~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~ 第202号 令和4年5月発行
A COLUMN ~記事~
解放と拡散 ~ コロナとネット
2年ぶりの規制のないゴールデンウィーク。まだ、コロナが収束したわけではないので、我が家は旅行等の計画は立てませんでしたが、娘の友達が東京から遊びに来たので、少し観光に連れて行きました。西尾一色の佐久島に行きたいというので、渡船乗り場まで送って行ったところ、見たこともないような大行列が!数年前、当事務所の社員旅行で佐久島に行きましたが、当時の何十倍もの人が佐久島に押し寄せているようです。
その理由の一つは、コロナ渦で観光や遊びを我慢していた人たちの欲求が一気に解放されたことでしょう。報道を見ていても、観光地の人出はコロナ渦前のGWを上回っていたとのこと。娘の友達が乗ってきた新幹線も、自由席はすし詰め状態だったそうです。
もう一つの理由は、SNSの普及でしょう。当職が訪れた数年前も、佐久島は「アートの島」としてネット等に取り上げられ、徐々に観光客が増えていたと聞いていましたが、人が多いという印象はまったくない、のんびりとした島でした。それがここ数年で、インスタグラム等のSNSでアートや風景が拡散され、「知る人ぞ知る島」から「行ってみたい観光地」に一気に進化を遂げたのです。さらに、コロナ渦がネットやSNSの普及に拍車をかけたからではないでしょうか。
世の中は我々「おじさん」が考えている以上に変わってきているような気がします。ネットやSNSは普及の段階ではなく、もはや日常となり、その使用方法に関しては若い世代を中心にどんどん進化を続けています。司法書士の仕事に関しても、どんどん変化しているし、数年後には今とまったく変わってしまっているかもしれません。その変化について行けなければ、淘汰されるおそれだってあるでしょう。 アラフィフのおっさんですが、当職も気持ちだけは若いつもりでいるので、できるだけ若い世代の方々と接点を持って、なんとかついていきたいと思っています。
EXPLANATION ~解説~
仮登記とは ~ 不動産登記用語解説③
仮登記とは、不動産に関する所有権や抵当権などの物権について、権利変動を暫定的に登記簿に記載・記録しておくことをいいます(不動産登記法105条)。
不動産に関する権利変動(所有権移転、抵当権設定など)を第三者に対抗するためには、基本的に「本登記」を行うことが必要です。しかし、何らかの事情によって本登記ができない・したくないという場合には、仮登記によって一応の権利保全を図ろうとするケースがあります。
1 仮登記のメリット
① 登記順位の保全
仮登記には、本登記をした際の「順位保全効」が認められています(不動産登記法106条)。つまり、仮登記をした後に改めて本登記をした場合に、その本登記について仮登記をした日に遡ってその時に本登記をしたのと同じような効果が生じます。
例えば、Aさんがある不動産をBさんから買うことを約束したとします。でも、まだ資金の準備ができません。待ってもらっている間に、Bさんが別のCさんに不動産を売ってしまい、所有権移転本登記を済ませてしまった場合、AさんはCさんに対して、「自分が先に買う約束をした」と主張しても後の祭りです。
AさんがBさんから買う約束をしたことを先に「仮登記」しておけば、後からCさんに所有権移転登記をされても、自分が先であったことを主張でき(本登記がなされることが条件ですが)、不動産を取得することができます。
そもそも、仮登記がついている不動産をCさんが買うことはないでしょう。
② 登録免許税の節約
また、仮登記の特徴の一つとして、本登記よりも登録免許税が安いということがあります。
実際上の問題として、本登記が必要になるのは、不動産に関する権利関係について争いが生じた場合です。裏を返せば、それまでの間は仮登記によって順位を保全しておけば十分、という考え方も成り立ち得ます。
このような事情から、登録免許税を節約するために、物権変動について本登記を備えず、暫定的に仮登記のみを経由するという取り扱いが実務上しばしば見られます。
売買に基づく所有権移転登記の登録免許税
本登記 不動産の価額の1000分の15 仮登記 不動産の価額の1000分の10
抵当権設定本登記の登録免許税
本登記 債権金額または極度額の1000分の4 仮登記 不動産の個数1個につき一律1,000円
2 仮登記のデメリット
① 本登記と異なり対抗力はない
仮登記は、本登記と異なり、第三者対抗要件としては認められません。
そのため、実際に第三者に対して所有権や抵当権などの存在を主張する場合は、本登記を備える必要がります。
② 本登記への移行には利害関係人の承諾が必要
仮登記を本登記に移行することはいつでもできると思われがちですが、不動産登記法の規定上、所有権に関する仮登記を本登記に移行する際には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要とされています。
登記上の利害関係を有する第三者の典型例は、所有権に関する仮登記よりも後に同一の物権について所有権移転や抵当権設定に関する本登記を備えた者です。
(上記1①の事例でいえば本登記を済ませたCさんの承諾が必要)
不動産の仮登記は専門性が高い手続きですので、司法書士・弁護士へのご相談をお勧めします。
ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください