担保解除

No.220 休眠抵当権の抹消② ~ 個人が抵当権者である場合

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~                                                    第220号 令和5年11月発行

    A COLUMN ~記事~

    大好きな季節 ~ 短いからこそ

    当職の大好きな季節「秋」がやってきたと思ったら、あっという間に終わってしまいました。11月初旬まで夏日が続き、ようやく涼しくなってきたと思ったら、暖房や上着が必要な寒さに…。当職の娘も急な寒暖差から、風邪をひいてしまいました。今年に限らず、毎年秋は来たと思ったら、すぐ終わってしまうようになっていますよね。地球温暖化の影響でしょうか、いったい秋はどこへいってしまったのでしょうか。

    昔から、暖かく明るい雰囲気の春より、涼しくどこかもの悲しさもある秋という季節が、なぜか好きでした。桜より紅葉、春一番より木枯らし。考えてみると、当職が子どものころから、今ほどではありませんが、秋というのは短い季節だったように思います。涼しく、過ごしやすくなってきたなぁ、と思ったらすぐ終わってしまう。短いからこそ貴重で、名残惜しいのかも知れません。

    一年中秋だったら、1年の半分くらい秋だったら、それは過ごしやすいでしょうが、秋のありがたみはなくなってしまいます。日本の美しい四季があって、その中でも一番短い季節だからこそ、秋が好きなのかもしれません。ずっと秋だったら、それこそ「あき」(秋・飽き)てしまいます。

    仕事上も「あきないあきない(飽きない商い)」を心がけていきたいものです。 お後がよろしいようで…

    ↑ これが言いたいだけだったりして…

     

    EXPLANATION ~解説~

    休眠抵当権の抹消② ~ 個人が抵当権者である場合

    休眠抵当権とは、つぎのような抵当権のことを指します。

    ○ 明治・大正・昭和初期に設定された古い抵当権 

    ○ 抵当権としての実体的な効力は失われており、「登記という形式」だけが残っている古い抵当権

    休眠抵当権を抹消する場合の手続きについて、前号(法人が抵当権者である場合)に引き続き、個人が抵当権者である場合の解説をします。

     

     

    1 抵当権者が生存している場合

    抵当権者が生存している場合は、通常通りの抵当権抹消登記を行います。

    ただし、古い抵当権の場合、抹消登記に必要な登記済証(抵当権設定契約書等)を紛失している可能性が高いため、その場合には下記いずれかの手続きを踏む必要があります。

    ① 司法書士による本人確認情報(登記済証がないが、本人から委任を受けて登記を申請することを代理人司法書士が証明する書面)を作成して登記申請する

    ② 事前通知(登記申請後法務局から抵当権者に照会の通知を郵送し、通知を返送することで登記が完了する)

     

     

     

    2 抵当権者が死亡している場合

    抵当権者が死亡している場合は、戸籍等で相続人を確定し、相続人(全員)を相手に手続きをする必要があります。

    登記済証がある場合は、相続人全員から解除証書、委任状に署名押印をいただけば手続きが可能ですが、ない場合には前記「本人確認情報」を相続人全員分作成して手続するか、抵当権の相続登記をして抵当権の名義人を相続人に変更した上で抵当権を抹消します。

    (いずれの場合も戸籍・除籍・改正原戸籍等(抵当権者の相続人全員が特定できるもの)が登記申請の際に必要です)

     

     

    3 抵当権者・その相続人の現存を確認できない場合(供託による抹消手続)

    戸籍・住民票等を調査しても抵当権者(又はその相続人)の現存が確認できない場合は、「弁済供託」を利用した抹消手続きをすることになります。

    登記されている債権額にくわえて、利息、損害金を合算した金額を法務局に供託(弁済供託)することで、抵当権者(担保権者)の協力なしに抵当権を抹消できます。

    「債権額+α」の金額を供託と聞くと、かなりの金額を供託しなければならないと思われるかもしれませんが、貨幣価値が現在と異なるため、利息・損害金を合わせても数千円から数万円程度で済む場合がほとんどです。

    戸籍調査ができないこと、催告書を郵送したが宛所不明で返送されてしまうことなど、前提条件を満たすための調査・手続きが必要となります。

     

     

    4 訴訟による抹消手続

    抵当権者(その相続人)の協力が得られない、相続人の数が多く全員から合意を得ることが困難と思われる場合には、訴訟手続を利用して抵当権を抹消することになります。

    ただし、訴訟手続きを利用すると、どうしても時間と費用がかかります。半年から場合によっては1年を超えることも珍しくはありません。

     

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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