~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第175号 令和2年1月 発行
個人再生 ~ 住宅を残したい方・破産できない方の法的債務整理
A COLUMN ~記事~
体が資本 ~年末のインフルエンザ
昨年末、インフルエンザで1週間お休みをいただきました。高熱が出たのは最初の2日だけで、ひどい症状ではありませんでしたが、お客様や事務所スタッフに移してもいけないということで、キッチリ1週間自宅謹慎でした。とはいっても年末の繁忙期、ぎりぎりお客様には大きなご迷惑をかけずには済んだ一方、そのぶん当事務所スタッフにかかった負担は相当なものだったと思います。
当職も四十代半ばを超え、もうじきアラフィフとも言える年齢に達した今、体力も以前と比べると衰えていることは否めません。仕事に家庭に某団体の活動にと目が回るほどの忙しさの中、一日3、4時間の睡眠でなんとかなっていた三十代と同じようにはいくはずもありません。というわけで、今年の抱負は「健康」でいきたいと思います。お客様はもちろん、当事務所スタッフにも負担はかけたくありませんからね。
もう一つ、事務所スタッフの負担を軽減するためにも、今年こそスタッフ(司法書士資格者)の増員をしたいと思っています。司法書士の世界も近年人手不足です。
ここ数年、毎年司法書士の増員を試みてはいる
のですが、当事務所で力をつけた資格者が順番に独立開業していってしまうため、なかなか「増員」は成し遂げることができていません。
令和元年合格者のみなさん、転職をお考えの司法書士の皆さん、お気軽に当事務所へお声がけください。
EXPLANATION ~解説~
個人再生 ~ 住宅を残したい方・破産できない方の法的債務整理
「債務整理」の手続の中に、裁判所に申立をして許可を得ることにより借金を圧縮する個人再生という手続があります。個人再生の特徴は「住宅ローン特則によって住宅を手元に残したまま手続が可能なこと」と、「破産による免責不許可事由(浪費、ギャンブル等が借金の原因の場合)がある場合でも手続が可能」なことがあげられます。
1.個人再生とは
個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。自己破産は裁判所から免責決定をされると、借金の支払義務がなくなりますが、個人再生では、減額された借金を3年~5年かけて支払うことで、残りの借金については、支払義務がなくなります。
例えば、900万円の借金がある人が任意整理をしようとすると、月15万円(5年分割・利息なし)の支払いが必要ですが、個人再生の場合、借金は5分の1に減額されますので、借金は180万円となり、3年分割で支払うとしても月々約5万円を支払えば良いことになります。
また、自己破産と異なり、住宅などの資産を持ったまま手続が出来る事も大きな特徴の一つです。
破産と異なり職業の制限はないので、保険の募集人や警備員等のように破産により職を失ってしまう方ででも、個人再生は有効です。
2.個人再生の要件
個人再生を利用するにあたっては、以下のような一定の要件を満たす必要があります。
① 借金の総額が5000万円以下であること(住宅ローンを除いて計算することも可能)
② 一定の収入の見込みがあること
③ 3年間(原則)にわたって減額した金額を返済し続けることができること
※ 借主にとってメリットが大きい手続であるため、債権者の過半数が反対しないこと(小規模個人再生の場合)等、他にもみなさなければいけない要件があります。
3.最低弁済額
借金の総額によって圧縮率は変わりますが、借金の金額を5分の1まで圧縮することが出来ます。個人再生手続中に支払う総額を最低弁済額といいます。この最低弁済額は、負債額や資産状況などに応じて決定されます。まず、「最低弁済額」を決めるにあたっては、以下が基準になります。
① 負債額
負債額が100万円未満の場合は、負債額全額
負債額が100万円以上500万円未満の場合は、100万円
負債額が500万円以上1500万円未満の場合は、負債額の5分の1
負債額が1500万円以上3000万円未満の場合は、300万円
負債額が3000万円以上5000万円未満の場合は、負債額の10分の1
② 財産(清算価値)
不動産や自動車など、裁判所が「財産」と判断するものの価値の総額。
小規模個人再生の場合は、最低弁済額を決める際、①と②を比較し、その高い方の金額を、原則として3年間で払うことになります。
※ 給与所得者再生の場合は収入の額も最低弁済額を決定する際に考慮されます。
4.住宅ローン特別条項
個人再生も法的手続である以上、全ての債権者を平等に扱う必要がありますが、住宅ローン特別条項(住宅ローン特例)という制度を利用する事で、手続期間中も住宅ローンだけは支払い続けることができ、結果、不動産はそのまま所有し続けることができます。
住宅ローン特例が認められるためには、本人が所有している住宅で、かつ、現在居住していることが条件です。所有とは共有でも構いませんので、たとえば、ご両親と共有であっても問題はありません。
また、住宅ローンだけではなく、リフォームローンや住宅ローンの借り換えであったとしても問題ありません。
ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください