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第49号 平成21年7月 発行
宝くじは買わない!? |
解説:登記・相続・裁判等司法書士に関連の深い事項を解説していきます。 |
相続の欠格・廃除 ![]() 先日、某有名鞄店の相続問題に決着がつきました。最高裁は長男と四男が所持していた遺言書を「本人が書いたものではない」と断定し、鞄店の株式全てを三男が取得するという判決を下しました。財産に目がくらみ、不正な行為(遺言の改ざん等)をしてまでそれを手に入れようとするふとどき者に対して遺産を相続させるのは適当ではありません。また、自分に対して暴力を振るったり、侮辱したり、財産を勝手に処分したりする子供や兄弟に対して「遺産をあげたくない」と考えることも至極当然の心理です。こういった場合に活用できる制度が「相続の欠格・廃除」です。 Ⅰ 相続廃除 1 相続廃除とは? 相続廃除とは、被相続人自らの請求に基づいて、家庭裁判所がその者の相続権を剥奪する制度です。 例えば、被相続人が生前、相続人から虐待を受けていたなどといった場合、被相続人は家庭裁判所にその相続人の廃除を請求することができます。 2 相続廃除の要件は? 民法892条に定められた相続廃除の要件は以下の通りです。ただ仲が悪いといった理由では廃除は認められません。 ① 被相続人に対する虐待 ② 被相続人に対する重大な侮辱 ③ その他の著しい非行 ![]() (注)家庭裁判所はこれらの事由があったとしても必ず相続人の廃除を認めるという訳ではなく、慎重に審議を行う傾向にあるため、相続人の廃除が認められた事例は多くはありません。 3 相続廃除の方法は? 相続廃除の手続は被相続人が生前に請求する方法と、遺言書に廃除の意思表示を記載する方法の2つがあります。前者の場合は被相続人自身により、後者の場合は遺言執行者が下記手続きを行います。 ① 『推定相続人廃除申し立て』を被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に行う。 ② 調停成立又は審判確定後10日以内に『推定相続人廃除届』を市区町村に届け出る。 (注)相続廃除の審判が確定した場合であっても、被相続人の気が変われば、廃除の取消請求を家庭裁判所に請求することができます。 Ⅱ 相続欠格 1 相続欠格とは? 相続欠格とは、被相続人の意思で行われる相続廃除の場合と異なり、一定の事由(欠格事由)がある場合に相続権を自動的に喪失することをいいます。 2 欠格事由 ① 故意に被相続人または先順位もしくは同順位の相続人を殺害し、または殺害しようとして刑を受けた者 ② 被相続人が殺害されたことを知りながら、それを告訴・告発しなかった者 ③ 詐欺または脅迫によって、被相続人が遺言をしたり、取消・変更することを妨げた者 ④ 詐欺または脅迫によって被相続人に遺言させたり、取消・変更をさせた者 ⑤ 被相続人の遺言を偽造、変造、破棄、隠匿した者 上記事由に該当する人は何らの手続も必要とせず、相続権を失うことになります。 (注)相続廃除や欠格によって相続権を失った場合でも、その者に子や孫などの直系卑属があった場合には代襲相続によりその子・孫が相続人となります。 ※ ご不明な点がございましたら当事務所へお問い合わせください |
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