~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第121号 平成27年7月 発行
親父の家を息子がリフォーム ~ 自己所有の住宅にするための方法
A COLUMN ~記事~
祝 開業10周年!!! ~ といっても、何もしませんが…
平成17年7月1日に開所した当事務所は、今月、めでたく10周年を迎えることができました。これも、お客様や関係業者の皆様、OBを含む当事務所スタッフ、当職の友人や家族等々…、当事務所に関わるすべての皆様のおかげだと心から思っております。本当にありがとうございます。
当職は、平成13年に司法書士試験に合格した後、3年半豊明市の司法書士事務所に勤務した後、地元岡崎の地で開業をいたしました。地元での開業とはいえ、当時はたいした人脈もなく、仕事もほとんどない、不安だらけの開業でした。午前中は不動産業者さんや、金融機関、税理士さん等へ飛び込み営業、午後はホームページの作成や、数少ない仕事をこなし、夜は人脈をつくるために異業種の方々と交流を図るといった毎日が数ヶ月続きました。そういった地道な活動が実を結んだのか、比較的早い段階で各方面からお声をかけていただけるようになりました。優秀なスタッフにも恵まれ、徐々に仕事も増えていきました。
司法書士という業界をとりまく環境の変化や、スタッフの独立開業による人材の入れ替わり、当職の抱える個人的な問題等により、大変な時期もありました。でも、お客様やスタッフ等周りに恵まれ、助けられて、幾多の困難を乗り越えることができました。本当に、皆様があっての10年間だと当職は思っております。
当職は恵まれています。幸せ者です。だから皆に感謝をします。その感謝の気持ちは、開業当初から、今までも、これからも変わらないし、変えていく気ももちろんありません。10年経ったからといって、何も変わらない、何も変えない。だから、特別10周年のお祝いもしませんし、10周年で新たな活動を始めるということもありません。
今までも、これからも、感謝の気持ちを持ち続けていきたいと思っております。そして、その感謝の気持ちを、充実したサービスという形でお客様に還元し続けていけるような事務所経営をしていきたいと思っております。
EXPLANATION ~解説~
親父の家を息子がリフォーム ~ 「自己所有の住宅」にするための方法
最近、当事務所にこんな相談が多くよせられます。実際、既存住宅にリフォームをする場合、「自己が所有する家屋」についてのリフォームでなければ、金融機関は「住宅ローン」として資金を貸し付けてくれないことが多いそうです。(理由としては、自己所有の家屋でなければ、「住宅ローン減税」が受けられないから)
住宅ローン減税の解説については、国税庁のHP(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1216.htm)にでもお任せするとして、本号では「親父の家を自分名義にする方法」とその際の注意点について解説していきます。
方法その①「売買」
「親父の家を自分名義にする方法」としてまずかんがえられるのが、「売買」です。父親から家を買って、自分名義に所有権移転登記してしまえばいいのですが、そこで問題となるのが、家の価額(売買代金)です。価額をあまりに安く設定すると、父から子への贈与が行われたとみられ、贈与税が課せられる可能性があります。逆に、あまりに高く設定すると、子から父への贈与とみなされることもあります。
建物を売買する場合は、贈与税が出ないように市町村が定めた「固定資産税評価額」を基に、前後110万円の範囲内(※)で価額を設定すべきです。(土地の場合は「路線価」が基になります)
※ 年間110万円までの贈与に関しては贈与税は非課税の取り扱いであるため。
つまり、建物の固定資産税評価額が550万円なら、440万円~660万円の範囲の価額で売買をすればよいということになります。
方法その② 「贈与」
次に考えられる方法が「贈与」です。「贈与で家をもらうと贈与税が出てしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、「売買」のところでも述べたように、110万円の範囲内の持分の贈与であれば、贈与税は課せられません。住宅ローン控除の言う「自己が所有する建物」の要件には「単独で所有すること」は求められていません。10分の1でも、100分の1でも所有していれば「自己の所有する建物」として、住宅ローン控除;の対象となり、金融機関から住宅ローンを借りることができるのです。
つまり、建物の固定資産税評価額が550万円であったとするなら、110万円の範囲内の5分の1以下の持分のみを父親から贈与を受け、贈与による所有権移転登記をすれば、住宅ローンを借りてリフォームできるようになるのです。
方法その③ 「代物弁済」
最後に、少し複雑な手続にはなりますが、「代物弁済」という方法もあります。父親所有の建物に子がリフォームを施すと、父親の建物の価値が上がることになります。このままでは、その上がった分、子から父への贈与がなされたとみなされてしまいます。本来であれば、建物の価値が上がったのと同じだけの持分を父から子へ支払わなければなりません。その支払いに代えて建物の持分を子に移す手続が「代物弁済」です。
つまり、550万円の価値の建物に220万円かけてリフォームした場合、建物の持分3分の2を父から子へ「代物弁済」によって移し、所有権移転登記をすれば、贈与税もかからないし、住宅ローン控除もうけられるという一石二鳥の方法です。
(注)この代物弁済による所有権移転登記は、リフォーム工事が完成した後でないとすることができません。金融機関によっては、ローンの申し込みの段階(リフォーム工事前)に「自己の所有」にしておかないと審査が通らない場合もあるので、ご注意ください。
贈与税の詳細は国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/zouyo.htm)でご確認ください。
いずれの方法の場合も、原則不動産取得税は課税されます。(詳細は県税事務所へお問い合わせください)
ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。