~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第145号 平成29年7月 発行
自己破産 Q&A ① ~自己破産手続の現状
A COLUMN ~記事~
やめる勇気 ~ 事務所通信の手配りをやめます
長年続けてきたことを変えたり、やめたりすることは勇気のいることです。
「ながしま事務所通信」は、当事務所開業以来十数年、毎月発行し、ホームページにアップしたり、プリントアウトしてお客様への郵便物に同封したり、当事務所の取引先に当職が手配りで配達したりしてきました。
開業当初は、手ぶらで営業はしにくいので、通信をお土産にいろいろな見込み客へ飛び込み営業をしたりもしました。「先生が自分でくばってるの?!」と驚いて、仕事を依頼してくれるようになった取引先もあります。飛び込みの営業をほとんどしなくなった現在も、取引先の各店舗に毎月当職が手配りで配達をしています。毎月顔を出すことで、急な相談や依頼をいただいたり、受付のスタッフさんにまで顔をおぼえていただいたり、長島はフットワークの軽い司法書士だというイメージ付けができたり…、手配りの効果はある程度あるように思えます。
ただ、開業当時とは状況は大きく変化しました。当事務所の取引先は愛知県下全域に及ぶようになり、通信を手配りする取引先の数も数十件にわたるようになりました。正直、当職が自分で手配りをしていくのにも限界があります。フットワークが軽いはずの当職が、通信をお届けするために時間を要しお客様のもとへうかがえなかったりということでは、本末転倒です。
さいわい、SNSの発達等により、手配りをしなくても、お客様に通信を目を通していただく機会は増えました。そこで、通信の手配りによる配達を思い切ってやめてみようかと思います。今まで毎月顔を出していた当職が来なくなることで、「長島は腰が重くなった」、「なかなか顔を出さない」と思われてしまうかもしれません。でも、決してフットワークが悪くなったわけではありません。配達の時間がなくなった分、お客様のもとを走り回っています。ご連絡をいただけば、すぐはせ参じますよ!
今まで通信を手配りで配達させていただいていた取引先へは、今後は郵送させていただきます。スタッフの皆さんで回し読みしていただいても、お客様へお渡しいただいても結構です。余白をメモ用紙にしていただいても、お〇を拭くのに使っていただいても結構です。どうぞ、ご自由にご活用ください。
EXPLANATION ~解説~
自己破産 Q&A ① ~自己破産手続の現状
司法書士の取り扱う業務には、登記や相続の手続以外に、任意整理や過払い金返還請求、自己破産の申立といった、いわゆる「債務整理」業務もあります。平成22年の貸金業法の改正の効果か、社会問題となっていた多重債務者は近年減少し、そういった「債務整理」の業務は以前に比べて減少しました。実際に自己破産の申立件数も平成15年をピークに減少し続けています。
しかし、様々な理由により、どうしても自己破産や債務整理をしなければならない人がまだいるのも事実です。
本号では、「自己破産」に関する疑問をQ&A方式で解説します。
自己破産 Q&A
Q① 自己破産したら戸籍や住民票に記載されてしまうのでしょうか?
A 自己破産する過程(破産手続開始決定・免責許可の決定)で、「戸籍・住民票」にその事実が記載されることはありません。また、平成27年から始まったマイナンバー(個人番号)に記載、登録されることもありません。破産の事実は役所が発行する「身分証明書」に記載されますが、「免責許可の決定」を受ければ記載は消去されます。また、「身分証明書」は本人しか取得できない書類なので、ここから家族に知られることはないでしょう。
Q② 自己破産すると家族に知られてしまいますか?
A 自己破産をしたからといって、裁判所から家族に連絡されることはありませんが、自己破産をしたことが家族に知られる可能性は否定できません。そもそも、自己破産の申立をするのに、家計全体の収支を示す資料を裁判所に提出する必要があります。その資料を提出するのに、同居の家族の協力が必要になります。別居の家族に知られずにというのは可能かもしれませんが、同居の家族に知られずにというのは困難だと思ってください。
Q③ 自己破産したら会社を解雇されることがありますか?
A 自己破産をしたからといって、裁判所から会社へ連絡することはありませんので、基本的に会社や同僚、上司に知られることはないでしょう。ただし、破産の事実は「官報」(国の発行する新聞のようなもの)に記載されるので、知られる可能性は“ゼロ”ではありません。ただ、「官報」を定期購読並びにチェックしている会社や人はほとんどいないので、それほど心配する必要はないでしょう。また、仮に知られたとしても会社を辞める必要はありませんし、解雇される事由にもあたりません。自己破産を理由に会社を解雇された場合は、例え就業規則に自己破産を解雇事由としていたとしても、その「就業規則自体が無効」であり、明らかに不当解雇となりますので、裁判で解雇の取り消しと損害賠償を請求することができます。
Q④ 自己破産しても免除されないものは何ですか?
A 自己破産の手続の中で、最終的に「免責許可の決定」を受ければ、債務が免除されることになりますが、「社会保険料・税金」等は、破産法の免責の対象外とされていますので、たとえ免責許可の決定を受けたとしても、これらの支払いは免除されません。
※ 免責されないもの
◎税金(住民税・自動車税・固定資産税など)◎社会保険料(健康保険料など)◎公共料金(水道代・電気代・ガス代など)◎破産者が故意、または重大な過失による損害賠償請求権◎破産者が養育者、または扶養義務者として負担すべき費用◎罰金
Q⑤ 自己破産したら、滞納している家賃も支払わなくてよいのですか?
A 自己破産、免責許可の決定を受ければ、滞納している家賃(賃料)も免責されますので、滞納している家賃があれば支払う必要はありません。ただ多くの場合、「賃料未払いが継続する場合には賃貸借契約を解除する」旨の条項がありますので、その場合には賃貸借契約が終了し、退去しなければならない場合もあります。
以下、次号に続く