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第45号 平成21年3月 発行
利他のこころ |
解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。 |
ゲートキーパー法と司法書士 ~ 本人確認にご協力ください 「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(ゲートキーパー法)のうち司法書士業務に関する規定が、平成20年3月1日に施行され1年が経過ました。ゲートキーパー法の施行により、司法書士等が行う本人確認作業がより厳格に行われるようになっています。本号ではゲートキーパー法と司法書士業務について解説させていただきます。 1.ゲートキーパー法の概要 ゲートキーパー法は、犯罪による収益の移転(たとえば、マネー・ロンダリングやテロ資金供与)を防止するため、平成19年4月1日から、その一部が施行されています。 さらに平成20年3月1日より、司法書士他43の特定事業者を対象に、本人確認(記録の作成)および取引記録の作成が義務づけられました。同法に違反した場合、特定事業者には懲役等の罰則が課せられます。 要は、きちんと本人確認をすることで犯罪により預金、不動産等の財産名義をかえられてしまったり、架空名義の口座開設等による犯罪やテロ集団へ資金が流れることを防ぎましょうということです。 2.司法書士業務とゲートキーパー法 (1)司法書士の義務 ゲートキーパー法では、ア)宅地・建物の売買に関する手続、イ)会社法人の設立、定款変更、代表者等の変更、合併などの組織再編行為に関する手続、ウ)財産管理行為(成年後見業務は除く。)が特定業務とされています。 司法書士が、それらの特定業務にかかる取引(登記や簡裁訴訟代理等の受託)を行う際、顧客について、本人であることを確認したうえで、本人確認記録と取引記録を作成し、7年間(会則等では10年間)保存しなければなりません。 「顧客」とは、特定業務において行う取引の相手方のことをいい、たとえば、不動産売買の登記であれば売主および買主、株式会社の代表取締役変更の登記であれば当該株式会社が「顧客」となります。 また、現に取引を行う際の担当者が顧客と異なる場合はその担当者(「代表者等」といいます。)も確認の対象となっております。たとえば、不動産売買の登記において取引現場に買主に代わって代理人が参加した場合は当該代理人、株式会社の代表取締役変更の登記であれば実際に司法書士に業務の依頼を行った代表取締役、担当者あるいは税理士等他士業の方が「代表者等」となります。 さらに、司法書士会の会則等では、特定業務以外の業務についても司法書士の本人確認義務が定められています。 (2)本人確認について 本人確認の方法は、依頼者である顧客と面談し、運転免許証、健康保険証、印鑑証明書(委任状に実印を押印した場合)等の書類のご提示をいただきます。また、それらにつきまして、記録作成の関係でコピーを取らせていただく場合がございます。 なお、諸般の事情で面談が困難な場合、本人確認書類をご送付いただいたうえで、委任状等の取引関係書類を転送不要郵便で送付する方法により確認をすることになります。また、あわせて電話連絡等による意思の確認を行わせていただく場合がございます。 (3)取引記録について 取引記録作成に際しまして、契約書等の提示や取引金額の聴取をさせていただくことになります。 ※ もともと「お客様の権利を護る」のが司法書士の仕事です。詐欺等の犯罪行為等により不動産の名義が変えられてしまったりすることを防ぐために、ゲートキーパー法施行以前より「本人確認」を厳格に行ってきました。新しい法律ができたからといって司法書士の仕事が大きく変わったわけではありませんが、より厳格に「本人確認」を行う傾向にはなってきています。皆様には若干のお手間を取らせることになってしまうかもしれませんが、司法書士の「本人確認」にどうかご協力をお願いします。 |
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