがんばろうかなと思っています。今年の猛暑のさなか、外出を控えていた方が多かったのか、10月以降、おかげさまで当事務所へ相続の相談や、登記の依頼にみえる方が増えたように実感しています。

    秋は働きやすい季節でもあります。頑張りますので、皆様、散歩がてら、お気軽にご相談にお越しください。

     

     

     

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    相続人がいない場合 ~ 相続財産清算人

     

    財産を残して亡くなった方に相続人がいない場合、その遺産は誰のものになるのでしょうか?

    被相続人(亡くなった方)に、配偶者や子、兄弟姉妹といった相続人がいない場合、相続人が相続放棄をした場合などが考えられます。

    過去に本通信(第194号)でも取り上げたテーマですが、2023年4月1日改正民法施行により、若干制度も変更になっていますので、改めて取り上げたいと思います。

     

     

    1 相続財産清算人

    改正民法により、改正民法により従来の「相続財産管理人」が「相続財産清算人」へと名称変更されました。
    さらに、新たに「相続財産管理人(※従来の相続財産管理人とは異なります)」制度が設けられました。

     「相続財産清算人」は従来の相続財産管理人と同様、相続人のあることが明らかでないときに、相続人に代わって相続財産の管理・処分を行います

    改正民法の「相続財産管理人」は財産の管理のみを行います。(相続人が明らかな場合でも専任できる場合があります)

     

     

     

    2 相続財産清算人の選任を必要とする場合

     

    ① 債権者が被相続人に対する債権を回収したい場合

    ② 相続放棄をした人が相続財産の管理を免れたい場合

    ③ 特別縁故者が相続財産を受け取りたい場合

     

     

     

    3 相続財産清算人の選任申立

     

    管轄:被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

    申立人:被相続人の債権者や、特別縁故者の条件を満たす人、相続放棄をした人などの利害関係人です。

    申立費用:収入印紙800円、連絡用の郵便切手、官報広告料5075円

    ※ 相続財産清算人の報酬は相続財産から支払われますが、財産が少ない場合予納金を求められることがあります

     

     

     

    4 相続財産清算人が選任された後の流れ

     

    ① 相続人への相続権主張の公告

    相続財産清算人が選任されると、家庭裁判所は、相続人に対して期間内に相続権を主張するよう公告します。 この期間は、6か月以上とされています。

     

    ② 相続債権者・受遺者への請求申出の催告

    相続権主張の催告の公告がなされたら、相続財産清算人は、被相続人の債権者と受遺者に対して請求を申し出るよう公告しなければなりません。この期間は2か月以上とされています。

     

    ③ 相続債権者への弁済

    相続債権者・受遺者への請求申出の催告が終了したら、相続財産清算人は、相続財産からまず債権者に弁済をします。その後、受遺者に弁済します。

     

    ④ 特別縁故者への財産分与

    相続権主張の催告をしても相続人が現れなかった場合に、家庭裁判所は、特別縁故者(内縁の妻、実子と同様に生活してきた配偶者の子等)に対して残りの相続財産の全部または一部を与えることができます。(相続権主張の催告の公告が終了したあと3か月以内に、特別縁故者としての相続財産分与の審判を申立が必要)

     

    ⑤ 共有持分の共有者への帰属

    ここまでの手続で残った相続財産の中に、不動産などの共有持分がある場合には他の共有者のものになります。

     

    ⑥ 国庫への帰属

    以上の手続で残った相続財産は国庫へ帰属します。

     

     

     相続人がいない場合、最終的には相続財産は国にとられてしまいます。それを避けるためには「遺言」を遺すことをお勧めします。

     

     

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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