~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~
第181号 令和2年7月 発行
相続がどう変わったの? ~ 相続法改正のまとめ
A COLUMN ~記事~
アナログ人間の憂鬱 ~ 中途半端なリモートワーク
新型コロナ流行の影響で、世間では在宅での「リモートワーク」がもてはやされています。でも、コロナの流行よりずっと前からリモートワークができる環境を整えていた司法書士事務所が実はあったのです。なにをかくそう、それは当「ながしま事務所」です。軽バン車を改造し、後部座席にパソコンとWi-Fiを設置、車内のパソコンから事務所のパソコンをリモート操作し、屋外からでも仕事ができるような環境を、当事務所は3年前より整えております。
実際、出先で急な変更があった場合の書類の修正、出先からのオンライン申請等、緊急時の対応がこの軽バン車導入により可能となりました。ただ、このコロナ渦の中、事務所へ出勤せずに書類の作成ができているかというと、正直そこまではできておりません。あくまでも、緊急時の対応として利用しているだけで、当事務所スタッフは緊急事態宣言中も感染に気をつけながらも、毎日事務所へ出所して作業をしておりました。
リモートワークをできる環境にありながらも、実際にはできないのはなぜか?当職がまだ「アナログ人間」だからだと思います。パソコンの画面上で書類の内容確認ができず、どうしてもプリントアウトしてチェックしてしまう。一度プリントアウトした書類を、再度スキャナーでスキャンしてパソコンに保存、等。結果、オンラインで処理ができる環境下であっても、書類の数が増えてしまうのです。
現在でも、当職は書類の山に囲まれてパソコンで仕事をしています。環境を整えても、意識が変わらなければ変革は道半ばで終わってしまいます。まだしばらくは、当職も書類の山の中から抜け出せそうにありません。
でも、このコロナ渦の環境変化を機会に、少しずつでも意識改革をしていかないといけないですね。
EXPLANATION ~解説~
相続がどう変わったの? ~ 相続法改正のまとめ
平成31年1月よりその一部が施行されていた「改正相続法」が、7月より残りの施行がなされ、すべての運用が始まりました。本号では、相続がどう変わったのかをまとめてざっくり解説したいと思います。
1.配偶者の居住を保護する
① 「配偶者居住権」の新設
配偶者居住権とは、相続の開始時に亡くなった方の持ち家に同居していた配偶者は、終身にわたってその自宅に無償で住み続けることができるとする権利のことです。
自宅を不動産所有権という1つの権利にしてしまわずに、「所有権」と「居住権」という2つの権利を分けることで、評価額の低い「居住権」を配偶者が取得しながら預貯金など他の財産も相続しやすくなりました。
② 短期配偶者居住権
配偶者短期居住権とは、相続の開始時に亡くなった方の持ち家に無償で同居していた配偶者は、遺産分割が確定するまではその自宅に無償で住み続けることができるとする権利のことを言います。(最短でも6ヶ月間)
2.相続人以外の介護への貢献度を考慮
◎ 特別寄与料制度
特別寄与料制度とは、被相続人の相続人ではない親族(たとえば長男の嫁等)が、無償で、療養看護などを行なった場合は、その親族は相続人にたいして金銭を請求できる制度のことです。
3.単独で故人の預貯金引き出しを認める
◎ 遺産分割前の払い戻し制度
この制度は、遺産分割前であっても下記の一定金額までなら、相続人が金融機関の窓口で直接払い戻しを受けることができるという制度です。
相続開始時の預貯金残高 × 1/3 × 法定相続分(その相続人の法定の取り分) まで払い戻し請求が可能
4.遺言書作成のルール緩和
① 自筆証書遺言の方式緩和
自筆証書遺言の財産目録を別紙として添付する場合、その財産目録については自筆である必要はなく、パソコンなどで作成することもできるようになりました。
② 自筆証書遺言の保管制度の新設
自筆証書遺言の原本を法務局に保管できる制度が新設されましたので、紛失のリスクを回避したうえで、相続開始後に遺言書の存在の有無やその有効性をめぐる争いなどを軽減することができます。(遺言の検認手続が不要に)
5.生前贈与を受けた自宅を遺産分割の対象外に
◎ 配偶者に対する生前贈与の持戻し免除
結婚して20年以上経つ夫婦間において、配偶者に自宅が贈与(または遺贈)された場合、その自宅は特別受益の対象外、つまり「遺産分割の計算の対象に含めない」ことになりました。
ご不明な点がございましたら、当事務所へご相談ください。