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第133号 平成28年7月 発行
「相続放棄」 ~ 遺産を相続したくない!
A COLUMN ~記事~
子どもと孫 ~「かわいい」の違い
先日出産を終えた娘が、先月までわが家に里帰りしていました。仕事を終えて家にかえると、かわいいい赤ちゃんがいる生活。下の娘が9歳なので、9年ぶりのことです。孫と娘がいることで、家は賑やかで、楽しい毎日を過ごすことができました。
ただ、思い返してみると、自分の子が赤ちゃんだったときとは、当職の感じ方がまるで違うように思います。孫が生まれてから、よく、「孫はかわいいでしょ?」と聞かれます。たしかにかわいいです。めちゃくちゃかわいいです。でも、自分の子どもに対する「かわいい」とは種類の違う「かわいい」のように感じるのです。
どんな違いなのかということを言葉に表すのは難しいところですが、「責任」の有無からくる違いなのかなと当職は考えています。子どもが生きて行く上で責任をとるのは当然親です。子どもが泣けば、親はミルクを与え、おむつを代えて、泣き止やむようだっこしてあげなければいけません。でも、おじいちゃんは、だっこしたいときだけだっこすればいいのです。正直、ものすごく気楽です。責任もさほど感じません。
「仕事」と「趣味」の違いのようなものでしょうか。子どもの面倒を見ることは、生活をするために必要不可欠で、大きな責任を伴う「仕事」のようなもの。孫の面倒を見るのは、純粋な楽しみで、責任を伴わない「趣味」のようなもの。実際に孫といっしょに生活してみて、そんなことを思いました。
「仕事」は必ずしも「責任」が重いだけの「つらい」ばかりのものではありません。その中から得られるやりがいや、困難を乗り越えた時の達成感は他に代えがたいものがあるし、仕事自体に楽しみを見つけることも可能です。
実際、うちの娘も、子育てをつらいとは考えず、楽しそうにしてくれています。親としてはうれしい限りです。
EXPLANATION ~解説~
「相続放棄」 ~ 遺産を相続したくない!
① 「相続放棄」とは?
相続放棄とは、法定相続人となった場合に、被相続人の残した財産が、プラスの財産が多くても相続せず、マイナスの財産が多くても債務の負担をしないことで、相続放棄するとその法定相続人は初めから相続人でなかったことになります。
被相続人(親)が莫大な借金を残して亡くなった場合に、その法定相続人(配偶者や子供など)にその借金を負担させてしまえば、残された家族の生活が成り立たなくなることもありますので、この相続放棄という手続き方法があるのです。もちろん被相続人(親)が残した債務が多くても、相続を「承認」して債務を返済していくことも可能です。
② 相続放棄を選択するとき
◎マイナスの財産が明らかに多い場合□
◎相続争いなどに巻き込まれたくない場合
③ 相続放棄の手続き
相続放棄は各相続人が、「自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内」に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければならず、家庭裁判所に認められれば、「相続放棄申述受理通知書」が交付(送付)されます。
※相続放棄申述受理通知書(そのコピーでも可)は他の相続人や債権者などに対して提示すれば相続を放棄した旨を証明できますが、不動産登記手続等では別の書類「相続放棄申述受理証明書」を要求されます。(家庭裁判所へ申請すれば交付されます)。□
※3ヶ月以内に相続放棄をするかどうか決めることが出来ない特別の事情がある場合は、家庭裁判所に、「相続放棄のための申述期間延長」を申請することにより、この3ヶ月の期間を延長してもらえる場合があります。□
※相続人が未成年者(または成年被後見人)の場合は、その法定代理人が代理して申述します。
手続きの詳細は「裁判所HP」へ http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/
④ 相続放棄の注意点
● 単純承認した場合は3ヶ月以内でも相続放棄はできません
相続人が遺産分割協議をした場合や、相続財産の全部又は一部を処分した場合は相続を「単純承認」したものとみなされます。単純承認したのちに「相続放棄」することはできません。
● 相続人の間で相続を放棄すると言ったり、合意していたとしても、法的な効力はありません
財産を一切相続する意思がない場合は、必ず家庭裁判所に相続放棄申述書を提出しましょう。
● 相続開始前の相続放棄は認められていません
相続放棄する場合は、必ず、「自己に相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内」に、家庭裁判所に申述しなければ効力はありません。(※ 遺留分は相続開始前の放棄も可能です。)
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