~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~ 第235号 令和7年2月発行
A COLUMN ~記事~
「ちょうどいい」ってなかなかない ~ 最強最長寒波
今年の冬は本当に寒いですね。1月末からの「最強最長寒波」で、雪の影響を受けた方、体調を崩された方もいらっしゃるかと思います。皆様、お体には十分お気をつけください。寒さに強いわが家の柴犬は、庭に飛び出して行きますが、当職は寒さに震える毎日です。
近年暖冬傾向の年が多かったので、今年の寒さは正直想定外です。当事務所も、冬はそこまで寒くならないと石油ファンヒーターの使用をやめたのですが(灯油の補充が面倒なので…)、今年の当事務所1階相談室は極寒で、エアコンだけでは暖まらないので、追加の暖房を用意して対応することにしました。夏は毎年異常とも言える暑さが続き、冬は寒かったり暖かかったり。四季がある日本の季節はすばらしいと思いますが、寒すぎる暑すぎるは勘弁して欲しいです。ちょうどいい暑さ、寒さの日って、なななかないですよね。
ところで、当事務所の業務は繁忙期を迎えております。例年、冬忙しく、夏に暇になる傾向がありますが、毎年同じように忙しいわけではないのが問題です。昨年の冬は全然忙しくなかったのです。昨年、年明けに仕事が少ない、余裕のある日が続いたので、今年もそうなるだろうと思っていました。年末の残った仕事を年明けにと思っていたら、今年は年明けも続けて依頼が舞い込み続けて…。結果、今年の冬は連日休日出勤をして対応しております。
仕事があるというのは大変ありがたい話ですが、「ちょうどいい」仕事量にはなかなかならないものです。忙しすぎる、暇すぎるを繰り返すしかないのは自営業の宿命ですが…。
天気も仕事も「ちょうどいい」は難しいと感じる今日この頃です。
EXPLANATION ~解説~
代表取締役等住所非表示措置 ~ 実際に申出してみました
本通信第231号(令和6年10月号)でも取り上げましたが、商業登記規則の改正により、代表取締役等住所非表示措置が令和6年10月1日から施行されました。この申出をすれば、代表取締役の住所は登記簿には行政区画(都道府県及び区・市まで)しか記載されません。
会社の登記簿(誰でも取得できます)を取得すれば、社長(代表取締役)の住所が載っています。会社と併せて代表者に責任追及する場合、訴訟等を起こすには社長の住所がわからなければできません。会社を興すということは、代表者も責任を持つべきという要請の基の制度なのでしょうが、プライバシー的にはいろいろと問題があります。問題を起こした会社の社長は仕方ないのかもしれませんが、ほとんどの会社がまっとうに商売しているはずです。代表者の住所不記載措置の運用は、当然の時代の流れなのかもしれません。
当事務所にも「非表示にしたい」という問い合わせが複数あり、実際に申出した事例がありましたので紹介します。
余談ですが、最近突然引退した某芸能人の会社の代表者住所は、顧問税理士の事務所所在地になっていたそうです。自分の住所を知られないために、一時的に税理士事務所の住所へ住民票を移して、会社を設立した後住民票を元に戻したものと推測できますが、住所を戻したのであれば本当は「代表取締役の住所変更登記」をしなければいけないはずです。怠れば「過料」の対象になります。
1 代表取締役等住所非表示措置の申出ができる場合
代表取締役等住所非表示措置の対象となるのは株式会社のみです。
有限会社、持分会社、各種法人等については対象外です。
また、① 設立登記 、② 管轄外へ本店移転する場合の新本店の登記、③ 代表取締役等の就任(重任含む)登記、④ 代表取締役等の住所移転等による変更登記 と併せて申出する必要があります。
どんな会社でも、いつでも申出できるわけではないのでご注意ください。
司法書士法人は対象外なので、当法人登記簿を取得されると、代表者である当職の住所が地番まで記載されています。くれぐれも悪用しないでくださいね(笑)
2 申出をしてみました(会社設立時の場合)
① 設立登記の準備
通常どおり株式会社設立の書類を作成します
② 定款認証
定款認証の際に公証人から、「実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書 」を受け取ります。(もともと定款認証時に交付してもらえるものなので、特別に依頼することは不要です)
③ 本店の実在性調査
会社本店所在地宛の郵便の配達証明書でも申出は可能ですが、今回は設立前で会社の本店所在地が存在せず、郵便が届かない可能性があったので、現地へ赴き、本店所在地となる建物が実際に存在するかどうか調査(代表取締役になる方とそこで打合)しました。その上で、「本店の実在性を確認したことを証する書面」を作成します。
④ 設立登記申請書へ代表取締役等住所非表示措置申出の旨を記載
添付書類として、通常の設立登記に必要なものと併せて、
① 「本店の実在性を確認したことを証する書面」
② 住民票の写し
③ 「実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書 」
を添付して設立登記の申請をします。
※ ①は申設立登記を申請する代理人(司法書士等)が作成したものでなければなりません。
※ ②は設立登記に使用する「印鑑証明書」でも代用できますが、別途写し(コピー)をつける必要があります。
※ 設立後の会社が申出する場合は、①でなく本店所在地宛の郵便の配達証明書を添付します。
※ 設立後の会社が申出をする場合は、③に代えて実質的支配者情報の申出先法務局を記載すれば足りる
(実質的支配者情報を申出をしていない会社の場合はその申出を併せてする必要があります)
初めての申出であったため、本当にこれでいいのかどうか若干不安でしたが、無事、代表取締役等住所非表示措置の申出及び会社の設立登記が完了しました。
特別な手間としては、本店の現地調査と本店の実在性を確認したことを証する書面の作成程度です。
(設立後の会社の場合は、通常、配達証明郵便と実質的支配者情報の申出が必要)
ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。