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第119号 平成27年5月 発行
変化は成長を促す ~ 特別支援学級の新入生
A COLUMN ~記事~
変化は成長を促す ~ 特別支援学級の新入生
久しぶりに「自閉症」の息子の話です。
当事務所を開業する年に生まれた息子ももう10歳(小学5年生)になりました。自閉症の息子は、地元の小学校の「特別支援学級」に、毎日元気に通っています。1学年2クラス程度の小規模な小学校において、特別支援学級に入らなければいけない児童の数はそんなに多いものではありません。息子のクラスは、入学してから昨年までずっと、1学年上の女の子と息子の2人だけのクラスでした。
そんな息子のクラスに、今年、初めて新入生が入ってきました。今まで、クラスの中でずっと一番下の立場だった息子が、上級生になったのです。先日、授業参観があってクラスの様子を見てきました。自閉症という障害の特質からか、こだわりが強く、自分の思い通りにことを進めないと気が済まないタチだった息子が、1年生の女の子のことを気にして、かいがいしく世話をする姿に驚きました。上級生になった自覚でしょうか、息子がものすごく成長したように見えました。
環境の変化は、人の成長を促してくれます。
当事務所の職場環境も毎年のように変化します。開業以来、試験に合格したばかりの司法書士を雇い、数年で独立開業させるということを繰り返してきたため、毎年のようにスタッフが入れ替わるのです。実際に当事務所から5人もの司法書士が巣立ち、独立開業しています。スタッフが入れ替われば職場全体の環境も変化します。既存のスタッフにとって、その変化に対応し続けるのは本当に大変なことです。ただ、それにより既存のスタッフが成長し続けていることが実感できているのも事実です。
「変化は成長を促す」と前向きに考えていきたいと思う今日このごろです。
EXPLANATION ~解説~
遺贈と死因贈与 ~ 相続人以外への財産譲渡
相続税法の改正が施行され、当事務所においても、相続税対策のための生前手続の相談にみえるお客様が増えています。その中に、相続人以外の人(たとえば内縁の妻や孫等)に財産を与えたいが、生前贈与をしてしまうと贈与税の心配が…といった相談を受けることがあります。そういった場合に活用できるのが、「遺贈」と「死因贈与」です。
遺贈・死因贈与は、通常の相続と比べると馴染みのない手続ですが、相続税増税により今後増える手続であると思われるため、本号において取りあげたいと思います。
1.「遺贈」と「死因贈与」の定義
①「遺贈」とは、遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいます。一般的に遺言書では相続人以外の者に遺産を与える場合に「遺贈する」という表現をしますが、相続人に対しても遺贈することはできます。
②「死因贈与」とは、「自分が死んだら乙土地を与える」という「契約」です。契約ですから相手(受贈者)の承諾が必要です。
2.どちらを選べばいいの?
「遺贈」、「死因贈与」それぞれの性質から、メリット・デメリットがあります。
① 贈与者(財産を渡す人)が存命中のときには、「死因贈与」では始期付所有権移転仮登記を登記することが可能ですが、「遺贈」については仮登記が許されません。また、「遺贈」は遺言を書き換えることにより一方的に内容を変更・取消ができるのに対し、「死因贈与」は「契約」なので、もらう側(受贈者)の承諾なくして変更・取消つはできません。
つまり、受贈者(財産をもらう人)にとっては、自己の権利を保全できる「死因贈与」の方が有利です。
② 贈与者が亡くなり、所有権移転登記ができるようになったときには、「死因贈与」の場合には、受贈者と贈与者の相続人全員とで所有権移転登記を行う必要があるのに対して、「遺贈」では、遺言執行者を決めておけば、受贈者と遺言執行者とで所有権移転登記を行えばよいことになります。
つまり、所有権移転登記を行うときには、「遺贈」の方が簡単にできる可能性が高いのです。そのため、実務上、「死因贈与」をしたい場合には、死因贈与契約をした上で、さらに遺言で「遺贈」もしておくことが多くあります。
③ 「死因贈与」は相続による取得ではないので、不動産取得税が課税されます。
「遺贈」は相続と同じように考えられているので、特定遺贈(財産を特定して渡す場合)を含めて不動産取得税は課税されません。
※ 不動産取得税とは(愛知県:不動産取得税早わかり)http://www.pref.aichi.jp/0000019347.html
④ 「遺贈」は、遺言を使用するため、原則として受贈者に公開されないので、贈与の内容を知られたくない場合などに利用できます。
これに対し、「死因贈与」は、契約によってなされるため、受贈者に贈与の内容を知らせるメリットがある場合などに利用できます。
ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。