成年後見

No.158 成年後見と不動産売買

    ~ 知らなくてもなんとかなるかもしれないけど、知ってたらきっと役立つ情報をお届けします ~

    第158号 平成30年8月 発行

    成年後見と不動産売買 ~居住用不動産処分許可申立

    A COLUMN ~記事~

    地元愛 ~ 岡崎SAに立寄って

     
    今年の夏は本当に暑いですね。暑いからといって夏休みに子どもをどこにも連れて行かないというわけにもいかないので、息子とちょこっとお出かけしてきました。その帰り、あえて遠回りして「岡崎サービスエリア」に寄ってきました。2年ほど前に新東名にできた新しいサービスエリアですが、岡崎に住んでいながら、一度も行ったことがなかったので…

    平日の午後でしたが、観光客でけっこう賑わっていました。建物の構えは三河の「武家屋敷」をモチーフにしており、岡崎の名物「釜揚げうどん」が出店していたり、岡崎出身のイラストレーター「内藤モネ」の観光ポスターが至るところに貼られていたり、今までの「徳川家康」「八丁味噌」一辺倒のPRではなく、様々な岡崎の魅力が発信されているように感じました。

    当職は地元「岡崎」が大好きです。すごく魅力がある街なのに、いまいちPRが下手で、その魅力をちゃんと発信できていないことに少しもどかしさを感じていました。でも、岡崎サービスエリアはなかなかいいんじゃないかと感じた次第です。願わくば新東名利用者しか行けない山の中でなく、もう少し行きやすいところにあればもっといいんですけどね。
     

    EXPLANATION ~解説~

    成年後見と不動産売買 ~ 居住用不動産処分許可申立

    最近、「認知症の父名義の自宅を売却したいのですが…」といった相談を受けることが、以前より増えているように思われます。認知症の方は意思表示ができないため、ご自分で不動産を売却することはできません。だからといって、ご家族が勝手に売却してしまうなんていうことももちろんできません。こういった場合、家庭裁判所に「成年後見」の申立をして後見人を選任してもらい、その後見人により売却を進めていくことになります。また、その不動産が本人(認知症の父)にとって居住用の不動産である場合、その処分についての許可を家庭裁判所から受ける必要があります。こういった一連の手続を踏まなければ売却を進めることはできません。

    1.成年後見人の権限

     成年後見とは、すでに判断能力がない(又は著しく衰えている)方のために、家庭裁判所が適切な支援者(成年後見人)を選ぶ制度です。選ばれた成年後見人は、職務として、日常生活に関する行為を除く全ての法律行為を本人に代わってしたり、必要に応じて取消したりすることができます。当然、「不動産の売却」は法律行為にあたるため、成年後見人が本人に代わって行うことになります。

    ※ 不動産売却のためだけに成年後見人を選任することはできません。成年後見人が選任されたら、本人が亡くなる又は判断能力が回復するまで、ずっと財産管理や法律行為を成年後見人に任せることになります。成年後見人は本人にとって不利になる行為(財産を減らすことになる行為等)はできないので、「父の不動産を売却して息子のために家を買う」といった理由で不動産を売却することはできません。

    2.成年後見の申立(費用と期間)

    ① 成年後見申立にかかる費用
    印紙代 3,400円 (申立と成年後見登記の手数料)
    郵券代 3,200円 (裁判所によって若干異なることもあります)
    鑑定費用 0~10万円程度 (医師による鑑定が必要な場合、かかりつけの医師の場合廉価で行ってくれる場合が多い)
    司法書士・弁護士費用 15万円~40万円程度

    ② 成年後見人選任までの期間
    申立をしてから2~3ヵ月程度 (申立までの準備に一定期間必要なため、司法書士・弁護士に依頼してから成年後見人選任までは3~5ヵ月くらいかかるのが一般的です)

    ※ 近年、成年後見人が本人の財産を使い込むといった問題(横領の刑事罰の対象となります)が増えているため、親族を成年後見人候補者としても認められない事例が増えています。弁護士や司法書士が成年後見人となることが多いですが、ランニングコストとして報酬がかかってしまうという問題があります。

    3.居住用不動産の処分の許可

    成年後見人が本人名義の不動産を売却する場合で、その不動産が本人にとって「居住用財産」である場合、家庭裁判所の許可が必要となります。自宅を売却して本人の入院費用・介護費用に充てる、施設に入所しており自宅を管理できないといった一定の理由がないと許可が下りないこともあるためご注意ください。

    ◎ 居住用不動産の範囲
     現在居住している不動産
    ② 将来、居住する予定がある不動産
    ③ 現在は施設・病院で生活しているが、入所・入院前に住んでいた自宅
     建物に限らず、その敷地も含む

     成年後見人を選任して不動産を売却後、その売買代金は本人のためにしか使うことができません。「不動産を売ったお金で息子が家を建てる」といったことはできなくなりますのでご注意ください。

     

    ご不明な点がございましたら、当事務所へお問い合わせください。

    ながしま事務所通信

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