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No.91 不動産登記と代金決済~

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第91号 平成25年1月 発行


     

    蛇の道は蛇
      ~ 専門家たるもの
     あけましておめでとうございます。本通信では毎年恒例となっておりますが、今年は巳年、「へび」にまつわる諺で1年の抱負を述べたいと思います。
     「蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)」という諺があります。故事ことわざ辞典によると、「同類の者のすることは、同じ仲間なら容易に推測ができるということのたとえ。また、その道の専門家は、その道をよく知っているということのたとえ。」だそうです。
     司法書士は法律の専門家です。同じ法律の専門家である弁護士さんとどこが違うかというと、司法書士が取り扱う法律事件には金額等に制限(140万円までの事件に限る)があります。これだけ聞くと、弁護士の方が司法書士より優れているのでは?と考えるかたが多いでしょう。ただ、一概にそうとは言えません。司法書士は、法律の専門家であると共に、『登記』の専門家でもあるからです。特に『不動産登記』(土地建物の権利変動)に関しては、従来より司法書士が担っており、不動産取引に関する手続については、弁護士より司法書士の方が優れている(向いている)と言えます。
     近年、一部の司法書士事務所のテレビCM等の影響で、「司法書士=債務整理・破産手続」と思っている方も少なからずいるようです。しかし、司法書士の業務の根底は「不動産登記」にあるのです。債務整理や破産に関しても住宅ローン等不動産の問題は切り離せないものであり、当職に言わせれば、不動産登記を取り扱わずして、債務整理・破産”専門”を謳うような司法書士は「本当の司法書士」とは呼べません。同じ破産手続を扱うにしても、所有する不動産の処分の仕方も不動産業者とのつきあいもない司法書士に頼むのと、普段から不動産登記を取り扱って、多くの不動産業者とのつながりがある司法書士と、どちらを選ぶべきかは明白です。
     当事務所でも債務整理や破産手続を取り扱っております。しかし、当職は開業当初より、不動産登記に軸足を置いて業務を行ってきました。破産等を取り扱う場合でも、破産者が所有する不動産の処分等に気を遣い、不動産業者さんや土地家屋調査士等と連携して、よりよい方法を模索してきたつもりです。司法書士は「不動産登記のスペシャリスト」たる法律家なのです。  
     当事務所は本年も、これまでとスタンスを変えて業務を行うつもりはありません。「蛇の道は蛇」ということで、これまで以上に「不動産登記のスペシャリスト」たる法律家として、不動産取引により精通した「蛇」となれるよう精進していきたいと思います。少し固い話になってしまいましたが、「蛇の道はヘビー」、専門家の道を究めるのも楽ではありません。お後がよろしいようで…

    解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。
    不動産登記と代金決済
     ~ 不動産売買の立会
     司法書士の仕事で最もポピュラーでかつ重要な仕事が「不動産売買の立会」です。司法書士はただ登記に関する書類を作成しているだけではありません。不動産売買という法律行為が真に成立しているかどうかを確認するために、また、取引の安全を担保するために不動産代金を決済する場に立ち会うのです。本号では、司法書士の原点に立ち返り、「立会業務」について解説します。

     

    1.立会の必要性

     不動産売買の取引においては、代金の支払いと権利証(又は登記識別情報)等必要書類の引渡し、登記関係書類の署名・押印を同時に行います(同時履行※)。ここで必要書類に不備があり、登記の申請が受け付けてもらえないことになると不動産の代金は売主に渡ってしまったのに、不動産の名義は変更できないという事態が発生します。そういった事態を防ぐために、代金決済の場に司法書士が立ち会い、当事者の意志を確認し、必要書類のチェックを行う必要があるのです。


    2.立会において司法書士が確認すべき事項


    3.立会のトラブル(決済を中止・延期しなければならない場合)

     上記2の確認ができなかった場合、司法書士は代金決済を中止又は延期するよう指示することもあります。ただ、実際には決済ができるよう最大限の努力をし、トラブルを修復するための方策を示すのが本来の司法書士のあるべき姿だと当職は考えています。以下に、事例を挙げます。

    ①権利証(登記識別情報)がない場合

     売主が権利証(登記識別情報)を持ってこなかった場合、決済することができません。もし、自宅に忘れた、探せばあるはずというのであれば、売主に取りに戻ってもらい、可能な限りその日のうちに決済できるよう指示します。紛失したというのであれば、「本人確認情報(※)」作成のための手続をとります。
    ※ 登記を申請する司法書士が、売主本人に間違いないということを確認した旨の書類(これを「本人確認情報」と呼びます。)を作成し法務局に提出することで、権利証(登記識別情報)がなくても登記を申請することができます。ただし、通常の場合より厳格な本人確認が必要になります。

    ②印鑑証明書と印鑑の印影が異なる場合

     売主が持参した印鑑の印影が、印鑑証明書と異なることがたまにあります。持参した印鑑が実印(印鑑登録した印鑑)でないのであれば、実印を取りに戻ってもらうこともあります。また、その日のうちに市役所へ行っていただき、印鑑登録をし直してもらうこともあります。持参した印鑑が間違いなく実印であったとしても、印鑑の欠けや、印鑑証明書の印影にゴミが入っている等の理由で、印影が同じと認められないときも、再度印鑑登録をしてもらうことになります。

    ③登記情報の事前取得ができない場合、差押等の登記がなされていた場合

     前述のとおり、司法書士は決済の当日、登記情報の事前に取得して権利関係の確認を行いますが、それができない場合(同じ不動産に他の登記が申請中の場合、登記情報は取得できません)、契約の時点にはなかった差押等の登記がなされている場合は、決済をすることができません。この場合は、通常決済を中止又は延期するしかありません。それでも、法務局に掛け合って登記情報を取得できる状態にする(申請中の登記を完了させてもらう)、差押先(市役所等)に掛け合ってその日のうちに抹消するための書類を用意してもらう等、可能性は低くてもギリギリまで、その日のうちに決済ができるよう司法書士は努力します。

      ご不明な点がございましたらお問い合わせください

        発 行
    司法書士 ながしま事務所

    司法書士 長 島  潤

    〒444-0824 岡崎市上地町字宮脇14番地1

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