~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第167号 平成31年5月 発行
遺産分割の「調停」と「裁判」 ~相続でもめたら
A COLUMN ~記事~
思い立ったら ~ 自転車でオトコ旅
平成から令和へ移行するゴールデンウィーク10連休。前半と後半に小旅行をすることに決めたのですが、真ん中の数日が何もすることがない。どうしようかと考えて、最近趣味として始めた自転車で息子と一泊旅行してみようと思い立ちました。プライベートでは基本的にノープランな当職は、「浜松くらいならいけるんじゃね」と安易に考え、とりあえず浜名湖畔に宿をとりました。
平成最後の4月30日、当日は雨。自転車を断念して車で行こうかとも迷いましたが、せっかく企画した自転車でのオトコ旅、息子も合羽を着て行くと言い張るので、自転車旅を決行することに。意気揚々と出発したのはいいのですが、走り出したら結構な向かい風。蒲郡駅前で自転車を降りて電車に乗り換えようかという誘惑に駆られつつも、数回の休憩をはさんで約8時間、なんとか宿にたどり着くことができました。翌日の帰路は風はなかったものの、途中から雨。大変なオトコ旅になってしまいました。
自転車の爽快感は皆無、疲労困憊な旅でしたが、やりきった達成感はものすごくありました。次また同じ条件で行きたいかと聞かれたら嫌だと言うかもしれませんが、本当に決行してよかったと思っています。自転車を断念して車で行っていたら、その達成感は味わえなかったわけですから。
司法書士業務においても、お客様のため、スタッフのために良いんじゃないかと思い立ったことは、考えるよりも先に、「まずやってみる」ことを心がけています。あかんかったらやめればいい。やらずに後悔するより、やってみて反省する方が絶対にいいと当職は思います。
令和という新しい時代になっても、「思い立ったら吉日」。良いと思ったらとりあえずやってみる、というスタンスで攻めていきたいと思います!
EXPLANATION ~解説~
遺産分割の「調停」と「審判」 ~ 相続でもめたら
相続が発生した場合、通常相続人全員によって「遺産分割協議」(話し合い)が行われます。協議が成立(話し合いで解決)すれば、「遺産分割協議書」を作成し、その「遺産分割協議書」と必要書類(戸籍、印鑑証明書等)があれば、被相続人(亡くなった方)名義の不動産の名義を変更したり、預金の解約ができたりします。
ただ、必ずしも「遺産分割協議」(話し合い)で全てが解決するとは限りません。遺産分割協議(話し合い)がまとまらない場合、家庭裁判所に頼ることとなります。本号ではその家庭裁判所における遺産分割の手続 「遺産分割調停 及び 審判」 について解説したいと思います。
1.「調停」と「審判」の関係
家庭裁判所による紛争解決の手段には「調停」と「審判」があります。簡単に言うと、「調停」とは家庭裁判所における「話し合い」、「審判」とは「裁判」のことです。
実務上、家庭裁判所における遺産分割は「調停」が先に行われ、調停成立の見込みがない場合に「審判」に移行し、家事審判官によって適切な分割方法が決められます。(話し合いでは解決する見込みがないとして、いきなり審判を申し立てることも可能ですが、家庭裁判所は「まずは話し合いなさい」ということで職権で調停に付する決定を出す取扱になっています)
2.「調停」申立手続
調停の申立は、相続人の1人若しくは数人が申立人となり、申立人となる相続人以外の相続人全員を相手方として家庭裁判所へ申し立てます。申し立てる家庭裁判所は、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所です。例えば被相続人(亡くなった方)の最後の住所地が名古屋市であっても、相手方となる相続人が岡崎市に住所をおいていれば、「名古屋家庭裁判所岡崎支部」に申立をすることになります。
申立は条文上「書面」又は「口頭」で行うことができますが、口頭で申立に行っても通常は「家庭裁判所備え付けの用紙に記入してください」と言われてしまうのが実情です。
3.「調停」による遺産分割
通常、調停は家事審判官1名と、調停委員2名以上の合議制で進められ、当事者間の話し合いによる解決をはかります。内容は相続人全員の合意で成立するものであり、強制されることはありません。合意が成立しないときは、調停は不成立となります。
しかし、調停で相続人の意見が一致すれば、その内容は調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力をもっていますので、相続人は必ず従わなければいけません。
4.「審判」による遺産分割
調停が成立しない時、裁判所の判断によって分割方法を定めてくれるように申し立て、その審判に従って分割する事を審判分割といいます。審判は、家庭裁判所がする一種の裁判のことです。
裁判所は当事者や利害関係人の言い分を聞いて、色々な調査をして、具体的な分割の審判つまり決定をします。家庭裁判所は、必要があれば、遺産の全部または一部について分割を禁止することもできます。
「審判」によって遺産分割協議が成立すれば審判書が交付されます。
5.「調停」「審判」後の手続
相続人は、「調停調書」又は「審判書」を銀行に持ち込めば被相続人の預金を払い戻してもらうことができ、法務局に持ち込めば被相続人名義の不動産の名義変更をすることができます。
(不動産の名義変更の「登記」に関しては、別に「登記申請書」を作成する必要があります。手続は司法書士に依頼するのが賢明でしょう)。
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