~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第148号 平成29年10月 発行
自由に売買できない ~ 農地転用
A COLUMN ~記事~
忙しいつもり ~ 自動車の走行距離
仕事用の新車を購入して1年ちょっとで、走行距離が3万㎞を超えました。近年、当事務所の営業区域が愛知県全域にまで広がりつつあり、どうしても当職の車の走行距離も伸びてしまいます。最初は「1年間よく働いたなぁ…」と感傷に浸っていたのですが、よくよく考えてみるとそうとも言えません。
走行距離が伸びるということは、車に乗っている時間が長くなるということ。車に乗っている間、当職は運転をしているだけで仕事はしていません。つまり、当職はこの1年間、あまり仕事をしていなかったということになります。たくさん走って忙しいつもりでいたのですが、実はあんまり仕事をしてなかったのではないでしょうか。
当職は自称「フットワークの軽い司法書士」です。お客様に呼ばれればどこへでもはせ参じます。お客様もとへ走ることは悪いことだとは思いません。ただ、1年に3万㎞も走るということは、無駄な動きも多かったのではないでしょうか。所長である当職が、無駄な動きを多くしていては、当事務所としては決して良いことではありません。書類を取りに走ってくれるスタッフもパートさんも当事務所にはいます。当職は所長としてすべき動きに専念すべきなのでは…
反省を活かして、次の1年は
「自動車の走行距離を減らす」=「お客様に会っている時間を増やす」
ことを意識していこうかと考えています。
EXPLANATION ~解説~
田畑は自由に売買できない ~ 農地転用
父から相続した農地を売却したい。当事務所でも、農地の売却の相談を受けることが時折ありますが、農地は仮に自分の土地であっても、勝手に売却したりすることはできません。農地を無制限に処分することができてしまうと、食糧供給上問題が生じます。皆が農地を宅地に変えて売却をし、誰も農作物を作らなくなったらどうなるか…ということです。そこで、農地の売却等については「農地法」という法律で簡単に売ったり、潰したりできないように規制をかけているのです。
① 農地法による規制
〇農地法第3条による規制 ~ 農地を農地のまま他の農家に売ること、貸すことを規制
〇農地法第4条による規制 ~ 農地を農地以外のもの(駐車場や宅地など)にすることを規制
〇農地法第5条による規制 ~ 農地を農地以外にした上で売却、貸与することを規制(3条+4条)
② 許可と届出(立地による判断)
農地法の規制を受けているといっても、どうしても売却したい、農地に住宅を建てたいという場合、行政から許可を受ける(行政へ届出をする)ことによって、それがかなえられる場合があります。これが、農地転用の許可(届出)の申請です。
この申請には立地条件によって、許可されやすい区域と、許可されにくい区域とがあります。
① 都市計画法上の「市街化区域」
「市街化区域」とは、すでに市街地として利用されており、これからももっと繁栄させていきたいと行政が考えている区域です。そのため、農地転用の申請は比較的スムーズに進みます。許可をもらうまでもなく、届出をするだけで済む場合もあります。
② 都市計画法上の「市街化調整区域」
「市街化調整区域」とは市街化区域とは逆に、農地を守るため、できるだけ市街化させたくないと行政が考えている区域です。農地転用の許可を得るためには、開発行為や相応の理由が必要となり、申請を通すのは困難な場合もあります。
③ 農地法の許可(届出)の対象となる農地は?
見た目が農地であれば、当然に農地としてみなされ、農地法の許可、届出の対象となります。
登記簿上の地目が田や畑のものはもちろん、宅地や雑種地として登記されていても、実質的に農地に見える土地であれば農地法の制限を受けます。
④ 不動産登記と農地法の許可(届出)
農地を売買等により「所有権移転」等をする場合には、「農地法の許可書(届出書)」を添付して登記申請する必要があります。
具体的には、登記簿上の地目が田畑等の農地である場合、固定資産評価証明書の現況が農地である場合には「農地法の許可書(届出書)」が添付されていないと、登記申請が受け付けられません。
※ 農地を担保に入れる場合(抵当権設定登記)、農地を相続した場合(相続による所有権移転登記)には、農地法の許可書(届出書)は不要です。
農地法の許可(届出)の代理申請は「行政書士」が行います。
当事務所にご相談いただいた場合、必要に応じて行政書士を紹介いたします。