~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第124号 平成27年10月 発行
古い住宅でも減税が受けられる ~ 耐震基準適合証明書
A COLUMN ~記事~
優秀なクルーとチームワーク
~ アメリカズカップが始まりました
南アフリカ戦での勝利から、世間はラグビーのワールドカップで盛り上がっていますね。でも、その裏で、あるスポーツの世界最高峰の大会が行われていることは、報道が少ないこともあり、あまり知られていません。ヨットの「アメリカズカップ」です。今回の大会は、日本のチームが15年ぶりに出場することもあり、セイラー(ヨット乗りのこと)たちの間では大変盛り上がっています。
当職は、実は元セイラーです。ヨットには、オリンピック競技にもなっている1人乗り・2人乗りの小型のヨットと、アメリカズカップのように大人数のクルー(乗組員)により操舵する大型のヨット(セイリングクルーザー)とがあります。当職は、大学時代4年間、体育会のクルージング部に所属し、1年の半分近くをセイリングクルーザーに乗って海の上で過ごしました。本格的なヨットレースにも参戦し、入賞した経験もあります。(今の当職からは想像できないかもしれませんが…)
小型のヨットと違い、セイリングクルーザーは1人や2人では動かすことはできません。何人かのクルーが、それぞれ役割を持って乗船します。舵を持つ「スキッパー」、セールを操る「トリマー」、船の前方で作業する「バウマン」、マストの曲げを操作する「ランナー」、船の進行方向や戦術を決める「ナビゲーター」etc…、全員が体重移動しながら船のバランスを保ちつつ、それぞれのクルーがそれぞれの役割を息を合わせて行わなければ、船を早く走らすことはできません。全クルーのうち一人でもサボったり、大きなミスをしたり、息が合ってなかったりしたら、船のスピードが大幅に落ちるだけでなく、大きな事故が発生し、海上であるが故にクルー全員が命の危険にさらされることさえ考えられます。ただ、すべてのクルーが一流の技術を持っているとは限りません、中には経験の少ない新人クルーもいて、そのクルーを経験豊富なベテランがフォローしたりと、皆で助け合って船を進めていくのです。
会社や組織でも一緒ですよね。おのおのの知識や技量が高くても、チームワークがなければ成果はなかなか上がりません。右も左もわからない新人がいても、先輩がちゃんとフォローしてあげれば大丈夫です。その新人が、先輩のフォローを受けつつも経験を積んでいけば、いずれは一人前に育ち、逆に先輩を助けてくれることもあるでしょう。
当事務所も、スタッフ皆のがんばりとチームワークのおかげで、10年間、海上を疾走し続けてきました。これからも疾走し続けていきたいと想う今日このごろです。
EXPLANATION ~解説~
古い住宅でも減税が受けられる
~ 耐震基準適合証明書
中古住宅を購入する際、自己の居住用として購入するのであれば、登記の際の印紙代(登録免許税)等の減税措置が受けられます。ただし、すべての住宅について減税を受けられるわけではありません。実は、築年数が古い住宅については、減税措置が受けられないのです。
減税が受けられる住宅は、築20年以内の木造住宅、築25年以内のマンション(不動産取得税は建築年が昭和57年1月1日以後)に限られます。 (注)築年数以外にも要件があります
じゃあ、築20年を超える木造住宅を買うときは、税金をいっぱい払わなきゃいけないの?
新しい建物より安く手に入ったとしても、税金が高くちゃ意味ないじゃん!
あきらめなくても大丈夫です。そんな時に役に立つのが「耐震基準適合証明書」なのです。
① 「耐震基準適合証明書」とは?
「耐震基準適合証明書」とは、建物が現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。発行は建築士事務所登録を行っている事務所に所属する建築士、又は指定性能評価機関などが行えます。 🔲まずは耐震診断を行い、耐震基準を満たしているか確認します。その結果、耐震性を満たしている住宅(上部構造評点1.0以上)であれば証明書が発行できます。(耐震性を満たしていない住宅は補強工事が必要です)
この「耐震基準適合証明書」を建築士に発行してもらうことができれば、古い住宅でも、新しい住宅と同様、様々な減税措置を受けることができるのです。
つまり、 古い住宅でも、耐震基準を満たすようなしっかりした建物なら、減税がうけられるということです。
② どのような減税措置が受けられるの?
耐震基準適合証明書を取得することで、(新しい住宅と同様に)受けられる減税措置は以下の通りです。
① 不動産売買による所有権移転登記の登録免許税(印紙代)の軽減
② 不動産取得税の軽減
③ 住宅ローン減税
住宅の取得に利用可能な税制特例について詳細は、国土交通省HPをご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000011.html
③ 登録免許税(印紙代)軽減の実例
本号では、司法書士の業務に最も関係の深い、上記①の「登録免許税(印紙代)の軽減」の実例をとりあげます。 ※ 実際に減税措置を受けるには市区町村で「住宅用家屋証明書」を発行してもらう必要があります。
固定資産税評価額500万円の土地と同500万円の建物を、2000万円の融資を受けて購入した場合
①減税が効かない場合
所有権移転(土地)の印紙代 500万円×15/1000 = 75,000円
所有権移転(建物)の印紙代 500万円×20/1000 = 100,000円
抵当権設定(融資の際の担保設定)の印紙代 2000万円 × 4/1000 = 80,000円
合計 255,000円
②減税が効く場合
所有権移転(土地)の印紙代 500万円×15/1000 = 75,000円
所有権移転(建物)の印紙代 500万円×3/1000 = 15,000円
抵当権設定(融資の際の担保設定)の印紙代 2000万円 × 1/1000 = 20,000円
合計 110,000円 145,000円もお得!!!
ご不明な点がございましたら当事務所へご相談ください。