~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~ 第210号 令和5年1月発行
A COLUMN ~記事~
昔の常識、今の非常識 ~ 今時の親子関係
年末に、高校生の娘と2人で某バンドのライブに行ってきました。当職が高校生の頃は、親と一緒に出かけるなんてことはほぼ皆無でした。照れくさいというのもありますが、そもそも親と出かけても楽しくないと思っていました。娘に「俺と行って楽しい?」と聞くと、「お父さんがお金出してくれるし、車で行き帰りも楽だし」とのこと。父子家庭という家庭環境もあるのでしょうが、今は親と仲がいい若者が増えているそうです。
父と娘の関係性を訪ねるアンケートでは、娘の5割以上が父親のことを好きと答えているそうです(アンケートによっては8割なんてデータも!)。20~30年前は、「お父さんとは口もきかない」とか、「お父さんのパンツと一緒に洗濯してほしくない」なんていうのが当たり前だった気がするのですが、時代は変わったんですね。
親子の関係に限らず、昔当たり前だったことが今はそうでもないなんてことはたくさんあります。当職は子どもや、不動産の営業さんなど、若い方と接する機会は他の人に比べて多い方だとは思います。話をしていて、「今はそうなの?!」と驚くこともあります。若い方の意見を吸収して、時代にあわせた対応をしていくことが、プライベートでも、仕事をしていく上でも大切ですよね。
というわけで、本年の当職の目標は、「古い考え方をリセットして新しいことを取り入れる」ことにしようと思います。具体的に何をするかも決めていませんし、年末に「何も変わってないじゃないか」と言われてしまうかもしれませんが、気持ちだけは若く、変化を恐れずにいきたいと思っています。
ちなみに、うちの娘は、「父親と一緒に出かけること」は嫌じゃないけど、「父親と一緒に出かけているところを知り合いに見られる」ことは絶対嫌だそうです…
EXPLANATION ~解説~
養子縁組と相続
昔は、もっぱら子どもがいない家が跡取りを迎えるために利用されてきた「養子縁組」ですが、近年、その目的や理由は多様化してきています。再婚の配偶者の子どもを養子にしたり、相続税対策のために孫を養子にしたりといった事例も多く見られます。
養子を迎えると相続関係も大きく変化します。養子相続のトラブルについて相談を受けることも多々あります。そこで本号では、養子がいる場合の相続について解説します。(相続税については後日)
1 養子縁組の条件(普通養子)
① 養親が成年に達していること
② 養親にとって養子が尊属にあたらないこと 例:おじ・おばを養子にすることはできない(年下であっても)
③ 養親が養子よりも年長者であること
④ 養子が未成年の場合
・家庭裁判所の承諾 ・夫婦ともに養親となること ・15歳未満の場合法定代理人の承諾 が必要
⑤ 夫婦のうち一方が養親又は養子になるとき
・配偶者の同意 が必要
2 養子縁組すれば相続は可能
養子縁組をすると、自分の実子以外に対して、遺産を相続させることが可能になります。
逆にいえば、養子縁組をしなければ、再婚相手の連れ子や婿、孫など法定相続人にあたらない人に対して「相続」させることはできません。
法定相続人以外に財産を承継させる手段は贈与や遺贈にとどまり、「相続させる」ためには、養子にする必要があります。
3 養子縁組と相続の関係
① 養子の相続分
養子縁組が成立すると、その日以降、養子は「養親の嫡出子」としての身分を取得し、法律上実子と全く同じ身分を取得するため、(民法809条)養親の第1順位の法定相続人になります。
相続分割合や遺留分割合についても、実子と全く同じです。
② 養子と代襲相続の範囲
代襲相続とは、相続人が被相続人より先に亡くなっていたケースなど、一定の場合に本来相続人になるべき者の子(被相続人の孫や甥・姪)が代わりに相続人となる場合です。
養子は、法律上実子と同じですから、代襲相続することもできます。
ただし、養子の子は、養子縁組の後に生まれた場合に限って、代襲相続することができます。
③ 実親との相続関係
普通養子縁組を結んだからといって、養子とその実の両親の縁が切れるわけではありません。養親と並行して、実親との関係も継続します。
つまり、養子にとっては、二人の親が存在することになり、養子は、実親と養親、両方の相続権を持ちます。
しかし、実親の家系と養親の家系はそれぞれ独立した関係なので、親同士が親族になるわけではありません。
4 特別養子縁組の場合
特別養子とは、実親との親子関係を完全に断ち切って、別の人物(養親)と新たに親子関係を築くという制度です。
不妊で子どもを授かることができない夫婦が他人の子どもを引き取って育てる場合や、思いがけない妊娠で子どもを育てることができない若者が他人に子どもを引き取ってもらう場合などに、特別養子縁組が行われます。
特別養子縁組をすると、血がつながっている実父や実母とは関係が断ち切られて、戸籍上は赤の他人として扱われます。その代わりに、新しい親(養親)とは、完全に「実の子ども」として扱われます。
実親との関係は断ち切られているため、養子は実親の相続権はありません。
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