~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第183号 令和2年10月 発行
土地の価格 ~ 5つの価格の違い
A COLUMN ~記事~
コロナ渦で人はなぜ家を買うのか?
司法書士の繁忙期は冬から春にかけてです。新しい年、新しい年度を新しい家で迎えたいという心理からか、子どもの入学や転校の都合上か、また企業の決算の関係上か、どうしても年度末に向けて家を買う傾向が日本にはあるからです。逆に、夏は通常閑散期となります。例年、夏に設備投資をしたり、人員確保に動いたり、ただただのんびりしたり、冬~春に向けての鋭気を養います。
ただ、今年はちょっと様子が違うようです。新型コロナウイルスの影響で、皆が消費を抑え、当事務所も暇になる、売り上げが落ちると心配していたのですが、逆に忙しくなっているのです。ありがたい話なのですが、不動産売買も好調(少なくとも当事務所がお付き合いさせていただいている不動産業者さんは)で、当職もこの業界に入って20年、最も忙しい夏を過ごさせていただきました。正直、暇なはずの夏に忙しかったことで、少し疲れがたまっております…。
なぜ、この先の見えないコロナ渦の中、人は家を買うのでしょうか?考えてみました。
・ ステイホームが続く中、快適な新居で過ごしたい。
・ 海外旅行に行くために貯めておいた資金を新居の頭金にまわそうか。
・ 近い将来収入が減って、住宅ローンの審査が厳しくなるかもしれないので今のうちに。
どれも正解だと思いますが、いろいろ考えた結果、当職なりの一つの結論にいたりました(勝手な偏見です)。結局のところ、みんな「お金を遣いたい」んです。コロナ渦において、旅行に行けない、遊びに行けない、飲みにも行けないことによって、皆ストレスがたまっています。遊びに行って散財することで日頃のストレスを解消すべきところ、それができない。消費をしたい、散財をしたい、お金を遣いたいという欲求の矛先が「家」になっているのではないのでしょうか。
人によるとは思いますが、お金は貯めるより遣う方が楽しいですもんね。
EXPLANATION ~解説~
土地の価格 ~ 5つの価格の違い
土地の価格には、実際に取引がなされる際の価格の他に、国や自治体が調査・公表する「公示価格」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」があります。それぞれの価格がどのように使われるのか、知っておいて損はないと思います。
1.実勢価格
実勢価格は、土地の実際の取引価格であり、土地を売買する際の値段の目安になります。土地の売買をする際には、近隣の同条件の土地が実際にいくらで取引されているか(実勢価格)を調べ、それを元に売り出したり、購入を決めたりします。
※ 実際の土地取引では、売主・買主の事情により、相場から離れた価格で取引されることもあります。
2.公示価格
公示価格は、国土交通省が標準値として選定した土地の1月1日時点における1㎡あたりの更地の価格で、毎年3月に公表されます。一般の土地取引の目安や、公共用地の取得価格算定の基準にもなっています。企業会計上の資産の時価評価にも活用されています。
※ 公示価格は土地取引が活発な標準値について、2人以上の不動産鑑定士が別々に鑑定した結果をもとに決定するため、実勢価格に近く、土地取引の際に目安とされることもあります。
3.基準地価
基準地価は、都道府県が選定した基準地の7月1日時点における1㎡あたりの更地の価格で、毎年9月下旬に公表されます。公示価格と同様、実勢価格に近似した地価として、土地価格の目安として利用されています。
※ 基準地価は公示価格と異なり、土地取引が活発な土地以外(郊外等)の価格も公示されるため、公示価格を補完する役割もあります。調査・発表の時期の違いから、地価の変化の目安として利用されることもあります。
4.路線価
路線価は、国税庁が毎年1月1日時点における主要道路に面した宅地1㎡あたりの評価額で、毎年7月公表されます。その年に発生した相続や贈与における宅地等の評価については、その年の1月1日時点における路線価が適用されます(相続税・贈与税算定の基準となる)。売買実例価格、公示価格、不動産鑑定士の鑑定評価、精通者の意見等をもとに、国税局長が評価します。
※ 路線価は公示価格の8割程度の水準で定められているため、路線価による評価額を1.25倍すると実勢価格の目安になります。
国税庁HP(財産評価基準書・路線価図)
5.固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税算定の基準とするため、市区町村が算定した評価額で、毎年4月公表されます。市区町村長が、公示価格や不動産鑑定評価額の7割を目途として算定します。評価額は、3年に一度「評価替え」されます。毎年3月末から4月頭に固定資産税の納付書とともに、固定資産税評価額が記載された「課税明細書」が所有者(納税者)に郵送されます。
※ 不動産登記の際の登録免許税(印紙代)はこの固定資産税評価額をもとに算出します。
ご不明な点がございましたら、当事務所へご相談ください。