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No.238 ふりがなと生年月日、メールアドレスまで ~ 不動産登記の検索用情報

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                   第238号 令和7年5月発行

    A COLUMN ~記事~

    ルッキズムの是非 ~台湾の四重奏(カルテット)

     

    先日、台湾に行く機会がありました。観光旅行ではなく、所属する某団体の公務で行ったのですが、台湾の方々は、当職たちを盛大に迎えてくれ、着いた当日は、高級(であろう)ホテルで歓迎会を開いていただきました。食べきれないほどの本場の中国料理や、いかにも高そうな紹興酒やウイスキーの数々、片言ですが会話も弾み、大変楽しく過ごすことができました。台湾の方々は、日本人に劣らないおもてなしの精神を持っていると感じました。

    その懇親会でのひとこま。バイオリン、フルート、中国琵琶とボーカルの4人グループが登場し、余興を披露してくれました。酔っ払っいがクラシックをおとなしく聞くわけがない。その4人(カルテット)も大変な席に呼ばれてしまったものだと、少し同情していましたが、それは杞憂に過ぎませんでした。そのカルテットは、酔っ払いたちを熱狂させたのです。日台両国になじみのある選曲、ボーカルの方は日本語も流暢で盛り上げ方を熟知している様子、会場中を動き回り、踊りながら演奏するその技術の確かさ、そして…彼女らの美貌。批判を承知の上で言いますが、酒席でも盛り上がった原因の一つは彼女らが「美人」であったということだということは否定できません。

    ルッキズム(外見至上主義)は見た目で人を判断したり差別したりする考え方で、現在では国内外で見直そうとする動きが広まっています。ただ、見た目に実力や人柄が伴っているのであれば、それは賞賛すべきではないのではとも思います。綺麗であったからこそ会場は盛り上がったのは事実です。そして演奏の技術を向上させることはもちろん、その美貌を磨くことにも彼女らは相当の努力をしているのではということを想像すると、あながちルッキズム全否定というのも違うのではないでしょうか。差別は論外ですが。

    ルッキズムにもいろいろあります。顔の目鼻立ちが美しいことだけが評価の対象ではありません。髪型や体型、服装、身だしなみに気をつかうことも必要です。また、その職業によって求められる見た目は異なります。例えば、お肉屋さんや飲食店のシェフは、太っていた方がおいしいものを提供してくれそうな気もします。司法書士はどうでしょうか、当職は清潔感にはこだわっています。また、相談にみえたお客様が緊張しないように常に笑顔でいるように心がけています。スーツ、ネクタイにはこだわりません。夏暑ければ軽装で接客することもあります。冬はスーツの下はワイシャツではなくセーターであることが多いです。こういったラフな服装に親しみやすさを感じてくれるお客様もいるのではと思っています。

    正直、司法書士としての見た目の「正解」はわかりません。きちっとしたスーツを着ていないと信用できないという方もいるでしょう。ただ、当職はお堅い見た目よりは、親しみのある見た目の司法書士でいられるよう、心がけ、多少の努力もしていきたいと考えています。

     

     

     

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    ふりがなと生年月日、メールアドレスまで  不動産登記の検索用情報

     

    今年(2025年)4月21日より、不動産登記に新たな手続が必要となりました。

    所有権の移転や保存登記のように新たに不動産の所有権を取得する際に、検索用情報として「名前のふりがな」、「生年月日」、「メールアドレス」の提供が義務づけられるようになりました。

    これは、2026年4月1日より施行される「住所・氏名変更登記の義務化」に備えて、住所等に変更があった方が所有する不動産検索をしやすくための改正だそうです。いろいろと運用に問題がありそうな制度であるため、今後さらに変更がありそうな気もしますが、既に運用が始まっているのでどのような手続かを解説します。

     

     

    1 住所・氏名変更登記の義務化と職権変更制度

     

    今回の検索用情報の提供は「住所・氏名変更登記の義務化」を前提とした手続です。

    現行制度では、登記情報が古くなったまま放置されることが多く、現在の所有者がいったい誰なのか、どこにいるのかなど不動産の適切な管理が困難になっていました。そのため、新たな制度では、登記上の住所や氏名に変更があった場合、2年以内に変更登記をしなければならず、怠ると5万円以下の過料が科されることになります。

    氏名はともかく、住所は引っ越し等によって変更されることが多いため、登記の義務化によって過料の制裁があるのは国民に対して過度な負担を強いることと考えられます。そのため、新制度では、登記上の所有者(所有権登記名義人)が登記変更の負担を軽減できるよう、法務局が自動で変更を反映する「職権変更」の仕組みが導入されます。

    その職権変更の際に、住所等に変更があった方の不動産を検索しやすくするために、「ふりがな」や「生年月日」等の届出が義務化されたのです。

     

     

    2 「検索用情報の提供義務」

     

    提供が義務化される登記は?

    所有権移転登記や所有権保存登記など不動産の所有権を取得する登記申請

    検索用情報とは?

    ① 氏名(従来から提供していた)

    ② 氏名のふりがな(新たに追加)

    ③ 住所(従来から提供していた)

    ④ 生年月日(新たに追加)

    ⑤ メールアドレス(新たに追加)

    このうち、氏名のふりがな、生年月日、メールアドレスが新しく追加される項目です。

    ふりがなと生年月日は住基ネット検索のために必要になります。メールアドレスについては、登記官が職権で住所氏名変更登記を行う際に、その可否を所有権の登記名義人に確認するために必要になります。

    ※ メールアドレスは届出をしないことも可能です。メールアドレスの届出をしない場合は書面(郵送)で確認がなされます。

     

     

     

    今後、登記の依頼を受けた際、当事務所でも「お名前の読み」と「生年月日」を確認させていただくことがありますのでご協力をお願いします。

     ただ、メールアドレスについてはご高齢の方等メールアドレスをお持ちでない(持っていても知らない)方がいるのと、アドレスの間違いがおこる可能性があるため、伺わず、届出もしない方向で考えています。

     メールよりもSMSでのやり取りが主流となっている昨今、メールを前提とした手続自体時代遅れというか問題のある法改正だと言うのが当職の見解です。マイナンバーを利用した手続等、今後新たな方法ができるようになると思っています。

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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