~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~ 第214号 令和5年5月発行
A COLUMN ~記事~
GWのルーティーン ~ 休日の有意義な過ごし方
当事務所の繁忙期は3月・4月です。結果、繁忙期が終わったゴールデンウィークは毎年ゆっくり休むことができます。とはいえ、実際には毎日ゴロゴロして過ごすわけにはいきません。繁忙期にたまっていた他の仕事を片付けたり、できなかった家の用事をしたりと、案外忙しく、ゆっくり休む間もなく連休は終わってしまいます。
相続案件の戸籍の取り寄せ、たまっていた事務処理、自宅の垣根(アカメ)の剪定、事務所玄関脇の植栽(モチノキ)の剪定と草取り、苔だらけになった熱帯魚水槽の掃除、そして家族サービス…。子どもたちも大きくなったので家族サービスはあまり必要なくなりましたが、今年のGWもゆっくり1日身体を休める日はとれませんでした。
長期連休ぐらいはゆっくりしたい、なんて話も聞きますが、平日や繁忙期にできなかったことを片付けることも、ある意味「休日の有意義な過ごし方」だと当職は思っています。確かに疲れは取れないかもしれませんが、きれいになった植栽や水槽を見ていると、「今年のGWも俺頑張った…」と充実感に浸ることはできます。
繁忙期、GWに休めなかった分、比較的閑散期となる夏は、適当にサボりながら職務にあたっていきます。(もちろんお仕事の手は抜きません!)
EXPLANATION ~解説~
贈与がしやすく ~ 2023年度税制改正
昨年末、2023年度税制改正大綱が発表されました。今回の改正で影響が出てきそうなのが「贈与税」についての改正です。
今回の税制改正で、相続時精算課税を利用しても、暦年贈与110万円の基礎控除(非課税枠)が利用できるようになります。極々簡単に言うと「生前贈与がしやすくなる」ということです。
この改正により、当事務所へも、不動産を息子さんに生前贈与したいといった相談が増えるのではと考えています。
1 相続時精算課税とは
相続時精算課税とは、「生前贈与をする時は2500万円まで贈与税を非課税にしますが、贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した財産も一緒に、相続税を課税しますよ」という制度です。
<事例>
1億円の財産を持っているAさんが、相続時精算課税制度を使って息子へ自宅の土地(2500万円)を生前贈与しました。この制度を利用すれば、2500万円までの贈与が非課税となるため、贈与税が1円もかかりません。
贈与をしたことで、Aさんの手元に残る財産は7500万円です。Aさんが亡くなった場合に、この7500万円に対して相続税がかかるのかというとそうではありません。相続税は手元の財産だけでなく、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産も含めて計算しなければなりません。
つまり、Aさんの相続税は手元財産7500万円と生前贈与した2500万円を足した1億円に対してかかることになります。
つまり、相続時精算課税による生前贈与は、贈与税がかからないのでお得に見えますが、相続税のことまで考えてしないと逆に損をしてしまうこともあるということになります。
※ 元々相続税が出ない方(相続税の基礎控除内 3000万円+相続人の数×600万円 の財産しか持っていない方)については、相続税を考慮することなく、相続時精算課税を利用することが可能です
2 改正点
改正前のデメリット
贈与税には年間110万円の基礎控除(非課税枠)があります。この非課税枠を使って毎年110万円以下の贈与を繰り返して財産を減らし、相続税を減らすという相続税対策ができます(暦年贈与)。
改正前(現状)は、一度、相続時精算課税制度を使うと、二度と110万の非課税枠は使えなくなります。
相続時精算課税制度を利用してしまったために、相続税対策ができなくなり、結果多額の相続税を支払うことになる可能性もあるため、制度として使いにくいと言われています。
改正後は?
年間110万円までの贈与については、相続時精算課税贈与を選択していたとしても贈与税の申告が不要となります。
この改正により、生前贈与をした後であっても、暦年贈与による相続税対策が可能になり、相続時精算課税の使い勝手が格段に向上します。
3 施行時期
令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用します。
ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。