不動産登記

No.139「権利証をなくしてしまったのですが…」

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第139号 平成29年1月 発行

     

    「権利証をなくしてしまったのですが…」  ~ 権利証がない時の登記申請

    A COLUMN  ~記事~

    白いカラス ~ 酉年に想う

    皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

    毎年、本通信の1月号は、その年の干支になぞらえて新年の抱負を掲載してきました。開業12年目を迎え、2度目の酉年、12年前と同じ事を言っていては…ということで、ネタ切れの感もあって少し悩みましたが、今年も鳥にまつわる話で抱負を述べたいと思います。

    2年ほど前、ネットニュースで「白いカラス」が話題になりました。突然変異で生まれた白いカラスが新潟の愛鳥センターで人気だという記事だったと記憶しています。「カラスと言えば黒、黒と言えばカラス」と言うくらい、黒色はカラスの代名詞です。常識を覆すことのたとえとして「白いカラス」を例に挙げることもあります。でも、突然変異とはいえ「白いカラス」は実在します。ということで、本年の当事務所は常識を覆すことにチャレンジしていきます。(ちょっと大げさですが…)

    皆様のおかげで、当事務所の仕事量は近年右肩上がりに増え続けています。仕事が増えれば労働時間が長くなるのが常識です。お恥ずかしい話ですが、当事務所も昨年の一時期までは、スタッフに長時間労働を強いることもしばしばの「ブラック企業」でした。実際には残業を強制したことはなく、意識の高いスタッフが連日の残業もいとわずがんばってくれていたというのが本当ですが、そんながんばってくれているスタッフにこのまま大きな負担を強いるようなことを続けていてはいけません。

    当事務所はそういった状況を打開すべく、昨年、業務の効率化を図るため、動く事務所「作業車」の導入、パート職員の新規採用といった変革を行いました。そのおかげで、スタッフの残業時間は徐々に減りつつあります。本年は昨年の変革をより実務的に運用できるよう工夫し、仕事が増えても残業時間を増やさない常識外れの「ホワイト企業」を目指したいと思っています。ワークライフバランスが良くなれば、やる気と余裕が生まれ、お客様に対するサービスもきっと向上するはずです。

    目指せ「白いカラス」!

    EXPLANATION ~解説~

    「権利証をなくしてしまったのですが…」

      ~ 権利証がない時の登記申請□

    前号で権利証・登記識別情報をなくしてしまった際、悪用を防ぐ対処法として、不正登記防止申出、登記識別情報の失効の申出といった手続の解説をさせていただきました。 (本通信138号参照)
    本号では、権利証・登記識別情報をなくしてしまった時にはどのような方法で登記申請をするのかという点について解説させていただきます。

    ① 権利証・登記識別情報がないときの登記申請(概要)

    権利証・登記識別情報を添付すべき登記(売買・贈与等による所有権移転や抵当権設定・抹消等)の場合で、権利証を紛失等によって添付できないとき、登記識別情報を失念・不発行・失効の手続をしたことによって提出できない時は、【A】「資格者代理人による本人確認制度」 又は 【B】事前通知制度 により登記を申請することになります。

    ② 【A】「資格者代理人による本人確認制度」とは

    登記申請の代理人となる司法書士又は弁護士(資格者)が、所有者と面談の上、
    ◆ 不動産の所有者が、登記簿に記載された者と相違ないか
    ◆ 不動産に相違がないか
    ◆ 売却や担保を提供する意思があるか
    …を総合的に判断した報告書「本人確認情報」を作成し、権利証・登記識別情報に代えて添付すれば、権利証・登記識別情報がなくても登記申請が受理される制度です。

    ※ 「本人確認情報」作成の際にご用意いただくもの
    ① 運転免許証、パスポート、写真付き住基ネットカード、マイナンバーカード等の身分証明書1点 又は 健康保険証、年金手帳、医療受給者証、身体障害者手帳等の身分証明書のうち2点
    ② 実印
    ③ 印鑑証明書
    ④ その他不動産の所有者であることを疎明するもの(購入時の売買契約書、固定資産税の納付書等)

    ③ 【B】「事前通知制度」

    権利証・登記識別情報を添付せずに登記を申請した場合(本人確認情報も添付しなかった場合)、登記所から不動産の所有者に対して郵送で「登記申請があった旨の通知」が行われ、この通知を受け取った所有者が、これに記名押印をして登記所に提出をすることで登記が実行される制度です。

    <手続の流れ>
    ① 登記申請
    ② 法務局が所有者に本人限定受取郵便による通知書(登記申請があった旨の通知)を発送
    ③ 所有者が通知書に署名・実印で捺印し、法務局へ2週間以内に持参又は返送
    ④ 法務局が申請書を調査し、登記簿に記入(登記完了)

    ④ 各手続の比較(デメリット)

    ① 「資格者代理人による本人確認制度」は、本人確認情報作成のために司法書士に報酬を支払う必要がある
    ② 「事前通知制度」行程が長くなるため、登記完了までに時間がかかる
    ③ 「事前通知制度」の場合、登記申請をしても所有者(売買の場合売主)の非協力により登記が完了しないことがある。
    → 売買、抵当権設定等金銭の授受を伴う重要取引の場合は「資格者代理人による本人確認制度」しか利用できない。

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください

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