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第184号 令和2年11月 発行
「相続放棄」と「限定承認」 ~ マイナスの資産を相続した場合
A COLUMN ~記事~
人は人と出会うことでしか成長しない
「人は人と出会うことでしか成長しない」
これは当職の座右の銘です。コロナ渦において人と直接会うという機会が減った昨今、この言葉を改めて思い返すことが多くなりました。
人は多くの出会いによって影響を受け成長します。自分一人で考えていても、思考回路が堂々巡りするだけで成長には繋がらない。多くの人の意見や行動を取り入れて、逆に意見に反発したり、行動を反面教師にすることで、自分を作りあげていく。そういった繰り返しによってこそ、人は成長するというのがこの言葉の趣旨です。もちろん、当職も友人や先輩、部下、家族、お客様…多くの方との出会いによって成長してきたと自負しています。
コロナ渦において人と会うことが減りました。出会いによって成長してきたと思っている自分にとって、成長できないわけですから正直大変なストレスです。でも、少し考え方を変えれば、リモートやズーム会議で関係は希薄ながらも多くの出会いが生まれたり、巣ごもり中の読書やネットサーフィンで多くの他人の考えに触れること、これも一種の「出会い」なのではと捉えることもできます。こんなご時世、前向きに、今しかできない「出会い」を大切にしていけたらと思う今日この頃です。
そもそも、この座右の銘もある先輩の言葉の受け売りです。出会いによって多くの人に影響されてきた当職には座右の銘がたくさんあります。「二兎追う者は大忙し」とか「小事を気にせず流れる雲のごとし」とか…。節操がないと言われれば確かにそうですが、良い意見はどんどん取り入れるというのは、決して悪いことではないですよね。
EXPLANATION ~解説~
「相続放棄」と「限定承認」 ~ マイナスの資産を相続した場合
当事務所へ寄せられる相続に関する相談の多くは亡くなった方の「プラス」の財産をどう扱うか(相続人のうち誰が引き継ぐか)といったものです。ただ、借金等の「マイナス」の財産をどうすれば良いかといった相談が一定数あるのも事実です。本号では相続財産が「マイナス」である場合の救済手続「相続放棄」と「限定承認」について解説します。
1.相続の「承認」「放棄」「限定承認」
相続が開始した場合、相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。
① 相続人が被相続人(亡くなった人)の財産等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ「単純承認」
② 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない「相続放棄」
③ 被相続人の負債がどの程度あるか不明であり、財産と差し引いても負債が残る可能性がある場合に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ「限定承認」
相続人が②相続放棄又は③限定承認をするには、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。
2.単純承認
特に裁判所への申述といった手続きは必要ありません。
(注)相続開始後(相続の開始が合ったことを知った後)、相続放棄・限定承認をせずに3ヶ月が経過
→「単純承認」したものとされます(相続放棄・限定承認ができなくなります)
※ 相続開始後に相続財産を処分したり、相続放棄をしたあとでも、相続財産を隠匿したり、自己のために消費した場合には、これを無効とし、単純承認したものとみなされます(法定単純承認)
3.相続放棄の手続
① 申述人 相続人(相続人が未成年者または成年被後見人である場合には,その法定代理人が代理)
② 申述期間 自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内
③ 申述先 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
④ 費用 申述人1人につき収入印紙800円(連絡用の郵便切手も必要)
⑤ 申述に必要な書類 申述人の戸籍謄本・被相続人の除籍(戸籍)謄本・被相続人の住民票の除票
4.限定承認の手続
① 申述人 相続人全員が共同して行う
② 申述期間 ③ 申述先 ④ 費用 → 相続放棄と同じ
⑤ 必要書類 → 相続放棄と同じ + 「財産目録」
⑥ 限定承認後の手続
1) 限定承認後5日以内に一切の相続債権者及び受遺者に対し官報への公告が必要
2) 債権者や遺贈を受けた人に対して相続財産から弁済する(不動産などは競売手続等で清算)
3) 相続開始時に相続財産を時価で譲渡したものとみなされ譲渡所得税が課せられる
ご不明な点がございましたら、当事務所へご相談ください。