相続

No.206 相続税の基礎控除 ~ みんなにかかるわけではありません

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第206号 令和4年9月発行

    A COLUMN ~記事~

    月末、月金、10時 ~ 不動産売買あるある

     

    当事務所の主力業務は不動産売買による所有権移転登記です。不動産売買(残代金決済・不動産の引渡、一般的に「決済」と言います)の際には、司法書士が立会い、売主・買主の本人確認、意思確認をして、書類を整え、登記が申請できる(間違いなく不動産の名義が変更できる)ことを確認した上で、売買代金の支払いをしてもらいます。そのため、決済の際には司法書士の立会が必須となるのです。

    決済の日程は不動産屋さんが売主、買主、融資銀行等の都合をとりまとめて決定します。そのため、決まった日時に決まった場所へ司法書士が出向くことになります。中には司法書士の都合を事前に確認してくれる不動産屋さんもいますが、基本的には司法書士の意向は反映されません。当職も開業当初から、「できる限りこちらから日程について意見はいわない」、「お客様の都合にあわせる」スタンスで業務を行ってまいりました。ただ、ここで一つ問題が生じます。複数の決済の日程が重なってしまうことが多々発生するのです。

    昔はお日柄を気にする方が多かったため、決済は大安の日に集中しました。時間は基本午前中(10時スタート)です。ネットが発達する前は、現在の登記簿の状態を確認するため、朝司法書士が法務局に出向いて登記簿の閲覧をし、問題がないことを確認してから決済に臨む必要がありました。そのため、9時に法務局が開庁(現在は8時30分開庁)後、閲覧をしてから銀行に行くとなると、10時スタートが最適だったのです。また、銀行での振り込みにも時間がかかるため、決済が終わるまでに2時間近くの時間を要しました。その後15時半(昔は15時半までしか登記申請の受付をしてくれませんでした)までに、市役所等で減税の書類等を取得して、法務局へ申請書を持ち込む必要がありました。代金決済後、申請までの時間を考えると、10時スタート以外の選択肢はほぼなかったのです。

    現在は、ネットが発達し、登記情報の閲覧もネットでできるようになりました。登記のオンライン申請も可能になり、ネット送金であれば振り込みも15時以降でも可能になっています。また、お日柄を気にする方も減り、法務局が閉庁している土日祝日、夜間早朝以外であれば、いつでも決済ができるようになっています。でも、ある特定の日時に決済は集中するのです。それが、「月末、月金、10時」なのです。

    おそらく、不動産売買の契約をする際に、決済の期日を決めるのですが、その際にその期日を月末に定めることが多いので「月末」に決済は集中します。また、不動産屋さんのお休みは基本水曜日、働き方改革で水曜日をはさんで火・木にきっちり連休を取る不動産屋さんが増えたので「月・金」に集中。時間は、昔からの慣例と、当事者皆が集まるのに単純に9時だと早すぎるよね、といった理由で「10時」に集中するのではと思われます。

    当事務所も、月末、月金、10時には司法書士を総動員して対応に当たります。それでも間に合わなければ、当事務所から独立したOBの司法書士に手伝ってもらったり、事前にお客様にお目にかかって本人確認を済ませたり、なんとか調整をして集中日の業務に対応しています。それでも対応しきれない場合、時間の変更をお願いすることになります。当職としても、不動産屋さんが各方面の調整をした上で決定した時間を変更することは本意ではありません。業務集中を理由に依頼をお断りしたことがないのが当事務所の自慢なのですが、このままだといずれ…

    月末でなければ基本なんとかします(契約時に期日を月末にする慣例を改めていただければなお良いのですが)。土日に休みにくい不動産屋さんが、「せめて連休をとりたい」という気持ちも痛いほどわかります。でも、「10時スタート」だけはなんとかならないかなぁというのが当職の本音です。9時、11時、午後なら対応できるのに、みんな「10時」、「10時」っていうもんだから(泣)

    長文で愚痴ってしまいました。申し訳ございません。

    いろいろ言いましたが、当事務所は 月末、月金、10時でも、「はい、よろこんで!」と業務を受任させていただきます!

     

     

    EXPLANATION ~解説~

    相続税の基礎知識 ~ みんなにかかるわけではありません

     

    当職は司法書士であって税理士ではありません。税務について中途半端な知識でいい加減なことは言えないのですが、不動産や相続・贈与にまつわる税金に関しては、お客様からご質問を受けることが多々あります。わからない場合は税理士さんを紹介したり、知り合いの税理士さんに聞いて対応したりしているのですが、基本的なことはわかっておかないといけません。

    当職がお客様から一番多く受ける税務についてのご質問は、「うちの場合、相続税ってかかるんですか?」というご質問です。相続税は亡くなった方全員に発生する税金ではありません。相続税の対象になる人の割合は約8%(約12人に1人)です。

     

    1 相続税の基礎控除

    相続税は、相続した財産(課税対象額)が一定額を超えた場合に、超えた部分の財産に対して課税されます。

    この一定額というのが相続税の基礎控除額です。

    つまり、相続した財産が基礎控除額を超えなければ相続税の課税対象にはなりません。(相続税申告も不要です)

    平成27年1月1日以降の基礎控除額は以下のとおりです。

    3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

    <例>法定相続人が配偶者と子1人の合計2人の場合   3000万円+(600万円×2人)=4200万円

    この場合だと、相続した財産が基礎控除額の4200万円以下であれば相続税はかからず、4200万円以上であれば相続税が課税されます。

    ※ 実際に税額がいくらになるかは、税理士さんにご相談ください。

     

    2 土課税価格の課税価格の算出方法

    土地・建物については相続税を計算するときの金額が市場で付けられている取引相場の価格ではなく、実務上、公平性の確保、納税者の便宜のため定められた画一的な方法で評価します。これが相続税評価額と呼ばれるものです。

    建物(家屋)については「固定資産税評価額」がそのまま相続税評価額になります。

    土地については原則「路線価」が相続税評価額になります。

    (路線価が定められていない場合は固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算します)

    ※ 固定資産税評価額は市区町村の税務課で証明書を取得できます。毎年4月に郵送される「固定資産税課税明細書」で確認することもできます。路線価、倍率は「国税庁ホームページ」で確認ができます。

     

     

    ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください

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