不動産登記

No.173 耐震基準適合証明書

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第173号 令和元年11月 発行

    耐震基準適合証明書 ~ 建物が古くても諦めないで

    A COLUMN ~記事~

    往生際の潔さ ~ 台風災害への対応

     

    今年は台風による水害が多く発生しています。被害に遭われた方へ心からお見舞い申し上げます。

    水害自体も毎日のように報道されていますが、災害時の自治体の対応の不備や不手際等の問題も、ワイドショーなどで多く目にします。未曾有の災害の最中、完璧な対応などできようはずがありません。すべての人の命を守り、すべての被災者が満足できるような対応ができれば良いのですが、そうは行かないのが現実だと思います。誰しもミスや間違いを犯してしまうことはあります。大事なのは、ミスを犯してしまった後の対応です。

    千葉県知事が台風接近時に県庁の対策本部にいなかったこと、そのことで被災市区町村への対応が遅れたのではないかと言うことが批判されています。もちろん、それ自体問題があったとは思いますが、さらに問題を大きくさせたのは、森田知事の会見です。「対応に問題はなかった」と過ちを認めず、言い訳に終始していました。潔く過ちを認め、深く謝罪した上で、問題に対する対応策を述べていれば、そこまで批判されることはなかったのではないかと思います。

    私見ですが、日本人は「潔さ」を好み、「往生際の悪さ」を嫌います。間違いはそれを認めないことには改めることはできません。森田知事しかり、テコンドー協会の会長しかり、日大アメフト部の監督しかり…。間違いを素直に認めない往生際の悪さを世間は嫌い、叩くのではないでしょうか。潔く過ちを認め、深く謝罪した上で、問題に対する対応策を述べていれば、そこまで批判されることはなかったのではないかと思います。

    当職も常に完璧な仕事ができるわけではありません。ミスがあった時、まずはお客様にご迷惑をかける事のないようフォローに全力を尽くします。フォローしきれないとわかった瞬間から、いかに早く謝罪するかを考えます。謝罪の後にはすぐに贖罪です。潔く、誠心誠意尽くして対応すれば、たいてい大問題にはなりません。

    決して、自分のミスを許容しているわけではありませんよ(汗)。

    EXPLANATION ~解説~

    耐震基準適合証明書 ~ 建物が古くても諦めないで

    中古の建物を自宅として購入した場合、登録免許税(印紙代)等の減税が受けられます。ただし、どんな建物でも減税が受けられるわけではありません。実は古い建物については減税が受けられないのです。ただし、建物が古くても、一定の耐震基準を満たした建物であることが証明できれば、減税を受けることができるます。その証明に必要となるのが「耐震基準適合証明書」です。

    1.耐震基準適合証明書とは

    耐震基準適合証明書は、建物の耐震性が基準を満たすことを建築士等が証明する書類です。登録免許税や住宅ローン減税における築後年数要件の緩和などに使用されます。築年数や工法によって証明書取得の手続きが異なります。 特に木造住宅の場合は耐震改修工事が必要と判断される可能性がありますので、購入したい物件が決まった段階で必要な手続きについて確認する必要があります。

    2.登録免許税(印紙代)の軽減

    売買により中古建物を自宅として取得した場合、登記申請の際に市区町村の発行する「住宅用家屋証明書」を取得すれば、登録免許税(印紙代)の軽減が受けられます

      所有権移転登記  固定資産税評価額の 2% → 0.3%

      抵当権設定登記  債権額の 0.4% → 0.1%

    (例) 1000万円評価額の建物を、2000万円の融資を受けて購入する場合

    所有権移転登記  20万円 → 3万円

    抵当権設定登記  8万円 → 2万円       ◎ 軽減を受けられると、23万円もお得!

    すべての建物について軽減が受けられるわけではありません。築年数の古い建物(20年超、マンション等は25年超)については、住宅用家屋証明書を発行してもらうことができません

    ただし、耐震適合証明書があれば、古い建物でも住宅用家屋証明書を発行してもらうことができます

    3.住宅ローン減税の適用

    住宅ローン減税は住宅購入者にとって欠かせない支援制度です。新築だけでなく中古住宅でも利用できます。しかし、住宅ローン減税には、登録免許税と同じく築後年数要件(20年超、マンション等は25年超)が定められており、要件をオーバーする中古住宅は住宅ローン減税の対象外となってしまいます

    ただし、耐震基準適合証明書があれば、古い建物でも住宅ローン減税を受けることができます

    ※ 住宅ローン減税

    住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から10年間控除する制度。

    4.その他の減税等

    ① 不動産取得税

    昭和57年1月1日以降に建築された建物を取得した場合に減税が受けられます。

    → 耐震適合証明書があればそれより古い建物であっても減税の対象になります。

    ② 固定資産税 ※耐震改修工事を行った場合のみ適応

    耐震適合証明書があれば、家屋の固定資産税が1年間1/2になります(耐震改修促進税制)

    ③ 地震保険

    耐震適合証明書があれば地震保険の耐震診断割引が受けられます(地震保険料10%割引)

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください。

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